■「良いことも悪いことも溜まった感情は全部、原因は自分にある。にぶつけてくれていいんだよ。」(吉澤)
原因は自分にある。(通称・ゲンジブ)が、東名阪3都市6公演を完全ソールドアウトさせた『GNJB FC Limited Tour Laboratory -』が12月26日にZepp DiverCity(TOKYO)で開催された昼夜2部制で最終公演を迎えた。
ファンクラブ『ゲンジブ観測所』の会員だけが参加できる初のツアーということで、日本語で“実験室”の意味を持つワードをタイトルに掲げた7人は、メンバーの長野凌大いわく「これまでやりたかったこと」に果敢に挑戦。生バンドを迎えてのパフォーマンスやソロでのカバー曲披露など、新たな試みをふんだんに取り入れ、さまざまな化学反応を楽しみながら、2025年最後のライブで観測者(ゲンジブファンの呼称)に“新しいゲンジブ”の姿を見せつけた。
ベルと鐘が鳴る冬ムード満点のSEからステージを覆っていた紗幕が左右に開き、背景のステンドグラスに雪が舞う荘厳なムードのなか7人が贈ったオープニング曲は「アビスと清らな銀世界」。昨年12月に行われたクリスマスライブのために作られたナンバーを、スモークが立ち込めるステージで1年ぶりに披露すれば、客席を埋めつくす観測者は推しのメンバーカラーのペンライトを掲げて、場内にカラフルな光を投げかけていく。ファンタジックな世界観を広げながらも、リーダーの吉澤要人は“Happy Holidays”と地に響く低音でささやき、人形のように無機質なムーブも取り入れてミステリアスな空気感を流し込んでいくあたり、まさにゲンジブ流クリスマスソングといったところ。ツイードジャケットに白いブラウスのモノトーンスタイルに、イヤリングやネックレス等のアクセサリーを着けたフォーマルなビジュアルも、今の時期ならではのスペシャルなもので、続く「キミヲナクシテ」をセンチメンタルかつ上品に届けていく。
そこから「みなさんから事前にアンケートをいただいた結果、人気だった楽曲を披露したいと思います」と大倉空人が前置き、昼公演では「ネバーエンドロール」から「鳴らして、シンバル」、夜公演では「ラベンダー」から「放課後ギュッと」と、少し久しぶりな曲がお目見え。喪失を明るいトーンで描くラブソングに、等身大の若さがあふれるナンバーという取り合わせもゲンジブらしい。ちなみに、観測者のコールが湧いた夏ソング「鳴らして、シンバル」は、杢代和人がレギュラードラマ出演のためグループ活動を制限していた時期とリリースが重なっていたため、彼がライブでパフォーマンスするのは、このFCツアーが初とのこと。初日の大阪公演では「やっとゲンジブの曲全部披露できました!」と、数年越しの喜びを表していた。
2025年最後のライブということで、夜公演のMCでは「ブチ上げていくんで!」と桜木雅哉が宣言。また、ツアータイトルの『Laboratory』について、日本語で“実験室”という意味があること、FCライブだからこそ「新しいゲンジブの姿を見せていこう」という思いが込められていることを長野が説明した。その言葉通り『Laboratory』のタイトルロゴが描かれたステージ上のパネルが左右に開くと、なんとギター、ベース、ドラム、キーボードと4人編成のバックバンドが出現!デビュー曲の1stシングル「原因は自分にある。」から、華麗にジャケットを脱ぎ捨てて2ndシングル「嗜好に関する世論調査」と、彼らの代名詞でもある哲学的ピアノロックをバンドの生演奏と共に歌い踊るという、結成6年にして初の挑戦で観測者をあっと驚かせる。LED画面に歌詞と共に大映しされるメンバーの変幻自在な表情管理に、結成以来研ぎ澄まされたダンスパフォーマンスは、リアルタイムでプレイされるサウンドに乗って、より生々しい臨場感をもって観測者を魅了。「観測者のみんな、これが新しい“原因は自分にある。”です!」という吉澤の宣言は、まさにその通りなのである。
