高木祥太(Vo、Ba)、サトウカツシロ(Gu)、いけだゆうた(Key)、ジョージ林(Sax)、So Kanno(Dr)の5人からなるオルタナティブファンクバンド・BREIMENによるマンスリーフリーライブ企画『GACHI』の初回が6月24日、東京・笹塚ボウルにて開催された。
■オーディエンスとの垣根を取っ払ったフリーライブ『GACHI』
笹塚ボウルはその名の通りボウリング場だが、音楽ライブなども開催されるイベントスペースも併設されている。開演前に会場に入ってみれば、BGMにダンスミュージックが流れるフロアの中心に、円を描くように機材がセッティングされている。集まったオーディエンスは、その周りをぐるっと360°取り囲む形でライブに待機している。
バンドがステージの上から観客を見下ろすのではなく、バントとオーディエンスがほとんど垣根のない状態で同じ床の上に存在している、いわゆる“フロアライブ”の形態だ。
ライブ中、高木祥太(Vo、Ba)が口にしていたが、この日は事前にセットリストも決めていなかったし、ライブの途中に休憩を入れるかどうかすら決めていなかったという。もちろん、リハーサルもなし。“決まりごと”のない空間にバンドとオーディエンスを放り出してみたときに、そこにどんな熱狂や秩序や自由が生まれるのか? そんな実験精神が、このライブの根底にはあったのだろう。
今回から始まった『GACHI』はこの日限りのライブではなく、マンスリー企画としてこれから月1回、開催されていく。『GACHI』というイベントタイトルについて、高木は「みんなでガチになりたい」と、ライブ中、そのタイトルに込めた想いを語っていた。
「AIやSNSのような実態がわからないものが溢れているけど、この空間では、みんなで“ガチ”になろうぜ」と。そんなBREIMENの意志がまさに実現された時間だったと言えるだろう。
■2時間40分におよぶ、熱狂と高揚感。まるで生き物のような音の響き
現場に来る前、私は「フリーライブなので、そこまでボリュームのあるライブではないのだろう」と浅はかな予想をしていたが、まったくそんなことはなく、終わってみればなんと約2時間40分が経過していた。その間、ほとんど音は途切れることなく、高揚感は持続し続け、音楽と人間が生み出す熱気がリセットされることもなかった。
BREIMENの5人はよくインタビューで「同じクラスにいても同じグループにはならなかっただろう」と笑いながら話しているが、だからこそ“音楽の喜び”によって繋がり得たと言える5人の演奏は、時に世界を極彩色に染めるほどに激しく、時に恋人たちの沈黙のように静かに、空間を満たした。オーディエンスも、思い思いに体を揺らしたり、佇んだり、歌ったり手を叩いたり、飲んだり食ったりしながら、BREIMENの演奏に感応し続けた。演奏者も、オーディエンスも、この日この場所にいる全員が、“ガチでいる”ことの実践者となったのだ。
開演時間になって、高木祥太、いけだゆうた(Key)、サトウカツシロ(Gu)、ジョージ林(Sax)、So Kanno(Dr)の5人がフロア中央の所定の位置につくと、まずは何かを確かめるように、各々が楽器の音を鳴らす。5人が奏でる音が重なり、いつしか幽玄な音の波に包まれる空間。そして、So Kannoがファンキーなリズムを刻み始めると、始まったのは笹塚ボウルで奏でられるに相応しい「Bowling Star」。5人が向き合って円陣を組むような形だからと言って、演奏が内向きなわけではない。むしろ、音源よりも自由に拡張されていく演奏はどんどんとオーディエンスを巻き込んでいく。
高木が時折「あなたたちも一緒に音を鳴らそう!」と言わんばかりにハンドクラップを先導し、声出しを誘導すれば、オーディエンスも盛大にそれに応える。『GACHI』は、敏腕プレイヤーたちがセッションするのをオーディエンスが眺めるだけのライブではない。オーディエンスもこの空間の“当事者”なのだ。
2曲目に披露された「IWBYL」では、その華やかな演奏が、どんな照明よりも明るく空間を照らし出す。私がいる場所からは、晴れやかな笑顔の女性が手を掲げながら一緒に歌っている姿が見えた。
今回のライブでは、BREIMENが自身のレパートリーから演奏してくのだが、高木が他のメンバーに口頭でコードを伝え、徐々に楽曲が始まる、というセッションの流れで演奏される楽曲たちは、一音一音の響きがまるで生き物のように生き生きと躍動していた。
■セッションでさらに深みを増した『GACHI』
しばしの休憩を挟んだ後には、遊びに来ていた友人ミュージシャンが入れ替わり立ち代わりに登場し、楽曲とセッションの境界線をより柔軟に行き来するようなパフォーマンスを繰り広げた。当日参加したしたのは、MELRAW(Sax)、松浦千昇(Dr)、熊代崇人(Ba)、窪田大志(Dr)である。
この季節にピッタリの「Lie on the night」などが披露された。終盤、BREIMEN+ゲスト4人の総勢9名で演奏された「LUCKY STRIKE」で生まれた熱狂は圧巻だった。
ライブ中に「楽しい~!」と叫んでいた高木を始め、演奏者たちがセッションを繰り広げながら全身全霊で喜びを謳歌していることが伝わってきて、観ているこっちまで嬉しくなってしまった。“演奏”とはきっと、人間がその肉体で生み出すことのできる最高の幸福なのだ。
マンスリーフリーライブ企画『GACHI』の第二回は、7月22日に笹塚ボウルで開催される。東京のボウリング場で、こんなにも感動と熱気に満ちた音楽ライブが行われているなんて、この世界の多くの人はきっと想像しないだろう。でも、それが現実に起こっているのが『GACHI』である。
この刺激的でラジカルな音楽イベント誕生の瞬間に立ち会えたことは、かなり幸福だった。
TEXT BY 天野史彬
PHOTO BY Riku Murata
■セットリスト(※当日その場で決定し、披露した楽曲一覧)
『GACHI』
2026.06.24@東京・笹塚ボウル
01.Bowling Star
02.IWBYL
03.棒人間
04.D・T・F
05.ODORANAI
06.チャプター
07.満員電ス
08.スプモーニ
09.Lie on the night
10.LUCKY STRIKE
11.めんどいな…
■ライブ情報
マンスリーフリーライブ『GACHI』第2回
07/22(水)東京・笹塚ボウル
開場19:00/開演19:30
※チケットフリー(抽選制)
https://www.brei.men/live/detail/?id=55480
[販売期間]
2026年6月25日(木)15:00〜2026年7月12日(日)23:59
[抽選期間]
2026年7月13日(月)〜2026年7月19日(日)
[当選発表予定日]
2026年7月15日(水)〜2026年7月19日(日)
[お申し込み方法]
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