『MUSIC AWARDS JAPAN』主催のCEIPAとTOYOTA GROUPによるグローバルショーケース&カンファレンス『ennichi ’25 presented by CEIPA × TOYOTA GROUP “MUSIC WAY PROJECT”』が、現地時間12月1日・2日の2日間にわたり、米国ロサンゼルスにて開催。
1日は、日米音楽業界関係者およびメディアに向けたカンファレンスが開催、2日は、Awich、f5ve、JP THE WAVY、PSYCHIC FEVERが出演するライブイベント『ennichi ’25 Japanese Music Experience LA』が開催された。
■初日のパネルディスカッションには、きゃりーぱみゅぱみゅ、m-floの Taku Takahashiらが登場
『ennichi ’25 presented by CEIPA × TOYOTA GROUP “MUSIC WAY PROJECT”』は、エンタテイメントの世界的な中心地であるロサンゼルスから、日本の「今」の音楽を発信し、グローバルな音楽市場ビジネスの可能性をより高めていくことを目的としたもの。
1日はCEIPA × TOYOTA GROUP “MUSIC WAY PROJECT”とジェトロ・ロサンゼルス事務所共催によるカンファレンスが開催。文化庁・都倉長官をはじめ、パネルディスカッションには海外進出を成功させた先駆者でもあるきゃりーぱみゅぱみゅも登壇し、今後の海外進出戦略を担う日米の音楽関係者にとって有意義なIndustry Mixer(業界関係者交流イベント)となった。
1日の会場となったのはハリウッドの中心地にある JAPAN HOUSE Los Angeles。この日も隣接する施設では映画の大規模プレミアイベントで賑わいを見せるなど、エンタメが日常である、いかにもハリウッドらしい光景だ。130名以上の日米音楽関係者が集まるなか、JAPAN HOUSE Los Angeles の海部館長は、開会の言葉で「最前線で活躍する日米業界関係者同士の関係構築の機会を提供することを目的としています。この機会がきっかけで、日米音楽関係者同士の関係が深まることを願っています」と述べた。
わずか6時間前にロサンゼルスに到着したばかりという都倉長官は「クリエイティブの観点からしても大きなポテンシャルを秘めている日本の才能を海外に送り出すためには、調整役が必要であることが叫ばれている。日本政府もその動向を支援する」と語り、イベントの名称『ennichi』にかけて「縁日の縁は会うべくして会うという“Destiny”(運命)も意味している」と、このイベントでのネットワーキングが大きなムーブメントのきっかけになる可能性を感じさせた。
続いて JETRO 奥村理事は「日本の音楽やアニメは海外、特に米国に大きなファンベースがある。このイベントでさらに日本のポップカルチャーに親近感を持っていただきたい」と抱負を述べ、最後に CEIPA村松理事長は「我々のプロジェクトの発端は、音楽は世界と人々を繋げることができるという信念から始まった。今日こうやって各業界のリーダーや未来の音楽・テクノロジー・クリエイティブを創造するイノベーターたちが一堂に介した。ぜひとも新しい発想やパートナーシップを模索していただきたい」との言葉で挨拶を締め括った。
続いてパネルディスカッションでは、音楽プロデューサーで日本・韓国・米国の音楽ビジネスに造詣の深いJeff Miyaharaがモデレーターを務め、海外進出を成功させた先駆者でもある、きゃりーぱみゅぱみゅ、アーティスト、DJ兼プロデューサーであり常に最先端の音楽を届け続けるm-floの Taku Takahashi、グラミー賞受賞歴もある音楽プロデューサーのPeyote Beats (ever.y inc.) が登壇し、日米の音楽シーンでキャリアを重ね、現在活躍しているアーティストがどのようにチャンスを見出し、試行錯誤を経てキャリアを築いてきたのかを語り、そのストーリーを通じて、海外進出におけるリアルなプロセスと現場の実態を浮き彫りにするなど、様々な観点から日米の音楽シーンでの進出に関しても議論が行われた。
