■これまでの代表作から現在制作中の新曲まで、デビューから現在までの軌跡を辿るような、アーリーベスト的なライブに!
崎山蒼志のライブツアー『The BestTour 2018-2025』が2月2日、自身初のZepp単独公演にて終幕した。
10代でメジャーデビューを果たし、TVアニメ「呪術廻戦」『懐玉・玉折』ではエンディング・テーマ「燈」を担当しストリーミング総再生数1億回を突破するなど、着実にキャリアを積んできた崎山蒼志。
今回のライブツアーは、2023年12月に東京・恵比寿ザ・ガーデンホールにて行われたワンマンライブ『The Best 2018-2023』の東名阪ツアー版。これまでの代表作から現在鋭意制作中の新曲まで、文字どおりデビューから現在までの軌跡を辿るような、アーリーベスト的なライブとなった。
ライブ当日は積雪予報も出るほどの寒さの都内だったが、これから始まるライブへの期待に熱がこもっていたZepp Shinjuku(TOKYO)。
ひとりでステージに登場した崎山蒼志。大きな声援を受けながらも、固唾をのむオーディエンスの前で、アコギを手に取り静かにライブが開演。1曲目は「夏至」。澄み渡った歌声と心地よいギターサウンドが一気に会場を包み込む。
そして「五月雨」「ソフト」と自身キャリア初期の作品を立て続けに弾き語りで披露。ひと筋のストイックなライトのなか、どんどんスピードアップし、もはや体と一体となったギターを自由自在に掻き鳴らす鮮烈なエネルギーは、観客を一気に崎山蒼志の世界へ引き込んでいく。
ひと息ついて、「本当にありがとうございます、崎山蒼志と申します。こんなにたくさんの方に来ていただいて、本当に感謝しています。“Best Tour”ということで、いろんな曲をやりますので、ご無理なさらず楽しんでいただけたらうれしいです」と丁寧に挨拶。
そこからギターをマイクに持ち替え、幻想的な雰囲気の照明のなか、打ち込みアレンジの「国」から新曲「eden」へ。オートチューンのざらついたボーカルに、子供たちのコーラスが混ざり合い奥行きのある心地よい音に会場全体が釘付けに。
曲のつなぎでバンドメンバーも入り、崎山蒼志(Vo、Gu)、守真人(Dr)、有島コレスケ(Ba)の3ピースのバンド編成に。そこから爆発するようにバンドサウンドがさく裂。ギターの激しいカッティングと、音圧マックスのドラム、ソリッドなベースで一気にギアをトップにあげ、「Pale Pink」「翳る夏の場」で会場がダンスフロアに一変した。
バンドメンバーとのゆるい掛け合いととりとめのないMCでは、先ほどまでの狂気的なパフォーマンスとは打って変わったほっこりとマイペースで人間性がにじみ出るトークを展開。そのギャップは、ライブでしか見られない崎山の魅力のひとつだ。
「野原の歌を歌います」といい、ライブ再開。「find fuse in youth」「i 触れる SAD UFO」から「覚えていたのに」は変幻自在なリズムとビートに熱気がさらに加速。「プレデター」では叩くようなギターパフォーマンスと照明が呼応し、高揚感を高める。
ライブ中盤、静かにチューニングをしたあとに披露したのは、「嘘じゃない」。「これからの未来は何処へでも繋がれる気がしてるの」と歌う伸びやかな歌声は、この先どんな景色を見せてくれるのだろうと、無限の可能性さえ感じさせた。
そして、再び新曲「akuma」を披露。「あのー…次にやる曲はakumaっていう曲で、新曲なんですが、四畳半バイブスでつくりました」と、フォークロックのどこか懐かしさも感じるギターが胸を打つ。それに続く「舟を漕ぐ」でクライマックスに向けての助走をつけた。
後半のMCでは、改めて「たくさん集まってくださってありがとうございます。めちゃくちゃ感謝しています。いろいrp制作もしつつ、今年は“崎山蒼志って結構イケてるな!”って地元のやんちゃな先輩にも届くように頑張っていきますので、よろしくお願いします」と今年の決意表明を伝えると会場が笑顔に。
温かな雰囲気のなか披露されたヒット曲「燈」では、圧倒的なボーカルとドラマティックな旋律、オレンジのストイックな照明が独創的な世界を生み出した。
ダンサブルなトラックが特徴的な「I Don’t Wanna Dance In This Squall」ではPerfumeの「ポリリズム」や“大江千里の「Rain」のフレーズのサンプリングをリアルタイムで盛り込み遊び心を見せる。
「水栓」ではステージを縦横無尽に駆け巡り、チャームポイントであるメガネも宙を舞った。鮮烈なデビューで見せたギター少年から進化し、純粋に音楽を楽しんでいる等身大の22歳がそこにいた。
ラストを飾ったのはメジャーメジャーデビュー曲の「Samidare」。手を高く上げ盛り上がる観客一人ひとりと、しっかり呼吸を合わせながら、逞しく響く歌と鮮烈なギターを通してすさまじいエネルギーを放出し本編を終了した。
鳴りやまない拍手に応えてステージに登場した崎山はおもむろにカンペを見ながらMC。タイミングを「間違えました…」と照れながらも、きっちりグッズや最近発売された自身初のエッセイ本『ふと、新世界と繋がって』の告知をし、アンコールへ。
アンコールは大阪、名古屋と日替わりだが、ラストの東京公演で選んだのは、初期の楽曲「踊り」の弾き語り。さらに本編とは全く違うバンドバージョンでの「国」を披露し、全20曲約90分を駆け抜けた。
ライブを重ねるごとに、枠にとらわれず様々なアプローチで挑戦し続ける崎山蒼志のライブは、一期一会の体験をさせてくれる。崎山蒼志のどこまでも進化していく“今”を垣間見られた貴重な一夜となった。
PHOTO BY KEIKO TANABE
■『The Best Tour 2018-2025』
2025年2月2日(日)東京・Zepp Shinjuku(TOKYO)
<セットリスト>
01. 夏至
02. 五月雨
03. ソフト
04. 国
05. eden ※新曲
06. Pale Pink
07. session~翳る夏の場
08. find fuse in youth
09. i 触れる SAD UFO
10. 覚えていたのに
11. プレデター
12. 嘘じゃない
13. akuma ※新曲
14. 舟を漕ぐ
15. 燈
16. I don’t Wanna Dance In This Squall
17. 水栓
18. Samidare
[ENCORE]
19. 踊り
20. 国
セットリストプレイリスト
https://sakiyamasoushi.lnk.to/20250202
崎山蒼志 OFFFICIAL SITE
https://sakiyamasoushi.com/