■西川貴教、Beverlyもゲストとして登場!
小室哲哉と浅倉大介によるユニット、PANDORAのライブ『PANDORA LIVE 2025 -OPEN THE BOX-』が、2月28日にZepp DiverCity(TOKYO)で開催された。TM NETWORK時代より続く師弟関係で知られる小室と浅倉が2017年に結成したPANDORAは、TV特撮ドラマ『仮面ライダービルド』主題歌としてシングル「Be The One」をリリースするなど話題を集めるも、彼らがライブを行ったのは2018年のビルボード東京・大阪公演が最後となっていた。
7年ぶりの再始動となる本公演は、ユニット名の由来である「パンドラの箱」になぞらえ、その箱を再び開く“OPEN THE BOX”と銘打った一夜限りのライブ。ゲストボーカリストには浅倉がプロデューサーを務めT.M.Revolutionとしてデビューした西川貴教、PANDORAの「Be The One」に参加した女性シンガーBeverlyの出演が告知され、その公演内容には多くのファンから注目が集められた。
開演時間を迎え場内が暗転すると、オープニングナンバー「Anthem In The Dark」とともに小室、浅倉が登場。ステージは下手側が小室のコーナー、上手側が浅倉のコーナーとなっており、それぞれにシンセサイザー、キーボード、ミキサーといった機材がずらりと並ぶ。重厚なインストゥルメンタルに、やがてふたりの操るシンセの音色が重ねられていく。
ここからBPMを早め、リズムトラックの四つ打ちが場内をダンスフロアに変えていく「336」、男性ボーカルをフィーチャーした「I Believe It」と楽曲が続くが、ステージ上の演奏はまだ小室と浅倉のみ。小室がシンセの演奏に集中する一方で、浅倉はそのサポート的な演奏やミキサー操作とともに観客の煽りも欠かさずに行っている様子だ。
次の楽曲「Shining Star」で、いよいよひとり目のゲストボーカリスト・Beverlyが登場する。「Let’s have a good time!」と元気いっぱいに挨拶すると、PANDORAの王道EDMナンバーをリズムに合わせ跳ねながら歌い上げた。演奏が終わると、小室がこの日初めてマイクから語りかける。改めてBeverlyの紹介を行ったあと、「7年ぶりにパンドラの箱が開いた」という本公演にかけて「“開け”ましておめでとうございます!」と笑って挨拶した。
「Sunshine On My Shoulder」ではジョン・デンバーが歌った往年のカントリーナンバーをPANDORA風にカバーしたこと、「Guardian」はもともと小室がボーカルにBeverlyを迎えリリースした楽曲であったこと、またPANDORAでの披露にあたっては浅倉がアレンジを担当したことなどを紹介した。さらにこの日は新曲「Twilight」も初披露。作曲を小室が、作詞をBeverlyが、アレンジを浅倉が担当したといい、MCでは、「昼と夜の真ん中」である夕暮れ時=「Twilight」を揺れる心情に置き換えたという楽曲テーマについてBeverlyが日本語、英語の両方を駆使しながら説明する。
前半のBeverly担当パートの締めとなったのは「One Vision」。こちらはBeverlyのアルバムのために小室が提供したナンバーだ。もとよりアッパーな楽曲を、いっそうパワフルなPANDORAアレンジで届け終えると、Beverlyはオーディエンスにお辞儀をして、「ありがとうございました、Beverlyでした!」と笑顔を振りまきながらステージをあとにした。
再び小室、浅倉だけとなったステージで、次に披露されたのはインストナンバー「Aerodynamics」。2018年リリースのミニアルバム『Blueprint』にも収録された17分間にも及ぶ大作で、小室の楽曲紹介に大きな歓声が上がる。ステージから大量のレーザーが放出されるなか、爆音となっていく四つ打ち、ふたりが奏でる電子音の洪水に観客は没頭した。
そんな「Aerodynamics」の演奏後、間髪入れずに届けられたのが「Meteor -ミーティア-」だった。イントロの1音目から、それがT.M.Revolutionの原曲に準拠した演奏だということが伝わる。浅倉が美しいシンセのフレーズを弾き始めると、ふたり目のゲストボーカリストとして初共演となる西川貴教がステージに降り立つ。
西川はT.M.Revolutionとして浅倉との長年の関わりがあることはもちろん、2024年に主題歌を担当した映画『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』では西川貴教with t.komuroとして小室から楽曲提供を受けたことも記憶に新しい。
T.M.Revolutionが2003年にリリースした「Meteor -ミーティア-」は『機動戦士ガンダムSEED』および『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』の劇中で強いインパクトを放った挿入歌として知られているが、この日のライブでは西川が歌い、象徴的なシンセのパートを浅倉が弾き、主にギターのパートを小室が弾くといった形態で演奏が行われた。