Taku Takahashiは、日本でも有名になったロサンゼルスで開催される全米最大の日本ポップカルチャーイベントであるANIME EXPOでのDJ出演体験を語り「アメリカではアニメやドラマ、ゲームをきっかけに日本の音楽を知る人が非常に多く、実際に現地の観客が日本語の歌詞を歌っていたことに驚いた。日本国内では想像しにくいほど、アメリカには多くのチャンスがある」と述べ、自身の体験から日本の音楽が海外でより広がっていく未来に確信を持つようになったと話した。
海外にファンも多い、きゃりーぱみゅぱみゅは、2012年にデビュー曲「PONPONPON」のフルサイズMVをYouTubeに公開した際のエピソードを振り返り、当時、日本ではフル尺を投稿することは非常に珍しく、自分自身も「これを出したらCDが売れなくなるのでは」と不安を抱えていたと語った。しかし「PONPONPON」は日本だけでなく世界中の人々に届き、自分を知ってもらう“自己紹介”の役割を果たしたと説明した。結果として海外のファンが増え、そこからワールドツアーに繋がっていったと述べ、YouTube公開がキャリアの大きな転機になったと語った。
Peyote Beats は、幼い頃から日本の音楽に親しんできたと語り、プロデューサーとして日本のシーンと深く関わるようになった大きなきっかけは、米国を拠点に活動する日本人プロデューサー、ヒロイズムとの出会いだったと話した。彼は、ヒロイズムがJ-POPの魅力を自分に開いてくれた存在であり、その影響によって “日本の音楽ならではのフィーリングやメロディのニュアンスを理解できるようになった”と説明。また、アメリカと日本の両方の音楽文化を吸収してきたことが自分の強みだと述べ、J-POP に“西洋の感覚”を自然に取り入れたり、その逆に“日本らしさ”をアメリカ市場向けに調整することができると語り、Peyoteは自分が両市場をつなぐ架け橋になれると感じていると述べた。
■2日めのライブイベントも大きな盛り上がりに
2日のライブイベント『ennichi ’25 Japanese Music Experience LA』はロサンゼルスのダウンタウンの夜景が一望できるインダストリアルな倉庫型の会場、Aurora Warehouseで開催され、会場の周りには縁日の催し物のヨーヨー釣りや、焼き鳥・たこ焼きなどの屋台が並び、まさに異空間な「体験(エクスペリエンス)型」となり、ライブ前には和太鼓演奏や鮪解体ショーなどの催しも行われ、珍しいパフォーマンスにLAのオーディエンスも大いに盛り上がった。
【ライブレポート】f5ve
オープニングを飾ったのはガールズグループのf5ve。ポジティブな歌詞とキャッチーなポップチューンで女性ファンも釘付けにする魅力で、パフォーマンスだけではなく、MCも流暢な英語で会場を沸かせる。特に中盤MC明けの、YouTubeで660万再生を誇る「Firetruck」では会場が一体化。終盤の「Underground」では、同じLDH所属で本イベントにも参加したPSYCHIC FEVERのTSURUGIがサプライズ登場し、f5veと一緒に完璧なダンスを披露し会場は大いに盛り上がった。
<セットリスト>
1. UFO
2. Magic Clock
3. Wish
4. Lettuce
5. Sugar Free Venom feat. Kesha
6. Firetruck
7. リア女 (Real Girl)
8. Bow Chika Wow Wow
9. Television
10. I Choose You
11. Underground [Performed with TSURUGI]
12. Snowman (Hannah Diamond Remix)
【ライブレポート】JP THE WAVY
続いての登場は、JP THE WAVY。ラッパーとしてだけでなく音楽プロデューサーとしても高く評価されており、日本を代表する現代アーティストである村上隆とのコラボレーションや、ファッションアイコンとしての存在感など、多方面で活躍の場を広げている。彼が放つバースからは圧倒的なカリスマ性が際立ち、その影響力の大きさには目を見張るものがある。
<セットリスト>
1. I’M FROM JAPAN
2. Bushido
3. GO GO GO
4. Okay
5. BIG BANDS
6. WAVEBODY
7. READY OR NOT
8. Neo Gal Wop
9. WON’T STOP
10. ROLLING DICE
11. What’s Poppin
