「日本の響きを世界へ」をテーマに今年からスタートした新都市型フェス『CENTRAL MUSIC & ENTERTAINMENT FESTIVAL』(以下『CENTRAL』)。
4月4日から6日の3日間、4会場5ステージを舞台に、ポップス、ロック、ヒップホップ、アイドルなど、多彩なアーティストが登場し、ここから始まるあらたなムーブメントを予感させた。本稿では、4月6日Kアリーナ横浜で開催された“CENTRAL STAGE”DAY3の模様をお届けする。
■HANA、誕生の舞台へ!デビュー直後とは思えないクオリティの高さで魅了
会場照明が消えると、前方のスクリーンには『CENTRAL』のアイキャッチに続き、HANAの文字が浮かび上がり、オーディエンスからは熱い歓声が巻き起こる。そこからも、BMSG×ちゃんみながタッグを組んだガールズグループオーディション『No No Girls』を通して結成された新ユニットの注目度の高さを感じさせた。
CHIKA、NAOKO、JISOO、YURI、MOMOKA、KOHARU、MAHINAの影が浮かぶと声援はさらに高まり、その声に包まれながら、ライブはYouTubeで急上昇ランク1位を獲得したプレデビュー曲「Drop」からスタート。そして、椅子を使ったコレオグラフとブレイクダウンのダンスパートも目を引く、『No No Girls』での審査楽曲として認知度の高い「Tiger」へ。クールでパワフルなユニットとしてのパフォーマンスに加え、個性の際立つソロパートでも観客を圧倒し、デビュー直後とは思えないクオリティの高いライブを提示した。
また、MCでは柔らかな口調で観客への感謝を述べ、そのギャップも魅力的だ。ラストは4月2日にリリースされたデビュー曲「ROSE」。HANAのポテンシャルの高さをしっかりと示し、鮮烈な印象を残しながら、『No No Girls』最終審査の場であり、グループ誕生の舞台でもあったKアリーナ横浜にて、フェスデビューを飾った。
■YZERRしか紡げない言葉でかたち作られた、圧倒的にリアルなラップ
続いて登場したのは、2024年の東京ドーム公演をもって解散したBAD HOPのリーダーであり、現在はソロ活動に加えて、起業などを通して多角的にヒップホップ界を牽引する、ラッパーのYZERR。2月12日発売のソロアルバムのタイトル曲「DARK HERO」から「uhn uhn」と、シリアスにライブを展開する。
MCではサングラスを外し、ソロとして初めて立つKアリーナ横浜を感慨深げに眺め、「めちゃくちゃ良い光景ですね」と観客に呼びかける。そして、「俺が走ってるのは億万長者への道ってことで」と、彼だからこそ説得力を持つ言葉からの「Million Road」など、ソロアルバム曲をDJ CHARIとともにタイトに進行させていく。
「AwichさんやCreepy Nutsさん、HANAさん…HANAちゃんかな? そういう今日の出演アーティストのように、いろんなヒップホップや音楽があって、それに刺激を受けている」と、この日の出演者に言及するMCから、「俺のことを初めて観た人には、俺が、クソみたいな環境で育ってきたことを知ってほしい」と続けたYZERR。「TEIHEN」や「THE FLAME」などの楽曲を通して、彼自身が育った環境や見てきたストリート、現在の成功、そして未来への展望を歌い上げる。そこでのYZERRでしか紡げない言葉で形作られた、圧倒的にリアルなラップに、観客は息を呑んだ。
「今日は横浜なのでこの曲をやります」と、横浜のヒップホップの礎を築いたDS455の楽曲のカバーである「Miss Luxury」をパフォーマンスし、地元神奈川のヒップホップシーンへのリスペクトも表現。
「次は自分のワンマンで、横浜のアリーナに立ちたいと思います」という決意のこもった宣言に大きな拍手が沸き起こるなか、ラストは「俺の生まれは言わなくてもわかるでしょ?」という言葉に続け、自身のルーツである川崎を描いた「South Side」を観客の合唱に包まれながら披露。ソロとしてのYZERRの存在性をライブとしても表明した。
■Awith「諦めなければ、リベンジできるから」
『コーチェラ 2024』への出演など、国内外で高い注目を集めるAwichは、スポットライトに照らされ、自身の経験とキャリアをラップとして綴る「Queendom」でライブをスタート。曲のラストを「荊棘を抜け、立つKアリーナ!」とアレンジし、会場の喝采を呼んだ。
ダンサーとともに展開され、Awich自身もダンスで楽曲の世界をより立体化させるダンサブルな「ALI BABA」、「Kアリーナ、飛び跳ねな!」という呼びかけとともに、会場全体がジャンプで一体となった、Awichのディスコグラフィを代表する「Remember」と、会場を一気にAwich色に染め上げた。「未開の土地を開拓している私やYZERR、Creepy Nutsのように、そしてすべての人に向けて」という言葉から、1月5日リリースのシングル「Frontiers」を歌い、最新系のAwich像を提示。
MCでは「私もコンセプト的には『No No Girls』だったからね。ずっと“NO”って言われてきたし、HANAさんを応援してます。ちゃんみなも素晴らしいユニットを生み出してくれてありがとう」と、HANAとちゃんみなに言葉を贈り、大きな拍手が上がる。「私が頑張ることで、音楽活動を続けることで、みんなに伝えたいのは、諦めんなよってことです。諦めなければ、リベンジできるから」という、力強いメッセージを観客に伝え、そのまま「Revenge」へ。そこから連続して「WHORU?」や「Bad B*tch 美学」へと繋げ、ハードな言葉と強いメッセージを観客に刻み込む。
