■「挑戦を止めない三代目、最高だよね。それについてきてくれるMATEもマジで最高!」(NAOTO)
7月3日、三代目 J SOUL BROTHERSとして8度目となるドームツアー『KINGDOM』の最終公演が大阪・京セラドーム大阪にて開催された。
2010年のデビューから不動の7人で音楽シーンに数々の歴史を刻んできたJSB3。このツアー中には10月4・5日に初の単独スタジアムライブ『三代目J SOUL BROTHERS 15TH ANNIVERSARY STADIUM LIVE “JSB FOREVER ~ONE~”』がヤンマースタジアム長居で開催されることが決定にて決定。大阪で行われるスタジアムライブに向けて、このドームツアーの締めくくりの大阪ライブも伝説にするのは当然。そんな矜持さえ感じた7人の王とMATE(ファンの呼称)が作り上げた1日をレポートする。
開演時間1分前になると、会場は暗くなり60からカウントダウンが始まる。カウントダウンが進むたびに段々と客席からのクラップと数える声が大きくなり、0になった瞬間、京セラドームに雷鳴が轟く。MATEの持っているライトスティックも赤く光り、オープニングムービーが始まる。そのムービーは今回の“王国”というコンセプトにふさわしい、見ているだけで壮大なファンタジー映画の世界に引き摺り込ませる力を持つ強烈な映像体験。
そのままムービーが進んでいくと、各メンバーをひとりずつ紹介するパートに入り、メンバーの顔がスクリーンに映し出されるたびに大きな歓声が起こる。一人ひとりを神話に出てくる神様のように紹介しており、“ここから新世界を創造し、王となる”というメッセージというふうに受け取れる。ステージ上の炎を使った演出も、その神々しさを際立たせていた。
そしてセンターのスクリーンが重々しく開かれ、7人の姿が見えるとMATEも総立ちとなり「BLAZE」からライブがスタート。待ち侘びた今市隆二とOMI(「O」は、スラッシュありが正式表記)の歌声に酔いしれる会場。しかし熱を帯びていくふたりの煽りにつられ、次第にMATEの“Blaze out”の声も大きくなっていく。
NAOTO、小林直己、ELLY、山下健二郎、岩田剛典のダンスも非常にアーティスティックで、激しさはなくとも京セラドームの空気を完全に掌握している。最後は「Say Oh!」のコールアンドレスポンスと爆発の演出、そしてモニターに大きく“KINGDOM”の文字が映し出されて、会場の熱気は早くも最高潮となった。
間も無くファンファーレのようなイントロが鳴り出し、今市が「Welcome to KINGDOM! Are you Ready? ここにいる全員手を掲げろ!」と告げて、「RAISE THE FLAG」を始める。7人のパフォーマンスだけでなく、50名を超えるサポートダンサーによるフラッグを使ったパフォーマンスも、今日この王国に入国したMATE一人ひとりを歓迎するかのように盛り上げる。曲中には7人が会場中央のサブステージに移動し、臨場感たっぷりに歌声とダンスを届ける。
ただOMIの「ファイナル準備はいいか!」から始まった「O.R.I.O.N.」の途中からフロートステージにメンバーが移動。これは要するに動くステージで、アリーナを縦横無尽に動き、よりMATEに接近していく。ただでさえジャンプ不可避のノれる代表曲なのに、そんなことされちゃ自己最高跳躍をせずにはいられない全方位のMATE。NAOTOが促していたクラップの音も“YEAH!YEAH!YEAH!”のシンガロングも大きくなる。
そんな数万人の一体感から生まれた幸せな空気感を受け取って始まった「Yes we are」のときに映し出されたメンバーの顔は一様にほころんでいるように見えた。
続く「Feel So Alive」はELLYのテクニカルなラップ、「J.S.B. LOVE」ではダンスメンバーのソロダンスパートでと、個人の実力でも会場を盛り上げる。特に小林のアクロバティックなダンスとOMIが最後に見せたシャウトは「これがドームツアー8回目の実力か」と感じさせ、会場をざわつかせた。
バンドメンバーがゆったりとしたBGMを生演奏で響かせるなか、MCに入る。まず今市が「大阪の皆さん盛り上がってますかー!」と叫んで会場を盛り上げる。5月から始まったツアーはあっという間だったと振り返り、この日まで支えてくれたサポートダンサーとミュージシャン、スタッフに拍手を送った。そして「集まってくれた人への感謝の気持ちを届けながら、自分達自身この日を噛み締めてラストまで突っ走ろうと思います。よろしくお願いします!」と伝え、山下へパス。
