■「日本の音楽と文化を体験してくれてうれしい。最高の夜だった」(Ado)
米ロサンゼルス・ダウンタウンのピーコックシアターで3月16日(日本時間3月17日)、日本を代表する世界的アーティストのAdo、新しい学校のリーダーズ、YOASOBIの3組がコンサートを開き、米国内外から集結した7,000人のファンが3時間の熱演に酔いしれた。
チケットは前売りで完売となり、日本の音楽への関心の高さをうかがわせた。
『matsuri ’25: Japanese Music Experience LOS ANGELES 』と題されたこのコンサートは、日本レコード協会など音楽業界の主要5団体が設立した一般社団法人カルチャー アンド エンターテイメント産業振興会(CEIPA)とトヨタグループが主催。
CEIPAとトヨタグループは、2月下旬に日本の音楽コンテンツの海外進出を支援する「MUSIC WAY PROJECT」の始動を発表したばかり。 『matsuri ’25 』は、プロジェクト初の大型イベントとして日本音楽界の期待を背負って開催された。
■YOASOBI
コンポーザーのAyaseとボーカルのikuraによる音楽ユニット、YOASOBIが先陣を切ってステージに登場。2024年は米国の音楽フェス『コーチェラ』に出演し、年間を通して海外で最も再生回数が多かった日本のアーティストとして注目を集めた。
そんなYOASOBIは、日本史上初の11億回再生を記録したデビュー曲「夜に駆ける」などのヒット作を次々と披露し、「群青」では観客が一体となって合唱する姿も見られた。
ikuraは「皆さんと最高な音楽を楽しめたらと思ってやって来た」と英語と日本語でファンに語りかけた。ラストの「アイドル」では、お決まりの「オイ!」コールで会場が一体となった。
<セットリスト>
01.セブンティーン
02. 祝福
03. UNDEAD
04. たぶん
05. 勇者
06. 怪物
07. 夜に駆ける
08. 群青
09. アイドル
■YOASOBI コメント
YOASOBIとして、フェス以外で他のアーティストの方々とイベントをご一緒する機会がこれまでなかったので、とても楽しかったです。しっかりトップバッターを務め、次の出番となる新しい学校のリーダーズへ向けて、お客さんを温められたのではと思います。
世界と日本を区切っているわけではありませんが、自分たちにできることを一生懸命続けた先に、世界中の人々にも私たちの音楽が届いてくれたら嬉しいですし、できるだけ多くの人に届けたいと思っています。そして今回アメリカという地で、こんなにも多くのお客さんが集まってくださったことも、本当に嬉しかったです
■新しい学校のリーダーズ
2024年は計11万人を動員するワールドツアーを成功させ、『コーチェラ』にも出演した4人組ダンスボーカルユニット、新しい学校のリーダーズは、2021年に世界デビューを果たした「オトナブルー」など11曲をノンストップで披露した。
メンバー自身が全曲振り付けを考案しており、キレのあるダンスパフォーマンスで、会場を興奮の渦に包んだ。
最後にメインボーカル、SUZUKAの呼びかけリーダーズメンバーと観客が声を合わせ、今月リリースされたばかりの新曲「One Heart」が披露された。
同曲と未配信の新曲「Free Yourself」は、ライブでの初披露となった。
<セットリスト>
01. Change
02. Fly High
03. Arigato
04. オトナブルー
05. Toryanse
06. Free Yourself ※新曲
07. WOO! GO!
08. Essa Hoisa
09. Tokyo Calling
10. NAINAINAI
11. One Heart ※新曲
■新しい学校のリーダーズ コメント
今年最初の海外公演全力で楽しませて頂きました!
ロサンゼルスは私達にとって、共同生活をしたりEPを制作したり、沢山の出会いと思い出の詰まった場所です!
ここで日本のアーティスト様と共にライブが出来たことをとても嬉しく思います!
