■「40年間、僕の音楽を聴いてくれて、愛してくれてありがとうございます」(久保田利伸)
久保田利伸の全国ツアー『TOSHINOBU KUBOTA CONCERT TOUR 2024-2025「佐藤さん、いつものでよろしいですか?」』が、1月21日・22日の大阪フェスティバルホール公演にて千秋楽を迎えた。
近年は、ボサノバ、ラバーズロックなど企画性の高い、あえて小規模会場でのライブを重ねてきた久保田。本格的なツアーは『TOSHINOBU KUBOTA CONCERT TOUR 2019-2020“Beautiful People”』以来、実に約4年半ぶりで、その内容やツアータイトルを含めて話題を呼び、チケットは全公演即ソールドアウト。急きょ9公演もの追加公演が決定するほどの大きな注目を集めていた。
“とにかく楽しい”…これに尽きる、久保田利伸のショーが堪能できた。
バンドメンバーとダンサーだけでのオープニングは迫力のグルーヴを見せつけ、実にスタイリッシュで、この先のショー全般を想像させるに足るものでありながら、本人登場の1曲目は、意表を突く「TAWAWAヒットパレード~Go Go Dance Party」。アリーナ公演のアンコール名物3点振り(スタンド席上下、アリーナ席を分けたダンスバトル)を、ホール用に2点振りに変え、「ウォーミングアップしよう!」と初っ端から観客を踊らせ、会場は一気に最高潮に。ダンサーの巧みなダンスとともに、2曲目「Boogie Ride」でその盛り上がりはさらに加速度を増し、しばらくぶりの観客の緊張や照れを吹き飛ばしていく。
ストンとR&B/スロージャムの演奏に乗せて、アドリブで集まった観客に歌唱を含めながら感謝を伝え、流れるようにイントロから「Angel」、そして「So Beautiful」と、2曲続く。ホール全体を包み込むバラードでも溢れるグルーヴ感と照明の美しさで、観客は魅了されていった。
MCにて『佐藤さん、いつものでよろしいですか?』のツアータイトルに触れた流れのなかで、まさかのマイケル・ジャクソン「Billie Jean」をパフォーマンスするといううれしいサプライズも。毎回ショーごとに同じことはやらない、アドリブ全開の久保田である。
そして、前作アルバム『BEAUTIFUL PEOPLE』より「天使と悪魔」「Green Light」へ。アルバムの中ではあまり目立たない楽曲たちながら、ダンサーと発想豊かな照明、久保田の伸びやかな歌唱が際立ち、観客は目と耳を離せないでいた。次に「What’s The Wonder?」を披露。重厚なグルーヴと久保田のノリに引っ張られ、観客は座ってはいられない。さらに、コーラスの「LALA Means I Love You」から、早くも「LA・LA・LA LOVE SONG」が登場。国民的ヒット曲に老若男女が弾けまくる。
このあと、久保田は衣装チェンジに下がるが、間を繋ぐコーラスたちの歌唱とダンサーのパフォーマンスにもあれこれ演出的工夫が施され、観客は大喜び。
再登場した久保田は、2024年6月にリリースした新曲「the Beat of Life」を披露。フードを深く被り、迫力のある太いビートに乗せパフォーマンスする姿は、デビュー40周年を目前にしてなお、さらなる進化と、圧倒的な存在感を受けざるを得ない。男性ダンサーの雄々しいパフォーマンスと久保田の歌唱が力強く、サビの“まったく悔いはない”の歌詞に胸を打たれる。
雰囲気は一転し、大ヒット曲「Missing」では、涙する観客の姿も見受けられ、拍手が鳴りやまない。粋なギターソロから、ボサノバライブでも披露した唯一のカバー曲「What You Won’t Do for Love」では、ラバーズロックの軽快なノリと久保田の歌唱力を実感させられた。
次なるMCでは、まずメンバー紹介。毎公演異なる紹介方法で、このたびの大阪では、お題は“ブルース”とメンバーに指示。何も知らされていないバンドメンバーそれぞれが無茶ぶりに応えようと必死になるさまは、なかなかの見ものであった。
その後、観客への40周年を迎えられる感謝の気持ちを「ありがとうのうた」として、こちらも即興でパフォーマンス。ステージ上での瞬間瞬間の感情を熱く伝え、さらに観客の心を動かす。それをさらっとやってしまう光景に、度肝を抜かれる。
後半は、名曲「Indigo Waltz」を自由自在に歌い上げ、そしてダンサーも加わり「FUN FUN CHANT」、最後は「LOVE RAIN ~恋の雨~」。明るく温かい楽曲たちが観客の心の壁をあっという間に取り払い、大盛況で本編を終了した。
アンコールでの再々登場は、まずはこれまたアドリブで観客への賛美を捧げ、誰もが慈しむ鉄板の「Oh, What A Night!」で会場と一体となり、そして温かく優しく観客を包む「Always Remain」で大団円を迎えた。瞬きするのも惜しいような、あっという間の時間であった。観客が口々にこぼす「楽しかった」「面白かった」という感想と、興奮冷めやらぬ様子が、すべてを物語っていた。
久保田利伸の“王道グルーヴ&ポップ”を象徴した、豪華なセットリストとなったこの日。演出面に関しても、映像などはいっさい使わず、コーラスを含む9人編成のミュージシャンと4人のダンサーが織りなすグルーヴと、久保田の艶やかで多彩な歌声が重なり、楽曲によっていろいろな世界に観客を連れて行ってくれた。まさにオンステージの久保田を代表とするメンバーたちが、最高の演出そのものということだろう。
今もなお、最前線で活躍し、多くのアーティストからリスペクトされ続けている久保田利伸。デビュー40周年を迎えることについて「40年間、僕の音楽を聴いてくれて、愛してくれてありがとうございます」と気持ちを伝えると、場内からは温かく大きな拍手が湧き起こった。
予定される40周年を記す全国ツアーへの期待も膨らむなか、“Japanese King of Soul”として久保田利伸は次に何を見せてくれるのか。今後の活動からも目が離せない。
PHOTO BY 入日伸介
<セットリスト>
1.TAWAWAヒットパレード〜Go Go Dance Party
2.Boogie Ride
3.Angel
4.So Beautiful
5.天使と悪魔
6.Green Light
7.What’s The Wonder?
8.LA・LA・LA LOVE SONG
9.Performance by Background Vocals & Dancers
10.the Beat of Life
11.Missing
12.What You Won’t Do for Love (from Bobby Caldwell)
13.Indigo Waltz
14.FUN FUN CHANT
15.LOVE RAIN ~恋の雨~
〈Encore〉
1.Oh, What A Night!
2.Always Remain
久保田利伸 OFFICIAL SITE
https://www.sonymusic.co.jp/Music/Info/kubota/