亀梨和也が主演を務める『神の雫』のアニメ化決定制作発表会が、11月20日に行われた。亀梨と糸曽賢志監督が登壇し、TVドラマ『神の雫』主演に続き、TVアニメ『神の雫』でも、同じ主人公・神咲雫を演じることになった想い、アニメの声優に本格的な挑戦をしている現在の心境、アフレコ時のエピソードをたっぷりと語った。
■亀梨和也、オファーを受けた決め手は「縁を感じたから」
アニメ化の経緯について質問されると、「アニメになるのがちょっと遅い感じすらある」と話した糸曽監督は「おそらく眠る必要があった」とし、「やっと時期が来た」とニッコリ。最新の技術が投入されたアニメーションと、古くから芸術的な飲み物として愛されてきたワイン。最先端と最古の芸術が組み合わさることに「いいなぁ」と感じたと、企画を聞いたときの心境を明かした糸曽監督は、「お話をいただいたのは2023年。自分にできるかどうかと感じつつも、実写にもアニメにも関わってきた自分に『リアリティのある物語を作りたい』とのことで」と振り返り、「フランスにも行き、ワイナリーを回って現地の空気を取り入れつつ作っている状況です」と胸を張った。
主人公・神咲雫役のキャスティング理由は「ふたつある」と話した糸曽監督。「ひとつは実写で演じた方がアニメでも演じるというのは、あまりないしとてもユニーク。実写で勉強させてもらった身としては、亀梨さんのイメージがすでに付いていました。明るい役から、最近では影のある役もやられたりと、幅広くやってるイメージがあるので、会議の場で提案しました」と自身の提案だったことを明かす。
提案した瞬間は「シーンとなりました」と苦笑いの糸曽監督。その理由は、亀梨が忙しくスケジュールが確保できないこと。また、本作は毎週キャストが集まって収録するスタイルを取るため、よりスケジュールの調整も難しい上に、そもそも亀梨がそういった条件を受け入れてくれるのかという問題があったからだと説明した糸曽監督は、「これまでに例もなくて。それでも何度も何度も提案したら、スタッフさんも乗ってくださり、キャスティング担当が走ってくださり、プロデューサーさんが後押ししてくれました。そして亀梨さんも『やりたい!』と言ってくれました。本当に皆さんに感謝しています」と喜びを噛み締めていた。
「お話をいただけるとは思っていなかった。最初は『神の雫』がアニメになるんだ、くらいの感覚でした(笑)」と、いちファンとして期待する想いだったという亀梨。「16年前にドラマで演じて、どの角度で何を求められているのか。手探りの状態でした」と声優としてのオファーへの感想を語った亀梨は、「半年以上のスパンでやっていく話数の長いアニメ。初めてのことだらけで、果たして自分に務められるのかという部分もあったので、長い時間悩ませていただきました」と明かす。
結果、オファーを受ける決め手になったのは「縁を感じたから」だそうで、「ドラマで演じて、アニメでも声をかけていただけることにご縁を感じます。物理的な技術も含めて、きちんと作品に向き合えるところに行けたらいいなという想いで、ディスカッションさせていただきました」と役を受けることになった経緯を丁寧に説明した。
「アニメ化にあたっては(ドラマのときよりも)より原作に近い感じで捉えていかなければならないと思いました」と話した亀梨。ドラマに続きアニメでも演じる雫については、「根っこにある部分には懐かしさも感じつつ。このセリフ、このシーン、久しぶりだなぁなんて思いながら演じました」と笑顔を見せる。
ただ、同じ役でもドラマとアニメでは演じ方に違いがあるとし、「画に対してセリフを入れていく。ドラマは自分の間合いや呼吸があるけれど、アニメは決められた枠内に入れていかなければいけない」とし、さっきまでテンション低めな演技をしていたかと思えば、次の瞬間にはテンション高めの演技に切り替えるというのを一連でやっていかなければいけないとし、そこから戸惑いがあったと振り返る。
アフレコ初日は「とにかくガチガチ。どこに立てばいいかもわからなくて…」と思い出しながら苦笑いの亀梨だったが、「そこは原作の雫と同じで。ピュアで魅力的なキャラクターの力を借りて、やらせていただいています」と、雫とリンクするような気持ちで挑んだという。さらに「監督、スタッフ、キャストの皆さんが『こういう準備をしたほうがいいよ』とか『自分はこういう準備をしてるよ』と教えてくれて。チームに支えられながら(収録を)進めさせていただいています」と収録現場の様子を伝えた亀梨は、制作チームへの感謝の言葉も口にしていた。
解禁になったティザーPVを観た亀梨は、「美しい」とご満悦。アフレコ時との画と比較して「僕並みの画(ラフ画の状態)に声を入れるときもあったのに…」と完成した映像にうっとりの様子で、「この瞬間まで(原作がアニメ化されずに)眠っていた意味がわかります」と力を込め、「作品の持っている美しさ、リアリティが伝わってきました」と見入っていた。
