■「全部で31公演、悔いなし!」(長屋晴子)
緑黄色社会のワンマンライブ『Channel Us 2025 at 東京体育館』が、7月4日・5日の2日間にわたって東京・千駄ヶ谷の東京体育館にて開催された。
2月にリリースされた最新アルバム『Channel U』を携えて、3月から6月にかけて計29公演のホールツアー『Channel U tour 2025』で日本中を駆け巡ってきた緑黄色社会。
今回開催された『Channel Us 2025 at 東京体育館』は『Channel U tour 2025』の集大成的なワンマンライブであると同時に、緑黄色社会の結成記念日・7月4日をオーディエンスと一緒に祝福し合う「結成13周年アニバーサリーライブ」でもあった。そして――全国ツアーから続く一連のライブのグランドフィナーレを飾る形となった7月5日の公演は、『Channel U』に結実した緑黄色社会の進化の証が唯一無二のポップスペクタクルを描き出す、珠玉のステージだった。
WOWOW独占生中継による放送・配信も行われた『Channel Us』2日目・7月5日。長屋晴子(Vo&Gu)・小林壱誓(Gu)・peppe(Key)・穴見真吾(Ba)とサポートドラマー・比田井修、というお馴染みのラインナップが、一人ひとり小さなステージに乗っているようなステージセッティング…はホールツアーと同様だが、『Channel Us」』はその4人+1人に加え、男女2名・計4名のコーラス隊を擁した9人編成を基本としてライブが構成されていた。それによって、ライブの幕開けを飾った「Party!!」の高揚感も、「sabotage」「これからのこと、それからのこと」のアグレッシブなバンド感も、破格の豊潤さと躍動感をもって鳴りわたり、序盤の段階からクライマックス級の歓喜と熱気で満場の観客を包んでみせた。「『Channel Us』――メンバーだけじゃなくて、目の前にいるみんなも巻き込んで、今日だけの最っ高のライブを作れたらと思ってます。絶対にいい日にしようね!」と快活に呼びかける長屋の声に応えて、場内一面に熱い拍手と歓声が巻き起こっていった。
穴見のファンキーなベースラインから流れ込んだ「馬鹿の一つ覚え」「Monkey Dance」、peppeのピアノと小林のエモーショナルなソロプレイがセンチメントを掻き立てる「マジックアワー」、コーラス隊との共鳴によってゴスペル的な重厚な響きを得た「僕らはいきものだから」など、セットリストの要所要所に『Channel U』収録曲を配していたこの日のアクト。加えて、ライブ中盤には、バンドにとっての初音源となるミニアルバム『Nice To Meet You??』(2017年)からの「Bitter」から、2024年の配信シングル曲「ナイスアイディア!」まで、時系列順にメドレーで駆け抜けてみせた。自身の個性を全方位的に咲き誇らせながら国民的バンドへと成長してきた13年の歩みが、スリリングなほどに目映い名場面として展開されていった。
さらに、「新曲です」と続けて披露されたのは、『Channel Us』初日・7月4日に配信リリースされたばかりの最新楽曲「illusion」だった。ドゥーワップ的なコーラスワークとダンサブルなビート感が、東京体育館の広大な空間を晴れやかなクラップで満たしていった。そこから一転、長屋が旅の中で生まれた心情を綴ったという「オーロラを探しに」へ。長屋のピアノ弾き語りから始まった歌と演奏はやがて、バンドアンサンブル&コーラスとともに雄大なサウンドスケープを編み上げていく。緑黄色社会の音楽性がさらなる「未知のゾーン」を描き続けていることを、自らの歌と音で克明に物語ってみせた。
「みんなの声を聞かせて!」という長屋の呼びかけが割れんばかりのコール&レスポンスを巻き起こした「あのころ見た光」、さらに「サマータイムシンデレラ」の伸びやかな歌声が響きわたると、熱気溢れる会場はなおも刻一刻と祝祭感を増していく。「10代!」「20代!」から「70代以上!」「幼稚園・保育園の子!」と呼びかける長屋に応えて、各年代のオーディエンスが高らかに声を上げるコール&レスポンスの様子からは、幅広い世代に愛されている緑黄色社会の「今」がリアルにうかがえた。
「花になって」「Mela!」「キャラクター」とライブアンセムを立て続けに響かせ、客席をクラップとシンガロングの渦に巻き込んだあと、本編の最後に演奏したのは『Channel U』のオープニングナンバー「PLAYER 1」。“絶体絶命ってチャンスなんじゃないの?/そんなときにこそ行くぜ/- 無敵だZONE -”――シーン最前線をひた走る自身の状況すらも「その先」の革新と飛躍の糧に変えるようなバンドの挑戦精神が、最高の一夜を激しく、鮮やかに彩っていった。
「改めて、私たちすごいことをしてるなって」…「BONUS STAGE」で「Each Ring」「Alice」を披露したあと、長屋が静かにオーディエンスに語りかける。「13年の月日を経て、こういうステージに立ってると、みんなからも近い人からも『すごく大きな存在だね』って言ってもらえる。でも、大きく見えている私たちは、今いるみんなも合わさって、大きな緑黄色社会になってます。みんなのおかげで大きくなって、この場に立ててます。こんな素敵な景色に繋げてくれて、私たちに出会ってくれて、今日みたいな最高のライブを一緒に作ってくれて、心から感謝してます」。そんな長屋の言葉に呼応するように、高らかな拍手が客席一面に広がっていった。
「まだまだ、小さいものを拾い集めて、大きくなって、もっともっと素敵な景色を見せていくからね!」とさらなる決意を語ったところで、最後にひときわダイナミックに響かせたのは「恥ずかしいか青春は」だった。“恥ずかしいか青春は/馬鹿らしいか真剣は/僕ら全力でやってんだ”と渾身の歌を突き上げる長屋が、そしてバンド一丸となって繰り出す強烈なドライブ感が、熱演の終幕を美しく飾っていた。最後に「全部で31公演、悔いなし!」(長屋)と9人全員で深く一礼する姿に、惜しみない拍手喝采が会場中から降り注いでいった。
夏フェス出演とファンクラブライブ『livestone vol.3』6公演を挟んで、緑黄色社会は9月から11月にかけて東名阪Zepp公演も含む全12公演のアジアツアー『Ryokuoushoku Shakai ASIA TOUR 2025』を開催することが決定している。
PHOTO BY AZUSA TAKADA
TEXT BY 高橋智樹
<7月5日セットリスト>
01.Party!!
02.sabotage
03.これからのこと、それからのこと
04.馬鹿の一つ覚え
05.Monkey Dance
06.マジックアワー
07.僕らはいきものだから
08.始まりの歌
09.[メドレー]
Bitter
リトルシンガー
幸せ
夏を生きる
たとえたとえ
陽はまた昇るから
ピンクブルー
ナイスアイディア!
10.illusion
11.オーロラを探しに
12.あのころ見た光
13.サマータイムシンデレラ
14.花になって
15.Mela!
16.キャラクター
17.PLAYER 1
[BONUS STAGE]
01.Each Ring
02.Alice
03.恥ずかしいか青春は
緑黄色社会 OFFICIAL SITE
https://www.ryokushaka.com/





