2021年に1stデジタルシングル「さよならCITY」でデビューしたシンガーソングライター、汐れいら。これまでのキャリアや音楽的な特徴、歌詞や歌声の魅力、そして『THE FIRST TAKE』で披露した代表曲「センチメンタル・キス」の詳細な解説を通して、彼女の幅広い魅力を紹介する。
■業界再注目のシンガーソングライター
汐れいら(読み:うしおれいら)

・デビュー:2021年9月15日
・デビュー作品:デジタルシングル「さよならCITY」
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2002年、東京都江戸川区で生まれた汐れいらは、親の影響で幼少期から音楽に親しみ、歌うことが好きな少女だったという。ギターを弾き、作詞・作曲を始めたのは、高校の軽音部に入った16歳のとき。そのいっぽうで、小学生の頃から物語など文章を書くことにも興味を持ち、高校卒業後は芸術系大学の文芸学科に進んだ。
バンド活動も行っていた、入学直後のタイミングでコロナ禍に突入。そのタイミングにSNSに自身の楽曲を投稿し始め、この時期に音楽でやっていくことを決意。その後路上ライブで歌いはじめ、“座布団の上に胡坐をかいて座る”というスタイルで少しずつ話題を集めた。2021年9月に1stデジタルシングル「さよならCITY」でデビューを果たした。
▼汐れいら / さよならCITY 【Official Music Video】
ブレイクのきっかけは、2022年3月にリリースされた3rdデジタルシングル「センチメンタル・キス(Acoustic ver.)」。ABEMAオリジナル恋愛番組『彼とオオカミちゃんには騙されない』のBGMとして注目を集め、5月にアレンジver.を配信すると同時にTikTokを中心に拡散され、Spotifyバイラル・トップ50(Japan)などにチャートイン。優里がカバーしたことも話題となった。
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アレンジをESME MORIが手がけ、ギターリストとしてAwesome City Clubのモリシーが参加しているこの曲のMVは合計で1,900万回再生を突破(2025年8月現在)。全世界ストリーミング総再生数も5,000万回を超え、彼女にとって初めてのヒット曲となった。
▼汐れいら / センチメンタル・キス Acoustic ver. (full)【Official Music Video】
2023年8月にデジタルシングル「Darling you」でメジャーデビュー。翌年8月にリリースした1stEP『No One』は、CD + LIVE Blu-ray映像 + 小説風ブックレットというユニークな形態。音楽、映像、物語を融合させた表現、そして、“誰でもない”“ナンバーワン”という意味を込めたタイトルを含め、アーティストとしての確固たるスタイルを提示してみせた。
▼汐れいら / Darling you【Official Music Video】
その後も「味噌汁とバター」(テレビアニメ『日々は過ぎれば飯うまし』エンディングテーマ)、「恋をひそめて」(ABEMAオリジナル恋愛番組『今日、好きになりました 卒業編2025』挿入歌)、「ハレの日に」(テレビアニメ『薫る花は凛と咲く』エンディングテーマ)などの話題曲を発表。2024年9月に東名阪ツアー『Ushio Reira One Man Tour 2024”No one”』、11月には初のアコースティック・ライブ・ツアーを開催。2025年5月には音楽フェス『JAPAN JAM 2025』、8月には『SUMMER SONIC 2025』に出演するなど、ライブ活動も精力的に続けている。
▼汐れいら / 味噌汁とバター【Official Music Video】TVアニメ『日々は過ぎれど飯うまし』EDテーマ
▼汐れいら / 恋をひそめて【Official Music Video】
▼汐れいら / ハレの日に【Official Music Video】TVアニメ『薫る花は凛と咲く』エンディングテーマ
■Z世代から共感を集める汐れいらの魅力とは?