さらに同じ沖縄出身のOZworldやCHICO CARLITOとの「RASEN in OKINAWA」、JP THE WAVY、YZERRを迎えた「GILA GILA」など多彩なコラボによるライブを披露。最後はWu-Tang ClanのRZAと制作した新曲「Butcher Shop」を観客に届け、圧巻のステージを締めくくった。
■“世界”というフィールドでCreepy Nutsの名を高めたパフォーマンスと楽曲を連続披露
“CENTRAL STAGE”のラストを飾ったCreepy Nuts。最新アルバム『LEGION』の1曲目でもある「中学22年生」から始まり、観客の手拍子とジャンプで会場が揺れた「doppelgänger」「ビリケン」とライブを繋げる。そして「よふかしのうた」「合法的トビ方ノススメ」と、Creepy Nutsのクラシックにはオーディエンスが大きく手を上げ、その一体感はさらに高まっていく。
「『CENTRAL』は今回が第一回目。こんな豪華なアーティストが出るイベントの、最終日の最後のアーティストが俺ら?」というR-指定の言葉に、「待ってほしい。荷が重い(笑)」と返すDJ 松永。その軽妙なやり取りには笑いが起きるが、「HANA、Awich、YZERRという組み合わせはなかなかないし、おもろいやんな。来年も続けるために、大盛り上がりして、皆さん残ってる体力を使い果たして帰ってください」とR-指定が続け、「はらぺこあおむし」「ちゅだい」を繰り出すと、カラフルなビートアプローチとラップで、会場を引っ張っていく。
そして、世界的なDJバトルイベント『DMC』で世界王者を戴冠したDJ 松永のターンテーブルプレイから、世界中でバイラルヒットを起こした「Bling-Bang-Bang-Born」と、“世界”というフィールドでCreepy Nutsの名前を高めたパフォーマンスと楽曲を連続披露し、会場の熱気は最高潮へ。その光景にR-指定は「間違いなく世界でいちばん盛り上がりました」と観客に呼びかけた。
後半は原曲をアカペラとフリースタイルで再構成し、過去と現在をドキュメントする「生業」、TV主題歌としても注目を集めた「二度寝」「オトノケ」と展開。「ヒップホップがKアリーナでライブができる、この光景を通常にしたい」というメッセージから、ラストは「通常回」。万雷の拍手の中、深々と頭を下げ、ふたりはステージを締めくくる。
ヒップホップや、そこから派生する現行のポップシーンの芳醇さを表現したKアリーナ横浜での“CENTRAL STAGE”3日目は、こうして幕を閉じた。
TEXT BY 高木“JET”晋一郎
■セットリスト:CENTRAL STAGE DAY3
『CENTRAL MUSIC & ENTERTAINMENT FESTIVAL 2025』
2025年4月6日(日)神奈川・Kアリーナ横浜
CENTRAL STAGE DAY3
◎HANA
01.Drop
02.Tiger
03.ROSE
◎YZERR
01.Dark Hero
02.uhn uhn(Hook, 1vese)
03.Million Road
04.South Side Flow
05.Bishobisho
06.5Star
07.Foreign(Hook, 1verse)
08.TEIHEN(Hook, 1verse)
09.Back Stage(Hook, 1verse)
10.THE FLAME(Hook, 1verse)
11.Miss Luxury(Hook, 1verse)
12.Wet Skin
13.何回も
14.South Side
◎Awich
01.Queendom
02.Guerrilla
03.ALI BABA(Solo Ver.)
04.Remember
05.Frontiers
06.Revenge
07.かくれんぼ
08.洗脳(SOLO Ver.)
09.WHORU?(SOLO Ver.)
10. Bad B*tch 美学 Remix
11.RASEN in OKINAWA(OZworld, CHICO CARLITO)
12.NINOKUNI (OZ1人バージョン)
13.LONGINESS REMIX
14. GILA GILA feat. JP THE WAVY, YZERR
15.Butcher Shop
◎Creepy Nuts
01.中学22年生
02.doppelgänger
03.ビリケン
04.よふかしのうた
05.合法的トビ方ノススメ
06.はらぺこあおむし
07.ちゅだい
08.耳無し芳一Style
09.Bling-Bang-Bang-Born
10.生業
11.LEGION
12.二度寝
13.オトノケ
14.通常回
■イベント情報
『CENTRAL MUSIC & ENTERTAINMENT FESTIVAL 2025』
04/04(金)神奈川・Kアリーナ横浜、臨港パーク
04/05(土)神奈川・Kアリーナ横浜、横浜赤レンガ倉庫 赤レンガパーク特設会場、KT Zepp Yokohama、臨港パーク
04/06(日)神奈川・Kアリーナ横浜、横浜赤レンガ倉庫 赤レンガパーク特設会場、KT Zepp Yokohama、臨港パーク
『CENTRAL MUSIC & ENTERTAINMENT FESTIVAL 2025 in Taipei』
04/19(土)Zepp New Taipei
『CENTRAL MUSIC & ENTERTAINMENT FESTIVAL 2025 in Kuala Lumpur』
04/26(土)Zepp Kuala Lumpur
『CENTRAL MUSIC & ENTERTAINMENT FESTIVAL 2025』公式サイト
https://central-fest.com/