糸曽監督は「ギリギリまで編集を繰り返していました」と語り、アフレコ時の亀梨から「どういうアニメになるのか」と何度も訊かれていたと明かす。「早く形にして観ていただきたいと思っていました」と話し、「亜樹(直)先生からも、荘厳な感じでグッときましたと連絡をいただきました」と原作者からの太鼓判にニッコリ。亀梨も「僕も連絡いただきました!」と続き、「期待MAXだな! めちゃくちゃいいじゃん!」とのメッセージをもらったと報告。さらに亀梨は、アフレコ初日は収録現場に入るまで、そして入ってからも逐一、亜樹にメッセージを送るほど緊張していたとも明かす。
1話収録時には、リモートで亜樹らもアフレコを見学していたそうで、その様子を見た亀梨は「まさに総合芸術だなと思いました」と感じたとも話していた。雫を演じるときには声を少し高めに出しているそうだが、「(収録が)2週間くらい空いてしまうと、ちょっと亀梨に戻ってしまって(笑)」と笑わせる場面も。収録済みの雫の声を聞きながら、トーンを調整することもあったという。そういった積み重ねで「形になっていくのはうれしいです」と、体感として「よし!」の判断基準がわからないとしながらも、着実に雫が出来上がっていくことに充実感を滲ませていた。
アニメ化にあたり心がけていること、大切にしていることについて、糸曽監督は「ワインは嗅覚と味覚で楽しむもの。アニメは嗅覚も味覚もしないので、視覚と聴覚でどう補うのかを考えました」と説明した上で、「ワインの“色”にこだわっています」と力を込める。続けて、「色、ボトル、すごくこだわっています。エチケットとかも本物みたいに作っています」と、こだわり抜いて絶賛制作中だと笑顔を見せると、「楽しみ!」と亀梨も出来上がりの映像に期待していると微笑んでいた。
雫というキャラクターについて、亀梨は「本当に純粋で、育ちもいい子。ビジュはチャラっとしたカッコ良さがあるけれど、根っこの部分は純粋な青年だと思って演じています」とコメント。続けて「父の死をきっかけにではあるけれど、これまで背いてきた父の存在に気づく旅にもなる。何かに本気で向き合ったときの人間の煌めき方、開き方を感じています」と分析。現在収録中のエピソードは「本当の覚悟でその道を歩み始めた逞しさを感じながら、録音しているところです」と説明し、「ワインを通じて、まさしくいろいろな旅をしていくというか。いろいろな世界が出てくる、漫画の世界観、規模感がすごいです」と世界観の魅力にも触れていた。
■亀梨和也からKAT-TUNが出てしまう瞬間
冒頭から何度も当たり前のように話していたが、本作は毎週、キャストが集まって一緒に収録していくスタイルを採用している。MCの吉田尚記から、このスタイルは収録中に誰かが失敗をすれば、そこで収録がストップすることがあると告げられた亀梨だったが、「一緒にやるのが当たり前だと思っていたので。ハードルの高さに気づかずにやっています」とケロリ。しかし、本番は緊張感があると力を込め、「見様見真似でやっています。台本をめくる音を立ててはいけない。めくりが間に合わないとダメとか。折るといいのかとか(笑)。チェックマークの入れ方もアドリブも、みんなやり方がバラバラだけど、ちょっとずつ自分のスタイルができているような気がします」と自身の変化にも触れる。
最初は特別ルールで、雫専用に1本マイクを当てていたそうだが、「半年くらい経ったので、ちょっとずつ隣のマイクに入るようなこともできるようになりました」と胸を張った亀梨は、「少しずつ仲間に入っているような気がしています!」とうれしそうに報告。このあと、1話のアフレコ収録時の映像が流れたが、亀梨は「これはまさに初日! 初日はまずいでしょ」と苦笑いしつつも「マイクから顔が外れている!」などと、過去の自分に向けてダメ出しをするなどして、盛り上がっていた。
糸曽監督は「偉そうな言い方かもしれないけれど、変わっている姿を見させてもらっています」と亀梨の変化と成長に目を細める。アフレコを重ねて感じたのは「思っている以上に声で(芝居を)成立させようとしないほうがいい」と語った亀梨は、「感覚の話なので難しいけれど…」としながらも、実写と声の芝居との違いについて丁寧に言及していた。
アフレコ現場はとてもアットホームだと話した糸曽監督は「これまでいろいろなアニメの現場に参加したけれど、こんなにキャストさんと話している現場は初めてです」とニコニコ。亀梨は「前室は学校みたい(笑)。声が素晴らしい人のリアクションにだんだんと馴染んできました」とキャストとコミュニケーションも順調な様子で、「最初はテレビで聞いていたあの声だ! と、すごいところに来たという感覚がありました」と徐々に慣れていったことも正直に明かしていた。
