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    2022.05.09

    初の有観客ライブ『INSIDE THE FIRST TAKE』レポート。miwa、Creepy Nutsらが一発撮りで音楽と向き合った2日間

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    初の有観客ライブ『INSIDE THE FIRST TAKE』レポート。miwa、Creepy Nutsらが一発撮りで音楽と向き合った2日間
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    TEXT BY 内田正樹
    PHOTO BY Yosuke Torii(ALI, Da-iCE, 崎山蒼志, 変態紳士クラブ)
    Kaoru Sato(yama, Creepy Nuts, ReoNa, miwa)

    ――そこは本当に、あの『THE FIRST TAKE』のINSIDEと言える空間だった。

    5月3日、4日、千葉県・舞浜アンフィシアターで『INSIDE THE FIRST TAKE supported by ahamo』が開催された。国内のオムニバス音楽チャンネルにおける最多登録者617万人を誇るYouTubeチャンネル『THE FIRST TAKE』にとって初の有観客ライブは『THE FIRST TAKE』の“INSIDE”(内面・内側)を4000人(2日間合計)の観客と共有するというコンセプトのもとに行われた。

    5月3日のDAY1の出演はALI、yama、Da-iCE 、Creepy Nuts 。5月4日のDAY2の出演は崎山蒼志、ReoNa、変態紳士クラブ、miwaと、2日間で計8組のアーティストが、それぞれこの日だけのスペシャルアレンジによる全3曲をパフォーマンスする。しかも1曲目はYouTubeチャンネル『THE FIRST TAKE』にて後日公開される、文字通り“一発撮り”の映像の公開収録も兼ねている。

    事実、ステージの後方と左右に設置されたフラットな白い背景といい、ライティングやカメラワークといい、会場はまさしくYouTubeで観てきた『THE FIRST TAKE』の空間そのものだった。圧倒的な没入感の成立を目指し、観客の発するわずかな音も収録されるとあって、拍手や携帯電話のバイブレーション音も一切禁止された客席には開演から並々ならぬ緊張した空気が張り詰めていた。

    まずはアーティストがステージに登場する直前、彼らが当日、なぜその一曲を選んだかという意図、楽曲が誕生した背景、さらには各々のヒストリーやパフォーマンスへの意気込みなど、自身と楽曲の“INSIDE”について語ったインタビューを中心に構成されたドキュメンタリームービーがスクリーンに上映される。つまり観客はアーティストがこれから目の前でパフォーマンスされる1曲に彼らが掛けた熱量とその背景を十二分に感じ取った上で、一度きりのパフォーマンスに立ち会うのだ。

    ドキュメンタリームービーが終わると、スクリーンはステージ裏で待機しているアーティストをとらえたリアルタイム映像に切り替わる。発声練習をする者、唇を鳴らす者、軽くストレッチをする者、小声で緊張をつぶやく者、メンバーと言葉を交わす者、ひと呼吸ののちに無言でステージに向かう者とその姿も8組8色。

    まるでクラシックのコンサート会場のような静寂に包まれたステージにアーティストが登場すると、注目の『THE FIRST TAKE』用の1曲目がはじまる。そして観客が固唾を飲んで見守る中で歌い終えると1曲、さらにもう1曲と計3曲が披露される。そんな1アーティストにつきおよそ30分弱のプレミアムなステージを8アーティストが2日間に渡って繰り広げた。


    ■DAY1……[ALI / yama / Da-iCE / Creepy Nuts]

    Stage no.1
    ALI
    M1.「LOST IN PARADISE feat. AKLO」
    M2.「TEENAGE CITY RIOT feat. R-指定」
    M3.「Wild Side」

    DAY1のトップバッターを飾ったのはALI。2020年、TVアニメ『呪術廻戦』第1期のエンディングテーマになった「LOST IN PARADISE feat. AKLO」のヒットで日本のみならず海外でも一躍その名を轟かせた彼らはメンバー全員がハーフという多国籍なルーツを持つバンドだ。ドキュメンタリームービーではLEO(Vo.)から「LOST IN PARADISE feat.AKLO」が制作された経緯が自身のホームグラウンドとも言える渋谷の街並みをバックに語る。その「LOST IN PARADISE feat.AKLO」は、ラッパーのAKLOとサポートドラマーに中村達也が登場。ストリングスの音色を入り口に徐々にピークへと向かう熱いパフォーマンスが披露された。