山下もコール&レスポンスで盛り上げたあと、「暑いね! でももう空調マックスなんだよ、これ! ビックリだよね!ということは皆さんの熱気がすごいからです!」と讃える。10月の長居スタジアム公演にも触れ、「まだ暑いと思うんで、その日まで体力つけといてください! 今セットリストの打ち合わせしてるんだけども、24時間ライブになりそうなんで!」とまさかの報告。もちろんそれは未定だが、それくらいするという意気込みは十分に感じた。
岩田はアリーナ、スタンドと煽り、なぜかメンバーもひとりずつ煽っていく。この時間を自由に楽しんでいる岩田は「大阪お待たせしました。不安にさせてごめんね。ずっとお前のこと考えてたから」と言い、黄色い歓声が上がる。最後はハイテンションに「最高の夏を駆け抜けようぜー!」と伝え、メンバーに「チャラいな!」「情緒不安定すぎる!」とツッコまれていた。
ELLYは男子と女子に分けてのコール&レスポンスを行ったあと、「僕ら三代目 J SOUL BROTHERSはライブがいちばん大切な場所なんですけど、ファイナルまで怪我なく健康に迎えられてうれしい」と感謝を伝える。ELLYもスタジアム公演は何時間やればいいかわからないと言い、「何時間やればいいですか?」と客席に尋ねると「24時間!」と声が返ってきて、山下は「どっちが先に倒れるかだね!」と答えた。
NAOTOは「大阪の皆さん! …会いたかったぜ」と挨拶から大盛り上がり。メンバーによるとこの日がいちばんハマったらしく、NAOTOも「気持ちいいー!」と喜ぶ。そしてこのツアーは新しいことをやってきたと話し、「挑戦を止めない三代目、最高だよね。それについてきてくれるMATEもマジで最高!」と感謝する。その一例としてNAOTOはこのツアーで王冠を被って踊ってきたが、マジで難しかったとのこと。最後に「閉国まで楽しんでくれますか!」と伝えて盛り上げた。
続けて小林は「(MC)長くない?」とツッコみ、「それだけ楽しいってことか。今日のライブは今日しかないので、今までツアーやってきましたがいちばんのKINGDOMを一緒に作ってくれますか?」と問いかけ「ありがとう。楽しんでってください!」とスマートに締めた。
ラストはOMI。配信で観ている人にも向けて「誰ひとり置いていくことなく、最後までしっかり繋いでいきましょう。準備はいいですか?」と伝え、コール&レスポンスを行い「最後まで特別な日にしましょう」と伝えて、「TONIGHT」に入った。
センチメンタルなふたりの歌声と滑らかかつ指先まで熱がこもったダンスは、一人ひとりの寂しさを抱きしめていくように見える。そしてここからはボーカルふたりとダンサーひとりが主となるパフォーマンスで楽曲を届けていく。NAOTOがタバコを咥えながら踊った「Eemy.meeny.miny.moe!」で色気を見せれば、山下は女性ダンサーと大人なストーリーを想像させる「You got my mind」を届ける。ボーカルふたりはあえてダンスと楽曲の世界観を引き立たせる歌い方に徹しているように感じ、そこには15年目のクリエイティブとコンビネーションのレベルの高さも同時に感じた。
ELLYは「俺の番が来た」と言わんばかりの熱を持って、サブステージに移動しながら「Honey」を情感たっぷりに歌い踊る。小林は「花火~線香花火」をソロやサポートダンサーのEXPG生とドラマチックに表現し、岩田は自身の主演ドラマ主題歌でもある「What is Your Secret?」。触れたくても触れられないような複雑な心情を我々の心にも訴えかける。
このパートの最後は新曲「New Page」。明日に向けて優しく背中を押すナンバーで、ライブではサビで会場は手を横に振って一体感が高まる。途中OMIが何かしらのミスをして今市が「珍しいな!」と驚く場面も。ただそれもライブの醍醐味と変え、会場を盛り上げたのは、さすがだった。
ここでCGアニメーション映像を挟む。7人を模した動物のキュートな公式キャラクターが異世界に引き込まれて、大きな怪獣と対峙する。最初は逃げるも追い込まれ絶体絶命のピンチとなったところで7匹の持っていた宝石が輝き出し、巨大化かつ勇猛な姿に変わり立ち向かう(NAOTOを模したカワウソはそこまで大きくならずかわいいままだけど…)。
そこから各メンバーのソロの時間へ。ハット被った今市が「TUXEDO」でクールに魅せれば、岩田は灼熱のサマービーチチューン「TORICO」でアゲる。山下は重厚さと爽やかさを併せたEDMサウンドで前向きな歌詞を届ける「I Can Do It」、NAOTOは「カワウソちっちゃかったなー」とツッコんでから、文字どおりポップだけどどこか掴み所もない「Popcorn」で楽しませ、ELLYはライブへのストイックさが伝わる「Double Play」で熱く引き締めた。