糸曽監督は「僕たちしか知らない亀梨さんの話をします!」と前置きし、「ひとつは、雫に怒る演技をしてくださいとお願いすると毎回、亀梨さんの舌打ちを聞くことができます(笑)。KAT-TUNが出た! ってブースが盛り上がります」と告白。もうひとつも、亀梨からKAT-TUNが出てしまう瞬間だそうで、「女性キャラと雫が対話するシーンでは色っぽすぎることがあって。抑えてくださいとお願いすることもあります」と話した。それに対し、亀梨が「その収録当時はライブのリハが多くて(KAT-TUNが)出ちゃいました」と理由を説明したそう。糸曽監督は「取材の方向けのエピソードです」と前置きして、亀梨のモードがKAT-TUNになっているときの裏話として話す場面もあった。
■「(山下智久と)お互い、繋がりを感じています」(亀梨和也)
発表会では、雫のライバルとしてワイン対決に挑む遠峰一青役の佐藤拓也、ソムリエ見習いで、ワインの知識に乏しい雫をサポートする紫野原みやび役の内田真礼からコメントも到着した。佐藤からは「好きなキャラクターを教えてほしい」とのリクエストも。亀梨は「ワイン事業部の本間さん。コメディタッチのシーンが多くて、やっていてすごく楽しい。アドリブも動いている限り入れるように言われているシーンもあります。エネルギッシュで好きです」と回答。キャストについては今後発表されるという。
どのキャラクターも大好きだという糸曽監督は「あえてひとつ挙げるならワイン。気温、開けるタイミング、歴史ひとつ取っても、味が全然変わってくる。こんな液体あまりない気がするから、ひとつのキャラクターというか。どういう味、香りがするんだろうと考えながら演出しています!」とワインへの並々ならぬ愛情を言葉にしていた。
原作者・亜樹直からのコメントを受けて亀梨は、「すごくうれしいです」と満面の笑みを浮かべる。日仏米共同製作ドラマ『神の雫/Drops of GOD』で主演を務めている山下智久と食事をした際に、自然と『神の雫』の話になったことも明かした亀梨は、「お互い、繋がりを感じています。作品が繋げてくださったご縁を感じながら、一緒に贅沢なワインをいただいたりとかして…」とうれしそうに語り、原作の亜樹とも3人で一緒に飲もうと提案されていることも明かしていた。
さらに亀梨は、「山Pは撮影もフランス。僕はドラマは国内、アニメはブースなので、フランスに連れていってください!」とお願いし、取材陣の笑いを誘う場面も。糸曽監督が「『神の雫』を知らないフランス人はいない」とフランスでの作品の認知度を指摘。亀梨は日本でも実感しているそうで、「ドラマで演じたときも、飲食店の方から尊敬の眼差しを受けます。『ワイン、どうしましょうか…』って言われます。お店でも勉強させてもらいました。そのときのことを思い出しながらやっていますし、最後までしっかり努めたいなと思います」と、改めてアニメでの雫役をまっとうすることへの決心を口にしていた。
最後の挨拶で糸曽監督は「ワインに命を懸けているキャラクターばかりが出てきます。作品はワイン中心に回っている世界。ワインを中心にした人間ドラマだけど、一生懸命やっている人ってユニークにも面白くも見えます。最高のドラマでありながら、ちょっとしたコメディーにもなっています。ワインを片手に笑ったり感動したりしながら観てほしいです」と呼びかける。
亀梨は「原作、アニメ、ドラマの世界観とともに、様々な景色を旅することができたらいいなと思っています。世界中の方々に愛されるような作品になるよう願っています」とした上で、取材陣には「香りも感じていただけるような情景が見えるような届け方をしていたけたら!」と作品の魅力に力添えしてほしいともリクエストし、大きな拍手を浴びていた。
この日はボージョレ・ヌーヴォー解禁日ということで、フォトセッション時に使用するワインは、亀梨が開けることに。用意されたワインは、本作のワイン監修を務めるモトックス・本間氏の手配による「ボージョレ ヌーヴォ キュヴェ・ヴィエイユ・ヴィーニュ」。本間氏は、原作にも登場する本間長介のモデルでもあり、亀梨がトーク中にお気に入りのキャラクターとして挙げた人物だ。
そして、最後に糸曽監督がグラスを掲げ、「では、スタッフ・キャスト、そして本日お越しいただきました皆様の健康と、アニメ『神の雫』の無事の完成と成功を祈りまして…『Sante!(サンテ!/「e」は、アキュートアクセント付きが正式表記)』」の掛け声で、亀梨と笑顔で乾杯をし、イベントは締め括られた。
■【画像】アニメ決定制作発表会の様子
■【動画】TVアニメ『神の雫』ティザーPV
■番組情報
『神の雫』
TOKYO MX、関西テレビ、BS日テレにて、2026年放送予定
原作:亜樹直・オキモト・シュウ『神の雫』(講談社モーニングKC刊)
監督:糸曽賢志
キャスト:亀梨和也 佐藤拓也 内田真礼 銀河万丈
(C)亜樹直・オキモト・シュウ・講談社/TVアニメ「神の雫」製作委員会
■関連リンク
TVアニメ『神の雫』番組サイト
https://dropsofgod-anime.com/