続いて、彼らを代表するロマンティックなラブソング「シェイクスピアに学ぶ恋愛定理」に、昼公演では「P-P-P-PERO」、夜公演では「推論的に宇宙人」と、ゲンジブ楽曲の中でもコミカルな色の強いエレクトロチューンを連投。手数の多いナンバーを再現するバンド陣の高い技術力も相まって、序盤から多様なゲンジブワールドの彩りを表していく。また“実験室”という意味のツアー名にちなみ、中盤ではメンバーが公演替わりで自身のチョイスによる楽曲をソロカバーするという挑戦も。ここまでの名阪4公演では大倉、吉澤、桜木、長野、杢代が担当を終えており、最終日の昼公演では小泉がロングトーンを交えて朗々と、夜公演では武藤が観測者の合唱も巻き起こしながらパッショネイトにソロ歌唱。バンドメンバーとも呼吸を合わせて“実験室”ならではの秀逸なパフォーマンスを見せつけた。その一方、初めてのソロカバーを前に小泉は「緊張しますね!」と繰り返し、武藤は子供の頃、サンタクロースよりトナカイが好きで「トナカイの角が欲しい」と書いた手紙をサンタに送ったら、鹿の角が届いたエピソードを公開。「何を話してるんだ、俺はいったい?」と動揺しつつ、「皆さんの嘘のない笑顔に僕らはどれだけ救われてきたことか! 本当にいつも感謝しております」と観測者に改めて想いを伝えた。
さらに実験は続き、バンドメンバー紹介を兼ねたインストから、黒メインのジャケットスタイルに着替えた7人が登場して「因果応報アンチノミー」へ。印象的な舌打ちと小気味よいタットダンスがSNSでも話題になり、MVが270万回再生を記録したナンバーを、生のピアノ演奏やスラップベースの重低音で奏でる贅沢なアレンジで聞かせていく。最終公演では杢代が「大好き」、桜木が「来年も会おうな!」と歌い替え、大倉もラップを荒々しく叩きつけて場内の盛り上がりはクライマックスへ。その場の空気によって音もタイミングも変わるバンドの生演奏が7人に普段とは違うエナジーを注ぎ込んでいるのは明らかで、その相乗効果は“実験室”と名付けられた今ツアーの大きな成果だ。
また「ダイヤモンドリリー」では、美しいピアノ演奏だけをバックに歌うという実験も。雪が舞うような照明効果とスポットライトを受け、左右一列に並んだ7人は、スタンドマイクで歌いつなぎ、冬の恋景色を切なく描き出していく。そこから流麗な鍵盤音が流れて小泉が「幽かな夜の夢」を歌い始めると、躍動的なバンド演奏が弾け、間奏ではエレキギターソロも炸裂。その熱に煽られ、7人のダンスもエモーショナルの度合を上げるばかりだ。スイングのリズムが心地良い「Paradox Re:Write」も、エレクトロな打ち込みの代わりにヘヴィなドラムとランニングベースが牽引するバンド演奏が入ることによって、軽快でエネルギッシュなジャズへと変貌。退廃とアンニュイ、そして激情の色を増した7人のスリリングなパフォーマンスは、さらに、メンバー同士が絡んで指を噛む「Mania」でダークに堕ちて危険な熱情を振りまいていく。最後は「ビネットネット」に「パラノイドランデブー」と、10月にリリースされた最新シングル「パラノイドランデブー」の収録曲で本編を締めくくり。艶めかしいボーカルとシンクロ率の高い緻密なダンスで醸す大人の色気は、ローの利いたバンド演奏とも相性抜群で、汗をにじませた表情でも普段のライブとは一味違う生々しさを感じさせた。夜公演の「因果応報アンチノミー」で大倉が叫んだように、これが新しい“原因は自分にある。”なのだろう。
FC限定ライブということでアンコールも行われた。LED上で“Who’s the cause?”と書かれたメーターが、観測者の“アンコール!”の声で振り切れて“Us!”に至り、“原因は私たちにある”のフレーズを作ると、飛び出した7人が放ったのは「希望的観測の定義」。これまでの楽曲で使われてきた難読漢字やリリックも組み込み、“世界観圧倒的”など観測者から見た7人のイメージを描いた新視点のゲンジブ紹介ソングは、これも「パラノイドランデブー」の収録曲で、今回のFCツアーがステージ初披露となる。にもかかわらず、これまでになくアッパーでハイパーな超高速チューンに、観測者からは大音量のコールが湧いて場内は熱狂の渦に。キーボードを担当したよっしーも「バンドの曲は難曲が多くてハードだったんですけど、メチャクチャ楽しかった!」とバンドメンバーを代表して感想を述べた。
ラストの「GOD 釈迦にHip-Hop」でも、観測者の声と振り上がるペンライトの光を浴びながら、ステージ上を移動して客席にアプローチして「観測者のみんな、愛してるよ」(吉澤)、「観測者のみんな、愛してるぞ!」(大倉)とラブコール。また、杢代は「ラスト東京楽しめましたか? 楽しかったですか? 2025年ありがとう! 2026年も楽しもうぜ、みんな!」と叫びあげた。バンドのアウトロ演奏に合わせて長野が即興でダンスして場を沸かせ、全員でジャンプしてライブも終了……かと思いきや、突如、武藤が「ここで観測者と一緒に円陣組みたいわ」と発案。ステージ上で円陣を組んだ7人は「行くぞ! 原因は!」という武藤の号令から順に名乗り、最後に客席が「観測者!」と叫んでから「俺らに!」(武藤)「ある!」(全員)と声をあげ、2026年も観測者がゲンジブと、ゲンジブは観測者と共にあることを誓った。