それぞれのエネルギーがこれからも世界に響き続けていくのが楽しみです。
■Ado
世界30都市以上50万人を超える日本人アーティスト過去最大級となるワールドツアーを控え、海外にも多くの熱狂的なファンを持つ22歳の歌い手、Adoはボックスのなかに立ち、シルエットで登場。
大型スクリーンのアニメーションを背景に、大ヒット曲「唱」「新時代」「うっせぇわ」など計10曲を歌い上げた。「愛して愛して愛して」ではAdoとファンが絶叫で声を合わせ、盛り上がりは最高潮に達した。
Adoはショーの最終盤で「新しい学校のリーダーズ、YOASOBIとステージをシェアしているのは夢のよう。日本の音楽と文化を体験してくれてうれしい。最高の夜だった」と英語と日本語で語り、ファンに感謝を表した。
<セットリスト>
01. 唱
02. 新時代
03. うっせぇわ
04. ラッキー・ブルート
05. Tot Musica
06. ルル
07. 愛して愛して愛して
08. 逆光
09. Episode X
10. 踊
なお『matsuri ’25 』のチケットの売り上げの一部は、1月にロサンゼルス郡で発生した山火事の被災地支援に充てられる。また、この日のイベントの模様は、3月29日18時からWOWOWで放送される。『MUSIC WAY PROJECT』は、今後も世界各地でライブを開催する予定だ。
【プレスカンファレンスレポート】
『matsuri ’25 』に先立ち、日本貿易振興機構(JETRO)は3月16日、ピーコックシアターで、日米の音楽関係者を集めた交流会を開いた。
CEIPAの野村達矢理事(日本音楽制作者連盟理事長)は「日本政府やトヨタグループが活動をバックアップしてくれている。官民一体となり、日本の音楽コンテンツを世界に広めていきたい」と挨拶した。
交流会では、「音楽フェスとライブイベント―日本人アーティストの国際市場における成功の鍵」をテーマに音楽関係者によるパネルディスカッションが行われた。
モデレーターを務めた音楽ジャーナリストのライアン・J・ダウニー氏は「私の17歳の娘はアニメやゲームを通して日本の多くのアーティストを知っている」と述べ、アニメやゲームを海外進出の足がかりにするビジネスモデルの可能性について問いかけた。
コンサートや音楽フェスを手掛ける米国のプロモーター、ゴールデンボイスのエレン・ルー副社長は「日本のミュージシャンはアニメやゲームとのコラボレーションに前向きな点が素晴らしい。音楽の世界を超えた存在として、アニメやゲームのファンにもアピールできる」と語った。
ルー氏は「音楽フェスやアニメ、ゲームのコンベンションから一歩踏み出し、米国で自分のショーをやるには、本当に費用がかかる」とも述べ、会場の借り上げや機材運搬にかかるコストの問題を指摘した。海外進出の成功に向けた具体策にも議論が及んだ。
アーティストのマネジメントを行う米国のエージェンシー、ワッサーマン・ミュージックのトム・ウィンディッシュ執行副社長は「SNSなどのプラットフォームに書き込まれたコメントを通して、人々の嗜好がわかるようになった。日本のアーティストはこうした情報をファン獲得につなげるべきだ」と助言した。
日本でロックフェスやアーティストのライブを企画制作するクリエイティブマンのロブ・ケルソー米国事業部長は「世界は英語以外の言語に開かれつつある。自信を持って海外のアーティストとコラボしてほしい。『英語が話せない』という言い訳は通用しない」と日本人アーティストの挑戦を後押しした。
PHOTO BY Viola Kam(V’z Twinkle) ※Ado
PHOTO BY YURIHASEGAWA ※YOASOBI、新しい学校のリーダーズ
イベント情報
『MUSIC AWARDS JAPAN 2025 KYOTO』
開催日時:2025年5月21日(水)・22日(木)
※開催ウィーク:2025年5月17日(土)~23日(⾦)
会場:ロームシアター京都
放送:NHKにて生中継 ※22日(木)のみ
配信:YouTube(グローバルストリーミングパートナー)にて全世界配信予定 ※一部地域を除く
協力:経済産業省(調整中)、文化庁
『MUSIC AWARDS JAPAN』公式サイト
https://www.musicawardsjapan.com/