    演奏が終わると客席から大きな拍手が送られた。トップバッターのプレッシャーも相まって「(観客の)みんなの顔が鬼か般若に見えていた」と言って解き放たれたように笑うLEO。「国籍・性別・肌の色・職種・古い/新しい関係無く、音楽は最高って事を伝えたい」と語ると、ステージには追って同日のトリを務めるCreepy NutsのR-指定が登場し、「TEENAGE CITY RIOT feat. R-指定」が鳴らされる。R-指定の畳み掛けるようなフローと疾走するALIサウンドの爆発が客席のボルテージを上げる。全員着席ながらも、多くの観客の身体が揺れはじめる。

    さらに3曲目ではゲストにKAZUOを招いての「WILD SIDE feat. KAZUO」。始まったのはジャズのスウィングとラップの融合による強靭なグルーヴによって、ジャンルレスな魅力を見せつけたのだった。


    Stage no.2
    yama
    M1.「世界は美しいはずなんだ」
    M2.「春を告げる」
    M3.「MoonWalker」

    2組目はyama。2020年4月にリリースした「春を告げる」がストリーミング2億回再生を記録した仮面姿の注目のアーティストだ。ドキュメンタリームービーでは、yamaから、大木伸夫(ACIDMAN)から提供された楽曲「世界は美しいはずなんだ」の制作経緯と共に、実は人前で歌うことに躊躇していた自身の転機が『THE FIRST TAKE』だったという回想も語られる。

    そしてステージ中央にyamaが登場。バイオリンの旋律、ピアノの音色、そしてyamaの歌声が一気に客席を包み込む。1曲目を歌い終え、「本当にすごくすごく緊張していて。多分今までに無いくらいの緊張感」と語ると、奇しくもこの日Music Videoが1億回再生を突破したという「春を告げる」を披露。リズミカルなサウンドに乗って自身の代表曲を高らかに歌い上げた。

    yamaのボーカルのピッチの正確さに改めて驚かされたのは決して筆者だけではなかっただろう。3曲目はボカロPのニト。が作詞作曲したデモ音源をyama自身が聴き込み、アレンジャーの選定から編曲の方向性、歌詞の1文字まで徹底的に拘ったという「MoonWalker」。バンドサウンドで刺激的に奏でられたリズムに乗って、ミステリアスな存在感を放ったyamaに観客が大きな拍手で応えた。


    Stage no.3
    Da-iCE
    M1.「Promise」
    M2.「Sweet Day」
    M3.「CITRUS」

    3組目はDa-iCE。昨年、結成10周年を迎えた彼らは4オクターブを誇るツインボーカルの大野雄大・花村想太と、パフォーマーの工藤大輝・岩岡徹・和田颯から成る5人組のアーティストだ。ドキュメンタリームービーではこの日の1曲目に選んだ「Promise」の制作経緯が語られた。

    やがてまずは大野と花村が登場。Da-iCEが登場。互いに目を見合わせ「行きますか」という合図から美しいピアノの音色から“必殺のバラード”「Promise」が奏でられた。二人の声が静かに、やがては力強く重なる。2021年の仮面ライダー生誕50周年記念作品『仮面ライダーリバイス』のために「過去50年(ライダー生誕の1971年)、そしてこの先50年の通年100年を股に掛けた壮大なバラードを」というオファーに応えて生まれた1曲を、圧巻のハイトーンで美しく高らかに鳴り響かせる。歌い終えると、緊張から解き放たれた大野が膝を付く場面が印象的だった。

    2曲目は二人のハーモニーが心地良いナンバー「Sweet Day」。緊張から少しずつ解き放たれた彼ら二人の表情を見て、観客も少しずつ肩の力が抜けていき、ゆったりとした癒しのメロディーに身体を委ねた。