名残りを惜しみながら「良いお年を」「来年もよろしく」とメンバーは客席に向かって笑顔で手を振り、最後にリーダーの吉澤は今年1年ゲンジブを支えてくれた観測者に感謝。「ライブを重ねれば重ねるほど観測者のみんな、一人ひとりの笑顔と声を聞けることが生きがいになってくるんですよ。だから、来年も一緒に生きていきたいなっていう気持ちでいっぱいです。みんなさ、今年1年生きてきて、きっと良いことだけじゃなかったと思います。悪いことだったり“嫌だな”ってこともあるだろうけど、良いことも悪いことも溜まった感情は全部、原因は自分にある。にぶつけてくれていいんだよ。俺らもその分ぶつけ返してさ、そしたら本当に最高な世界を僕らが作れると思います。来年、原因は自分にある。もっともっと飛躍して、国民的アイドルに向けて頑張ってまいりますので。メンバー7人、そしてチーム・原因は自分にある。を、来年もよろしくお願いします!」と、6人に見守られながら宣言した。
そして全員がステージを去ると優雅な衣装に身を包んだ7人の幻想的な映像が流れ、2026年3月11日にコンセプトEP『文藝解体新書』(ブンゲイカイタイマニュアル)がリリースされること。そして3月17・18日の大宮ソニックシティを皮切りに、全国5都市17公演にのぼるホールツアー『LIVE TOUR 2026 輪廻の箱庭』が行われることが告知され、観測者の歓喜の声を呼んだ。新作EPのコンセプトは“文学”ということで、より濃厚なゲンジブの世界観が楽しめることは必至。ツアーのタイトルも意味深で、合わせて期待が高まる。また、昨年11月のぴあアリーナMM公演から今年7月の国立代々木競技場 第一体育館ワンマンまでの約9ヶ月を追ったゲンジブ初のドキュメンタリー『Documentary of GNJB ~貴方らしく~』も12月27日の正午よりU-NEXTで独占配信されることも決定。これまでの歩みを確かめながら、これからの彼らの飛躍に思いを馳せてほしい。
文章:清水素子 写真:Hanna TAKAHASHI
■セットリスト
<1部>
01.アビスと清らな銀世界
02.キミヲナクシテ
03.ネバーエンドロール
04.鳴らして、シンバル
05.原因は自分にある。
06.嗜好に関する世論調査
07.シェイクスピアに学ぶ恋愛定理
08.P-P-P-PERO
09.因果応報アンチノミー
10.ダイヤモンドリリー
11.幽かな夜の夢
12.Paradox Re:Write
13.Mania
14.ビネットネット
ENCORE –
15.パラノイドランデブー
16.希望的観測の定義
17.GOD 釈迦にHip-Hop
<2部>
01.アビスと清らな銀世界
02.キミヲナクシテ
03.ラベンダー
04.放課後ギュッと
04.原因は自分にある。
05.嗜好に関する世論調査
06.シェイクスピアに学ぶ恋愛定理
07.推論的に宇宙人
08.因果応報アンチノミー
09.ダイヤモンドリリー
10.幽かな夜の夢
11.Paradox Re:Write
12.Mania
13.ビネットネット
ENCORE –
14.パラノイドランデブー
15.希望的観測の定義
16.GOD 釈迦にHip-Hop
■ツアー情報
『LIVE TOUR 2026 輪廻の箱庭』
[2026年]
3/17(火)埼玉・大宮ソニックシティ 大ホール<1部>
3/17(火)埼玉・大宮ソニックシティ 大ホール<2部>
3/18(水)埼玉・大宮ソニックシティ 大ホール<1部>
3/18(水)埼玉・大宮ソニックシティ 大ホール<2部>
3/27(土)愛知・愛知県芸術劇場 大ホール<1部>
3/27(土)愛知・愛知県芸術劇場 大ホール<2部>
3/28(日)愛知・愛知県芸術劇場 大ホール<1部>
3/28(日)愛知・愛知県芸術劇場 大ホール<2部>
4/4(土)大阪・オリックス劇場
4/5(日)大阪・オリックス劇場<1部>
4/5(日)大阪・オリックス劇場<2部>
4/10(金)福岡・福岡サンパレス
4/11(土)福岡・福岡サンパレス<1部>
4/11(土)福岡・福岡サンパレス<2部>
4/25(土)宮城・仙台サンプラザホール
4/26(日)宮城・仙台サンプラザホール<1部>
4/26(日)宮城・仙台サンプラザホール<2部>
■リリース情報
2026.03.11 ON SALE
コンセプトEP『文藝解体新書』
(読み:ブンゲイカイタイマニュアル)
■関連リンク
原因は自分にある。OFFICIAL SITE
https://genjibu.jp/