12. Tokyo Drift
13. Cho Wavy De Gomenne
【ライブレポート】Awich
そして2023年の米国コーチェラ・フェスティバルの出演でも注目を集め、そのパフォーマンスで女性ラッパーとして日本のヒップホップ界に君臨するAwichがステージに。MCでは沖縄出身で「アメリカにはずっと憧れていたけれど Love & Hate」な感情があることや、夫との死別など赤裸々に語る。「夫を亡くしてから2年間落ち込んだ。でも音楽で復活しようと思った。音楽をやるからには1番になろうと頑張った。そして私はそうなったの!」と語るAwichに観客は大盛り上がり。そしてなんとサプライズゲストとしてステージに現れたのは、全米アルバムチャート1位を誇り、日本のポップカルチャー好きとしてもファンに知られるLupe Fiasco。会場は一気に熱気が漂った。
<セットリスト>
1. Frontiers
2. Shook Shook
3. Remember
4. RASEN in OKINAWA
5. LONGINESS REMIX
6. Butcher Shop
7. Wax On Wax Off [Performed with Lupe Fiasco]
8. Fear Us
9. GILA GILA [Performed with JP THE WAVY]
10. Bad Bad
【ライブレポート】PSYCHIC FEVER
満を持して最後に登場したのは、本イベントのトリを務めた PSYCHIC FEVER。2月にアメリカ6都市を巡る初のUS TOURを成功させ、YouTube再生回数が100万回を超える作品を次々と生み出してきた彼らだが、ライブパフォーマンスの迫力は映像以上だ。1秒たりとも目が離せないステージングで、オープニングの「SWISH DAT」から「Spark It Up」まで一気に駆け抜け、会場の熱気を一気に引き上げた。ボーカル、ダンス、そしてファッションに至るまで、7人それぞれの個性が鮮やかに際立つ。なかでも、TikTokで3億回再生を突破し世界的バイラルヒットとなった「Just Like Dat feat. JP THE WAVY」を生で体感できたロサンゼルスのファン達は、まさに貴重な瞬間に立ち会ったと言えるだろう。
<セットリスト>
1. SWISH DAT
2. Spark It Up
3. What’s Happeninʼ
4. Just Like Dat feat. JP THE WAVY
5. Gelato
6. Rocket (Take You Higher)
7. Psyfe Cypher
8. Tokyo Spiral
9. Highlights
10. Temperature
11. Love Fire
12. Paradise
13. TALK TO ME NICE feat. TAMP
今回の『ennichi ’25 Japanese Music Experience LA』は、3月に同じくロサンゼルスで開催されAdoやYOASOBIらが出演し大きな話題となった音楽イベント『matsuri ’25:Japanese Music Experience LOS ANGELES』の続編といったところだが、今回はヒップホップやダンスポップ、男性アーティスト多数で、日本音楽の多様性もアピールすることに成功。来場した20代の観客は「お目当てのアーティスト狙いできたが、他のアーティストにも興味を持った。うちに帰ったらネットで復習するつもり」と語っていた。数年前には米国でシティポップブームが起こるなど、アニメきっかけの音楽も含め、邦楽の浸透が肌で感じられるなか、今回のようなイベントの成功を見るにつけ、ますます今後の日本人アーティストの海外進出から目が離せない。
■【画像】日米業界関係者交流イベントの様子
PHOTO BY YURI HASEGAWA
■関連リンク
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CEIPA × TOYOTA GROUP “MUSIC WAY PROJECT”の詳細はこちら
https://www.ceipa.net/feature/musicwayproject
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