「日本の響きを世界へ」を掲げ、2026年4月3日~5日の3日間、横浜を舞台に開催された都市型音楽フェス『CENTRAL MUSIC & ENTERTAINMENT FESTIVAL 2026』。そのなかでも、エンターテインメントとサステナビリティを両軸に掲げ、音楽フェスの在り方の再構築を試みていたのが、臨港パークで行われた「CENTRAL FIELD」だ。
ここでは、『CENTRAL FIELD』のステージやパフォーマンス、会場内展示といった催しの様子と、「誰もがエンターテインメントを楽しめる環境作り」のためのアクセシビリティ配慮、ならびに地域社会や環境に配慮したサステナビリティへの取り組みにフォーカスを当ててレポートする。
■CENTRAL×金村美玖(日向坂46)展示企画「記憶の欠片」
臨港パークに入ると、会場内の各所には7つのオブジェクトが。ファンたちが熱心に写真を撮っていたこれらは、金村美玖(日向坂46)が撮影した写真と、写真から紡がれた言葉が描かれたランドスケープアート「記憶の欠片」である。
『CENTRAL』初年度の盛況ぶりを受け、今年も開催された金村美玖の展示企画。
それぞれのオブジェクトには、写真と言葉とともに「2025」「2024」といった年号が印字されており、思い出=記憶を振り返るような内容となっている。
ここで展示されたオブジェクトは7つ。ちょうど、日向坂46は4月4日・5日、横浜スタジアムで『7回目のひな誕祭 ~Welcome to HINATAZAKA ROCKESTRA~』を開催中だが…このふたつに関連性を感じてしまったのは、筆者の考えすぎだろうか。
■ダンサー、お笑い芸人、アニメトーク…多彩なステージコンテンツ
「CENTRAL FIELD」では、4月4日・5日の2日間、多種多様なステージコンテンツも開催された。そのステージの開幕を華々しく彩ったのは、横浜市内のキッズダンスチーム・Sakura Bloom Superiors、RAD SUPERIORS、white superiorsやダンス強豪校である白鵬女子高等学校ダンス部・OBSIDIANがパフォーマンスを披露した「Live! 横浜 スペシャルコラボステージ」である。
◎【4月4日】思わぬ相乗効果も?アクセシビリティ×SMA芸人
続いて、あいにくの雨模様にも関わらず、SMA芸人ステージには多くのオーディエンスが来場。今回は普段のお笑いライブとは少し趣向を変えて、観客のスマホ画面へ自動生成字幕を送る試みなど、多様な来場者が自然に楽しめるようなアクセシビリティへの工夫を凝らしたステージを展開。
前説MCとして登場したヒロ・オクムラ、そして1組目のスタミナパンによる軽妙なトークをテキストでも確認でき、悪天候下で聴き取りにくかった箇所のフォローとしても、字幕配信が効果的に機能していた印象だ。
ピン芸人として再登壇したヒロ・オクムラに続き、雨脚がピークを迎えた頃に登場したマツモトクラブも気迫で完走。
続いて登場したのが3人組のや団。水びたしのステージを転げまわる体を張ったパフォーマンスで全力投球し、ステージを後にする場面では、一同が清々しい表情を見せていた。
股間をお盆で隠しながら現れたアキラ100%は、芸の様子を音声ガイド制作者が実況するという、あらたなスタイルのパフォーマンスを展開。全裸でギリギリのジャグリング芸を繰り広げるアキラ100%に、淡々とした音声ガイドが加わることでシュールな笑いを誘う思わぬ相乗効果も。アキラ自身、新境地を切り拓いたことへの手応えを感じていたようだ。
そしてトリを飾った錦鯉も、舞台手話通訳を連れてステージへ。手話通訳者をしゃべらせようとする無茶ぶりをネタに組み込むなど、今回のステージだからこそできる要素を盛り込みながら観客を大いに沸かせた。
◎【4月5日】大盛況だった、アニメトークステージ
いっぽう、晴天に恵まれた4月5日には、ふたつの作品にまつわるアニメトークステージが開催された。
ひとつめは、『〈物語〉シリーズ』を音楽面から掘り下げるトークイベント。声優・井口裕香(阿良々木月火役)と、音楽プロデューサーの神前 暁(MONACA)、ミト(クラムボン)によるスペシャルトークを展開。
トークステージの後半戦では、「シリーズ20周年に向けたあくまで妄想の話」との前置きがあったうえで、井口裕香から「またライブがやりたい」との発言があると、ファンからは大歓喜の声が沸き上がる一幕も。そんな井口が生歌唱で披露した「白金ディスコ」で臨港パーク全体が盛り上がると、終始和やかなステージは幕を閉じた。
ふたつめのアニメトークステージは、TVアニメ『黄泉のツガイ』。「この会場は餃子のいい匂いがしますね!」と、後述する「CENTRAL餃子フェス」に言及しながら登壇したのは、声優の小野賢章(ユル役)。