    3曲目には5人のメンバーが勢揃いして、ストリーミング2億回再生を突破し、彼らを日本レコード大賞にまで導いた「CITRUS」を圧巻のパフォーマンスで披露した。前述のドキュメンタリームービーで、「この曲を『THE FIRST TAKE』で披露したことが近年のターニングポイントに繋がった」と語っていた大切な1曲で会場を大いに盛り上げたDa-iCEだった。


    Stage no.4
    Creepy Nuts
    M1.「2way nice guy」
    M2.「生業」
    M3.「Bad Orangez」

    DAY1のトリはCreepy Nuts。国内タイトル三連覇のラッパーR-指定と世界一タイトルを持つDJ松永のHIP HOPユニットは今やCMやドラマ、バラエティなど多方面で引っ張りだこの存在に。ドキュメンタリームービーでは映画『極主夫道 ザ・シネマ』の主題歌として書き下ろされた新曲「2way nice guy」について「否が応にも身体が動いてしまうような楽曲を1曲目に持ってきた」と語る。

    そしてターンテーブルと共に2人はゆっくりとステージの中央に出現。束の間の静寂を挟んでアップテンポな「2way nice guy」のビートが始まる。力強いR-指定のフローとライムにDJ松永のスクラッチが交差していきながら、クールに、アグレッシブに一発撮りのパフォーマンスを終えた。

    「今まで誰もやったことない試み。自分達もスタッフもお客さんも含めて全員チャレンジ。俺らよりお客さんの方が緊張していますよね。それが『THE FIRST TAKE』なんです」と会場に語りかけることで客席との一体感を高めていく。場をリードしていくMCも流石のスキルだ。2曲目は『THE FIRST TAKE』でも披露され話題になった「生業」。ラップとDJ、互いのスキルを存分にぶつけあうパフォーマンスに客席が大いに盛り上がる。

    最後に披露されたのは“根本は皆一緒なんだ”というメッセージが込められた「Bad Orangez」。彼らのライブにおける代表的なナンバーの牽引力に会場からハンドクラップが巻き起こると、「言わんでもよう分かったな!」と満足気に観客を煽るR-指定。最高潮からの大団円でDAY1を一気にまとめ上げた。


    ■DAY2……[崎山蒼志 / ReoNa / 変態紳士クラブ / miwa]

    Stage no.1
    崎山蒼志
    M1.「国」
    M2.「嘘じゃない」
    M3.「Samidare」


    DAY2のトップバッターは崎山蒼志。4歳からギターを弾き始め、小学6年生より作曲を始めたという、いま熱い注目を受けている19歳のシンガーソングライターだ。ドキュメンタリームービーでは2018年12月5日にリリースされたアルバム『いつかみた国』収録曲の「国」の制作経緯が彼の口から語られた。中学時代に感じた思い、自然光の当たる自宅の和室スペースでの制作風景など独自な制作環境が語られた。やがて崎山がステージに登場。ひと呼吸ののちにアコースティックギターを抱えて「国」を歌い始める。リラックスとエネルギーの緩急で会場は彼の独創的な空気に包まれていく。

    2曲目はTVアニメ『僕のヒーローアカデミア』第5期(2クール目)のエンディングテーマにも起用された「嘘じゃない」。ギターをエレクトリックに持ち替えると、編成もベース、キーボード、ドラムを携えたバンドセットに。その詞世界により力強さとエモーショナルな熱量がプラスされたパフォーマンスを繰り広げる。3曲目は2020年1月の『THE FIRST TAKE』でも披露された「五月雨」をこの日のためにバンドでリアレンジした「Samidare」。再び持ち替えたアコースティックギターから奏でられる印象的なイントロから熱いボーカルへ。疾走感溢れる激しい演奏と叙情的な歌詞。最後まで彼らしい独自の存在感で、ひと時、観客を魅了した崎山だった。


    Stage no.2
    ReoNa
    M1.「ライフ・イズ・ビューティフォー」
    M2.「ANIMA」
    M3.「Someday」


    続いて登場したのはReoNa。“絶望系アニソンシンガー”を標榜する彼女がこの日の1曲目に選んだのは、5月11日リリースの新作E.P.『Naked』収録曲「ライフ・イズ・ビューティフォー」の初披露だった。ドキュメンタリームービーでは「生きるってどういうことだろう」と考えることで「生きてりゃいいのよ」というリリックに辿り着いたというReoNaからのメッセージが語られる。

