THE SPELLBOUND×BOOM BOOM SATELLITESが、10月9日、東京・SGC HALL ARIAKEにて『THE SPELLBOUND×BOOM BOOM SATELLITES presents 川島道行10周忌LIVE“FRONT CHAPTER”-DECADE- Tour 2026』のファイナル公演を開催した。
■「こんな未来が待ってるなんて思いもしなかった」(中野雅之)
特別な夜だった。大切な記憶を共有し、それを未来につなげていくような場だった。BOOM BOOM SATELLITESの音楽が持っていたカタルシスが、あらたな形で蘇っていた。そのことを全身で体感するライブだった。
THE SPELLBOUND×BOOM BOOM SATELLITESが、10月9日、東京・SGC HALL ARIAKEにて『THE SPELLBOUND×BOOM BOOM SATELLITES presents 川島道行10周忌LIVE“FRONT CHAPTER”-DECADE- Tour 2026』のファイナル公演を開催した。
全国6都市を巡ってきたツアーの最終日となるこの日は、2016年に逝去した川島道行の命日でもある。THE SPELLBOUNDの中野雅之と小林祐介がBOOM BOOM SATELLITESの名義を復活させて活動してきたメモリアルイヤーの集大成となるステージだ。
会場に足を踏み入れると、ロビーでは「川島道行展」が開催されていた。たくさんの写真だけでなく、直筆の歌詞や、日々の思考を書き綴ったノートやスケジュール帳なども展示されている。愛用のギター、レコード、書籍やコレクションも並ぶ。生前の川島道行を身近に感じられるような、貴重な展示だった。
開演時間を迎え、ライブは「NINE」からスタート。ピアノと歌の静かな始まりから、シンセやギターが加わり徐々に轟音へと高揚していく。映像演出も印象的で、ステージ上のふたりをワンカメで追うモノクロの映像からは生々しい臨場感が伝わってくる。続く「BACK ON MY FEET」でドラムの福田洋子がステージイン、イントロを終えたタイミングでバンドロゴが大きく映し出され、フロアから大きな歓声が上がる。
BOOM BOOM SATELLITESのライブでは、抑制から興奮へと上り詰めていく展開がたびたび訪れる。「MORNING AFTER」では中野がベースを手にステージ前方へ歩み出て、小林がハイトーンでシャウトする。「RISE AND FALL」からは福田洋子に大井一彌が加わるツインドラムの編成でさらに強靭で複雑なビートを叩き出し、「MOMENT I COUNT」では小林のシャウトにディレイのエフェクトがかかってサイケデリックな浮遊感を生む。MCを挟まず次々と曲を披露していく展開で、上昇と下降を繰り返しながらどんどん大きくなる音の渦にオーディエンスを巻き込んでいく。
小林の歌声の持つ熱量にも胸を掴まれた。「DIVE FOR YOU」ではギターを掻き鳴らしながらヒリヒリとしたボーカルを響かせる。BOOM BOOM SATELLITESの楽曲が持つ躍動感を、またあらたな形で呼び覚ましているような感覚がある。
「ありがとう、THE SPELLBOUND×BOOM BOOM SATELLITESです」と小林が一言挨拶すると、XAIをゲストボーカルに迎えて「Brand New Drive」を披露。9月に配信リリースされた、パンキッシュで疾走感ある新曲だ。この曲も、歴代のナンバーが並ぶセットリストのなかに自然と馴染んでいた。
中盤、空気が変わったのは「A HUNDRED SUNS」。背後のビジョンがステージ上空に浮かび、青い光がステージとフロアを照らす幻想的な空間が広がる。続く「EMBRACE」はスローテンポの深く沈み込むような曲調で、オーディエンスを陶酔に誘う。
後半は再びエネルギッシュなロックナンバーを連ねる展開だ。ギターリフが牽引する「HELTER SKELTER」から「PILL」ではオーディエンスが身体を揺らし、「FOGBOUND」で再び深い没入感へ。メンバーの演奏を追い、その向こうにフロアも映し出す映像の効果もあいまって、ドキュメントのような体感も生まれていた。
そして「KICK IT OUT」へ。オーディエンスが拳を突き上げ、ジャンプする。この日のクライマックスのような盛り上がりだ。続く「DRESS LIKE AN ANGEL」での小林の歌声には、まるで川島道行の魂が乗り移っているように感じられる瞬間があった。
演奏を終えた中野は「ありがとうございました」と挨拶し、「最後のライブのときは、こんなこと想像できなかった」と感慨深そうな笑顔を見せる。川島の家族や親戚がライブに訪れていることを明かし、「川島くんも喜んでると思う」と続けた。小林は「BOOM BOOM SATELLITESが僕の人生の中にあって、川島さんと出会えた人生で本当に幸せです」と語った。
「こんな未来が待ってるなんて思いもしなかったし、一生懸命生きてると何があるかわからない。みんなにとっても、これから素敵な奇跡を起こすバンドでいたいと思っています」と中野が語る。「混沌とした世の中になったけど、明日からまた僕も頑張れそうな気がするし、みんなもそうだと思う。これからも演奏し続けていきます」と力強く宣言し、届けられたのが「LAY YOUR HANDS ON ME」。川島の生前最後のリリース作品に収められ、川島自身がライブで演奏することは叶わなかった曲だ。ツインドラムによる野性味溢れるアレンジと小林の伸びやかな歌声で、この曲の持つ高揚感と祝福が解き放たれる。ステージが光に包まれる。この日のハイライトのひとつだった。
続く「DIG THE NEW BREED」で、再び幻惑的なビートミュージックへ。プログラミングされたビートとアルペジオのシンセベースに乗せ、小林がボコーダーで歌う。興奮のピークを作り出した演奏を終えると、この日のライブメンバーを一人ひとり紹介。最後に「そして、川島道行」と中野が告げ、小林がフライングVギターを高々と掲げた。
「ありがとう、最後にもう一曲だけ」と告げて、ラストは「STAY」。壮大なスケールのサウンドに乗せて、まるで祈りのようなメロディを歌い上げるナンバーだ。ふたりの姿をスポットライトが照らし、ビジョンにはその姿と、在りし日の川島の姿がフラッシュバックのように映し出される。演奏を終えたふたりは抱き合い、拍手と歓声に包まれるなか、ライブは幕を閉じた。
終演後には、2027年3月の新作EP『FADING』のリリースと記念ライブ「THE SPELLBOUND × BOOM BOOM SATELLITES presents『FADING EP -A NEW BEGINNING-』」の開催も発表された。
メモリアルなプロジェクトの集大成となったこの日。感動的な余韻と共に、あらたな扉を開けた彼らの未来への期待も高まる一夜だった。
TEXT BY 柴那典
PHOTO BY タカギユウスケ
■セットリスト
01. NINE
02. BACK ON MY FEET
03. MORNING AFTER
04. RISE AND FALL
05. MOMENT I COUNT
06. DIVE FOR YOU
07. Brand New Drive
08. A HUNDRED SUNS
09. EMBRACE
10. HELTER SKELTER
11. PILL
12. FOGBOUND
13. KICK IT OUT
14. DRESS LIKE AN ANGEL
15. LAY YOUR HANDS ON ME
16. DIG THE NEW BREED
17. STAY
■関連リンク
THE SPELLBOUND OFFICIAL SITE
https://the-spellbound.com/