万感こもった歌唱を終え、大歓声に迎えられた西川は小室とともにMCに参加。まずは小室、浅倉に対して感謝を述べつつ、ふたりのプロデューサーに挟まれて恐縮気味だ。特に、浅倉と一緒にステージに立つのはかなり久しぶりのこと。小室が「20なん年ぶりとか?」と問いかけると、西川は「そんなんじゃないですよ!(笑)、でもそうですね……軽く10年ちょっとぐらいは経ってるんじゃないかなと」と答えた。そこからさらに時代を遡り、小室からはT.M.Revolutionがデビューしたレーベルとして1990年代に存在したアンティノスレコード時代の話題が切り出される。
西川は、これに応え当時の思い出話をしみじみと語りつつ「浅倉さん、大丈夫ですか? 話、聞いていただけてます!?(笑)」と、マイクを設置していないため常にニコニコと頷いている浅倉の様子も時折気にかけフォローしていた。
続いての楽曲では、再び浅倉が弾き始めるイントロに悲鳴のような歓声が上がる。「INVOKE -インヴォーク-」だ。やはりT.M.Revolutionによる『機動戦士ガンダムSEED』の関連楽曲で、こちらはTVアニメの初代オープニングテーマ。
そして「ガンダム」関連楽曲はさらに続き、次は「BEYOND THE TIME -メビウスの宇宙を越えて-」(『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』主題歌)までもが披露される。小室は、かつてTM NETWORKがリリースしたこの曲をPANDORAとして、さらにボーカルに西川貴教を迎え演奏する、という座組みを「ややこしいんですけど……」と話しつつも楽しげに紹介。原曲より高めに設定されたキーで、リスペクトを捧げるように歌う西川とともに、サビの印象的なコーラスでは小室もハモりに参加した。
小室によれば、この日のライブには「ガンダムを繋げる」という裏テーマがあったといい、西川が歌うパートの締めに「FREEDOM」(『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』主題歌)が組み込まれたことは必然的な展開だった。こちらはPANDORAバージョンとしてイントロなどにあらたなアレンジを施しつつ、西川が「FREEDOM」とシャウトすると、浅倉が大きく手拍子をとって観客を煽る。緩急の激しい楽曲展開とともに、西川はステージ中を縦横無尽に立ち回りながら全力で歌った。
その演奏後、ステージに西川を残しつつ小室がBeverlyを呼び込む。「というわけで、ふたりが揃ったので。やっとちゃんとした形でできますね。今日はガッツリいきます!」と意気込みを告げると、PANDORA feat.Beverlyによる代表曲「Be The One」が満を持してドロップされる。
西川を招いてのツインボーカルとなった同曲では、Beverlyがメインで歌いつつ、主旋律の下パートで西川がハモりに参加するという形態に。そのうえで、終盤ではサビのリフレインをBeverlyと観客が交互に歌うコール&レスポンスも追加された。ラストは西川とBeverlyがともに上体を反らしながら高音のロングトーンを決め終えると、ハグし合うふたりを大歓声と拍手が包む。
Beverlyが、西川が、それぞれ小室と浅倉への感謝を述べてステージをあとにしたところで、小室は「OPEN THE BOX」と題した当日のライブタイトルに改めて言及。「パンドラの箱という言葉には、一般的にはネガティブな意味もあるんですけれども。よくよく調べると、その箱の底には希望が隠れているという意味があるらしくて。開いても閉じても、そこには希望が必ずある」と解説し、次はステージ上で箱が開くような演出もやってみたい、と今後の展望にも触れながら最後のMCを締めた。
大ラスには、小室いわく「僕らの送り出しの曲」として即興によるインストが演奏された。ここではまず小室が浅倉の立ち位置に向かい、ふたりが1台の鍵盤の前に並ぶ。そして交互に1音ずつアドリブで鳴らした音を浅倉がサンプリングし、これを演奏のベースとして、元の立ち位置に戻ったふたりが様々な音色で音を重ねてアレンジを加えていく……というパフォーマンスが行われるのだった。こうして、PANDORAの曲作りの過程そのもののようなダイナミックな演奏が終了すると、約2時間の充実したライブが幕を下ろした。
なお、この公演の模様を収録したライブBlu-rayが5月28日に発売される。
PHOTO BY 田中聖太郎 ※メイン写真
リリース情報
2025.05.28 ON SALE
Blu-ray『PANDORA LIVE 2025 -OPEN THE BOX(仮)』
PANDORA 特設サイト
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TM NETWORK otonano 特設ぺージ
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