    やがてステージに登場したReoNaは、自らの思いを込めた「生きてりゃいいのよ」というリリックを繰り返し歌い上げる。小柄な彼女から放たれる、繊細で、しかし力強いメッセージがゆっくりと会場に浸透していく。そんな空気が感じられるパフォーマンスだった。2曲目は「たくさんの出会いと思い出をくれた」というTVアニメ『ソードアート・オンライン アリシゼーション War of Underworld』のオープニングテーマ「ANIMA」。ピアノとギターから繰り出される激しい旋律に身体を揺らしながら訴えかけるような力強いボーカルを轟かせる。

    そして最後は「逃げ出したい誰かの、痛みを抱える誰かの、心の内側に、言葉にできない想いに、寄り添えますように」と語り、新作E.P.『Naked』の収録曲「Someday」を披露。スカートの裾を強く握りしめる様子をカメラが捉える。苦しみから“逃げ出した”先に見える“生きる希望”を振り絞るように3曲の“お歌”を歌い上げたReoNaの歌声に、彼女を見守るように聴き入っていた観客からあたたかな拍手が巻き起こった。


    Stage no.3
    変態紳士クラブ
    M1.「溜め息」
    M2.「YOKAZE」
    M3.「HERO」

    3組目は変態紳士クラブ。ラッパーのWILYWNKA(ウィリーウォンカ)、レゲエ・ディージェイVIGORMAN(ヴィガーマン)、プロデューサー/トラックメーカー GeG(ジージ)という構成の3人組ジャンルレス・ユニットだ。ドキュメンタリームービーでは、約1年振りの新作として4月27日にリリースされたEP『舌打』のリード曲で、今年2月に開催された日本武道館公演『変態紳士舞踏会 in 日本武道館』でも初披露された「溜め息」の制作経緯が語られていく。

    そしておどけた様子でカメラに向かって満面の笑みを舞台袖から見せながら彼らがステージに登場。WILYWNKAとVIGORMANはステージ中央のマイクの前へ、後方では舞台中央に立つGeGと総勢6人のG.B’s BANDが姿を現し、「溜め息」が鳴らされた。ドキュメンタリームービーで「この楽曲を通して『俺なんか諦めかけてたわ』『思い出したな』『マジ頑張ろう』って思ってもらえたら」と語っていた通り、一言一句を大切に扱うことでフローを刻んでいくWILYWNKAとVIGORMANの姿に、静寂を守る客席が次第に熱を帯びていく。

    2曲目はMCで本人達が「俺らをここまで連れてきてくれたと言っても過言ではない」と語った代表曲「YOKAZE」。ストリーミングでは3億回再生を突破し、2021年5月の『THE FIRST TAKE』でも披露された曲を、この日のためのG.B’s BANDによるスペシャルなアレンジでパフォーマンス。自分たちらしいスタイルで切々とリリックを歌い上げる彼らの一挙手一投足で、会場はあたかも変態紳士クラブの単独ライブのような空気に包まれていく。

    最後はVIGORMANが自ら“ライブでぶち上がる曲”と紹介して「HERO」へ。ステージを闊歩しながらのパフォーマンスに、観客は手を大きく上に挙げたりハンドクラップで応える。演奏後はステージ前方に出てきたGeGを交えた3人で挨拶。清々しいまでの一体感を置き土産にステージを後にしたのだった。


    Stage no.4
    miwa
    M1.「Sparkle」
    M2.「片想
    M3.「ヒカリへ」

    この日のトリであり2日間のラストを飾ったのはmiwa。言わずと知れた知名度を誇るシンガーソングライターの彼女がこの日の1曲目に選んだのは去る2月にリリースされた約5年振りのオリジナルアルバム『Sparkle』のリード曲「Sparkle」だ。ドキュメンタリームービーでは同じ世代を生きる人々へ向けて2017年に書き下ろされたというこの曲の制作経緯と共に、自分の原点を見つめ直すため、19年にロサンゼルスはサンタモニカのストリートで歌った際の貴重な映像も紹介された。