小林の「SCARLET」はその一挙手一投足に相変わらず説得力があり、大型モニターに視線を預ける隙がないほどステージを観てしまう。最後はOMIが「この曲がほしかったんだろ?」と「CHAIN BREAKER」を投下。心を縛る鎖を壊して己を解き放つ貫通力のあるナンバーを届けた。そして再びアニメーションが始まると、怪獣に勝利。その怪獣が残していった王冠に7つの宝石が合わさった…というところで映像は終了した。
その後出てきた今市が「後半戦まだまだ盛り上がっていくぞー!」と叫んで始まった後半戦は10曲を繋げたメドレーをほぼフロートステージに乗りながら披露。そのなかには説明不要の知名度を誇る「R.Y.U.S.E.I.」や、ダンスがSNSやCMでも話題となった「Share The Love」や「Rat-tat~tat」もあった。これをメドレーの短い尺でやったと書くと「もったいない」と思う人もいるかもしれないが、そういった曲に頼らずとも初見も関係なくドームを揺らせているここまでにJSB3のすごさがあるし、こちらが思っている以上に常に最高を更新し続けていることが伝わった。
このメドレー中にはサポートダンサーたちにスポットを当てるパートもあり、思い思いのダンスを見せていた。メドレー最後の「Beautiful Life」「STARS」の2曲では、非常にピースフルで優しい空気感になり、この場にいる全員の自己肯定感が上がり、人生の主役として胸を張れる気分になった。全員主役、全員優勝。そんな多幸感のまま、本編ラストナンバーは「RAINBOW」。大合唱が巻き起こり、MATEのスティックライトによって京セラドームは虹色に染まる。何より全員笑顔だ。メンバーも何度も「みんないつもありがとう!」と愛を伝えて、極彩色と温かなバンドサウンドに包まれながら、本編は終了した。
すぐにアンコールは起こり、待つ間には客席を映してMATEのカメラアピールのコーナーなどが行われた。岩田剛典のソロツアーの告知を挟み、モニターに“JSB”の3文字が現れると「J!S!B!」とコールが起こる。そのコールが起こるたび、モニター映像は凍りついていく。そして限界までいったところで映像が砕け崩れていくと「ICE BREAKER」がスタート。客席からのメンバー登場に会場も驚く。「まだまだいけるか!」「燃え尽きようぜ!」とメンバーも煽り、クラップもハンズアップも、コール&レスポンスもまったく疲れ知らずで盛り上がった。この曲はあらたなライブ定番曲になりそうだ。終盤の火花が上がるサブステージでのパフォーマンスにも大きな歓声が送られた。
そして改めて次なるステージがヤンマースタジアム長居でのスタジアムライブであることを示す動画が流れ、このツアーのラストソングを飾る「J.S.B. DREAM」の演奏が始まる。OMIは「MATEには俺たちがいる! 俺たちにはお前らがいる!」と告げて歌い始めた。明朗な楽曲を変わらぬクオリティで歌い上げる今市とOMI、そこに抜群に息の合った5人のダンスを観ていると、いやここからまたライブを始めるのかというくらい勢いが変わっていない。
ただここまでのライブを観ていると、それもそうかと思った。もう次の建国の準備は始まっていて、しっかり先を見据えている彼らはここで疲れを見せるわけもないし、良い意味で浸ってもない。ただこのドームツアーでもらってきた感謝と誇りはしっかり胸に刻んで進んでいるように見えて、頼もしさが勝ったし、忠誠心さえ芽生えた。“JSB!”のコール&レスポンスをしている頃には、またセンターモニターが重々しく開き始め、7人は新たな扉の先へ向かっていく。そして最後に「スタジアムで会おう」という言葉を残して、8度目のドームツアー”KINGDOM”は一度閉国となった。
多くの挑戦と個の強さを改めて見せつけた今回のドームツアー。日本の音楽シーンに絶対王者として君臨するための旅は続いていく。
ライブ情報
三代目J SOUL BROTHERS 15TH ANNIVERSARY STADIUM LIVE “JSB FOREVER ~ONE~”
10/04(土)大阪・ヤンマースタジアム長居
10/05(日)大阪・ヤンマースタジアム長居
ツアー詳細はこちら
https://jsb3.exfamily.jp/s/ldh02/news/detail/11074
三代目 J SOUL BROTHERS OFFICAL SITE
https://jsoulb.jp/