宮本侑芽(アサ役)と久野美咲(ガブちゃん役)が壇上に揃うと、なんとイベント前日に放送されたばかりのアニメ第1話を全編まるごとステージ脇のスクリーンで流しつつ、声優3名がその場でオーディオコメンタリーをするという、豪華すぎるトークステージとなった。
■屋外フェスの醍醐味!CENTRAL餃子フェスとアーティストコラボフード
先に小野がトークでも触れていたように、「CENTRAL FIELD」内は各地から集まった餃子の名店による「CENTRAL餃子フェス」とアーティストコラボフードが盛況。テント内は飲食を楽しむ来場者で賑わっていた。
餃子はもちろん、ここでしか食べられないアーティストコラボフードも充実。アルコールによく合うガーリックライス(凛として時雨/abnormal pepper rice)やケバブサンド(amazarashi/言葉ゾンビ ケバブサンド)といったしっかり系フードから、=LOVE、乃木坂46らとコラボしたパフェなどのスイーツ&SNS映えするドリンクまで、老若男女誰もが楽しめるラインアップだ。
味も見た目も逸品級のフェス飯に舌鼓を打っていると、ステージコンテンツの合間にはKアリーナ横浜の「CENTRAL STAGE」、横浜赤レンガ倉庫 赤レンガパーク特設会場の「Echoes Baa」、KT Zepp Yokohamaの「CENTRAL LAB.」といった各会場で行われているライブの様子が特設ビジョンで次々と放映され(一部生配信のない公演あり)、来場者を飽きさせなかった。そう、「CENTRAL FIELD」は、イベント全体を体験できる会場でもあるのだ。
■ドリンクのプラカップにも秘密が。楽しさと環境配慮の両立
フェス飯を楽しんだあとも、「CENTRAL FIELD」ならではのあらたな取り組みに触れることができた。今回、「CENTRAL FIELD」で使われたドリンク用のプラスチックカップは、捨てられていた植物のしぼりかすなどのバイオ由来の原料を活用している。
さらに、飲み終わったあとは回収され、分子レベルまで分解されてリサイクルへ。資源循環型のイベントの実現を目指して、来場者の「楽しい」と「環境配慮」の両立を目指している。
しかもこのプラカップ、質感や見た目は従来のプラスチックとなんら遜色なし。これがバイオ由来原料なの? と思うほどの使用感とリサイクルされる仕組みのすごさに、使い捨て中心の社会が好転する期待さえ感じさせられた。
リサイクルは国内13の企業による協業で行われる。“日本の響きを世界へ”というCENTRALのコンセプトは、こうした環境面からも感じられた。
プラカップのリサイクルだけでなく、「CENTRAL FIELD」ではごみのリサイクルを徹底。昨年に引き続き、“ごみステーション”ではなくひとつの資源であることを訴えかける“リソースハブ”として、会場で出た不用物=ごみをスタッフの手で回収・分別している。
リソースハブのテント内や周囲には、スヌーピーのイラストやピーナッツコミックの名場面が散りばめられ、資源回収に協力してくれた来場者にはスヌーピーのステッカーや間伐材を活用したコースターの配布が行われていた。
サステナブルといえば、ライブに贈られる祝い花を回収・活用する「Rebloom Flower Project」とCHICO with HoneyWorksのコラボによる、ドライフラワーとアロマのフレグランスアイテム「サシェ」作りワークショップも興味深く、その他にも障がいのあるクリエイターとプロのデザイナーが一緒に創ったアートのアイロンプリントシートを使ってオリジナルサコッシュを作るワークショップ、昆虫採集ゲーム「バグハン」の出展と様々な取り組みで来場者の心を掴んでいたのも特筆すべき点だろう。
■地域や企業の共創で、社会を豊かにするエンターテインメントに
2025年の脱炭素社会実現に向けて取り組んでいる横浜市での開催ということもあって、こうした環境への取り組みが大変意義深いものであったのは間違いない。
エンターテインメントをきっかけに地域や企業が共創することで、環境・社会・経済がバランスよく発展するきっかけ作り。
「日本の響きを世界へ」を掲げた都市型音楽フェス『CENTRAL』、ひいてはサステナビリティやアクセシビリティにも積極的に取り組む「CENTRAL FIELD」の役割は大きい。
社会を豊かにするエンターテインメントのひとつのモデルとして、『CENTRAL』がさらに進化・発展していくことに期待したい。
TEXT BY ワタナベダイスケ






