    やがてステージ中央にmiwaが登場。バンドメンバーとの笑顔でのアイコンタクト笑顔を合図に、美しいピアノの旋律から「Sparkle」が始まった。“どうやって生きるのか 挑むのか”、“繋いだこの思いこの願い 解き放て Sparkle”。自分らしさを追求するリリックを壮大なスケール感とメジャー感を感じさせる歌声でしっかりと歌い上げる。

    MCで「楽しんでますか?楽しんでますか?」「お客さん側も緊張するものですか?」と観客におだやかな笑顔で語りかけると、2曲目は「片想い」を披露。ピアノとバイオリンの音色に乗せて、好きな人をひたむきに思う切ない片思いの恋心を丁寧に歌い上げる。最後はアコースティックギターを手にして、「皆さんは私にとってヒカリです」とこの日の観客への感謝を伝えて、自身最大のヒット曲であり、2021年8月の『THE FIRST TAKE』でも披露された「ヒカリへ」をパフォーマンス。

    彼女の歌声のパワーに呼応して客席から自然と大きな手拍子が湧き始める。まさしく光のように真っ直ぐに輝く歌声と存在感で、2日間の『INSIDE THE FIRST TAKE supported by ahamo』全ステージが幕を閉じた。


    エンディングではこれまで『THE FIRST TAKE』に出演したアーティストたちのパフォーマンス映像のフラッシュと共に、YouTubeチャンネルのコメント欄へ実際に書き込まれた視聴者からの投稿がスクリーンで上映された。そして最後に「YouTubeでまたお会いしましょう」というメッセージが映し出されると改めて客席からあたたかな拍手が湧き起こった。

    秀逸なディレクションのもと、文字通り『THE FIRST TAKE』そのものをリアルに再現し、そのINSIDEを描き出すことによって『THE FIRST TAKE』というコンテンツが掲げる精神性――つまりは音楽が生み出す奇跡を一発撮りで探求し、そのアーカイブを構築していく――が十二分に体現された時間はライブでありながら実験的なインスタレーションのようでもあった。そして静寂と視線と緊張と手拍子で参加した2日間4000人の観客はたしかにライブを構成する一部としてそこにいた。いや、アーティストと共にライブを作った“共犯者”とも言えるだろう。

    前述の通り、もはや『THE FIRST TAKE」はチャンネル登録者617万人を誇るコンテンツだ。“一発撮りで音楽と向き合う”という『THE FIRST TAKE』のコンセプトは今やほとんど発明だったと言っていい。しかし、エンディング映像の中でも語られていたように、その肝心は(無論アーティスト側としてはパーフェクトなパフォーマンスを目指すわけだが)“一発撮り”だから“失敗できない”という競技のような緊張感だけにあるわけではないし、ましてや圧倒的な登録者数の数字のみにあるわけでもない。

    全てのアーティストにとって大切な1曲があり、その裏に様々なドラマが存在するという紛れもない事実。1曲のパフォーマンスにフルライブやアルバムレコーディングに匹敵するような(もしくはそれを凌駕する)全身全霊を賭した集中と熱量が注がれる奇跡のような機会の実現。そして、その向こうに存在する数値化では計ることの出来ない世界中のリスナーの“思い”。それが『THE FIRST TAKE』の肝心であり、だからこその登録者数なのだ。それを改めて思い知らされた2日間でもあった。

    固唾を飲んだDAY1、見守るようなDAY2と、緊張感の種類も2日間の出演アーティストとセットリストで全く異なった点も興味深かった。ある意味、コロナ禍のマナーから生まれた副産物とも言える実験的なライブだったが、その実験は成功だったと結論付けていいはずだ。次回の開催を大いに期待したい。


    INSIDE THE FIRST TAKE 公式サイト
    https://www.thefirsttake.jp/insidethefirsttake/

    YouTubeチャンネル『THE FIRST TAKE』
    https://www.youtube.com/channel/UC9zY_E8mcAo_Oq772LEZq8Q

    『THE FIRST TAKE』OFFICIAL SITE
    https://www.thefirsttake.jp/

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