◎想像力豊かな歌詞と世界観
汐れいらのソングライティングの最大の特長は、特徴的な歌詞の書き方にある。幼少期から小説に興味を持っていたこともあり、彼女の楽曲には“架空の主人公”が立てられることが多い。その背景には主人公の人生や体験があり、楽曲ごとの豊かな物語性も相まって、様々な解釈や楽しみ方ができる。視点を変えると違う風景が見えてくるーーそれもまた彼女の歌の魅力だろう。
さらに情景描写も巧みで、曲を聴いていると頭のなかに様々な情景が浮かんでくる。語彙も豊富なので「今のフレーズ、どんな意味なんだろう」と、どんどん引き込まれていく。韻を踏んだり、普通とは違う使い方をしている言葉もあり、リピートするたびに新たな楽しみ方ができるはずだ。
◎心地よく浸透するメロディとサウンド、楽曲ごとに歌い分けられる多彩な表現
お気に入りのシャツのように、スッと身体に馴染むメロディラインも印象的。サビの旋律も決して大仰にならず、ナチュラルに進行することが多く、リスナーは安心して曲の世界に身を任せることができる。ギターやピアノを中心としたオーガニックな音作りも好印象。それは歌詞の聴き取りやすさにつながり、初めて聴いたときから、何を歌っているかがはっきりとわかる。楽曲の世界観や物語が真っ直ぐに伝わってくるボーカル表現も素晴らしい。感情の発露をギリギリのところで抑え、自分自身の思いを伝えるというより、歌詞に込められたストーリーやメッセージを手渡すように歌うスタイルもまた、彼女の大きなチャームポイントだと思う。
◎ライブパフォーマンスと飾らない人柄
路上の弾き語りライブからキャリアをスタートさせた汐れいら。2024年に行われたアコースティックツアーでは、楽曲の制作エピソードやリアルタイムの心情を話しながら楽曲を披露し、オーディエンスの心理的な距離をしっかりと縮めてみせた。また、ルーツにある楽曲のカバーも演奏されるなど、彼女自身の人となりが感じられるステージとなった。2025年開催された『ワンマンツアー2025“GABU GABU”』では、“音楽にガブガブくらいつく”をテーマにしたパフォーマンスを披露。バンドメンバーを従え、ハンドマイクで歌う場面もあり、より高揚感に溢れるステージを繰り広げた。その中心にあるのは言うまでもなく、彼女の歌。生々しい感情を響かせるライブの歌声は、ここからさらに多くのオーディエンスを巻き込んでいくはずだ。
■繊細に表現されたバラードナンバー「センチメンタル・キス」
・リリース:2022年
・作詞:汐れいら
・作曲:汐れいら
◎シンプルな“Acoustic ver.”とカラフルな“アレンジver.”
恋人同士の別れ間際のシーン、そこで生まれる繊細な感情の揺れを描いたバラードナンバー「センチメンタル・キス」。先にリリースされた“Acoustic ver.”は、アコギと歌による弾き語りバージョン。シンプルなギターのストロークによって、切なくも美しいボーカルラインが生々しく伝わってくる。途中からさらにアコギが加わり、歌声の魅力をしっかりと際立たせているのもこのバージョンの魅力だ。
汐れいら / センチメンタル・キス Acoustic ver. (full)【Official Music Video】
“アレンジver.”は抑制を効かせたビート、シンセ、鍵盤を取り入れ、よりカラフルな仕上がりに。まるで、映画のワンシーンのように歌詞の世界を立体的に描き出している。その中心にあるのはもちろん、すべてのフレーズにリアルな情感を注ぎ込む汐れいらの歌だ。
汐れいら / センチメンタル・キス【Official Music Video】
◎抒情的に紡がれる歌詞
恋愛の終わりに向かって、行ったり来たりしながら、それでも少しずつ進んでいってしまう。多くの人が経験したであろうシチュエーションを、“煙草” “ドラマ”というモチーフを使ってリリカルに映し出している。
“煙草”はおそらく、恋愛感情の熱を表している。1番のAメロにある《煙草を吸わない君の隙間》は、“君”の恋愛感情が消えかかっていることを表しているのだろう。
“ドラマ”は、なかなか終えることができない恋愛の象徴。《終わり方がわからなくて/巻き戻した最終回》というラインからは、二人の関係の停滞ぶりがはっきりと伝わってくる。さらに《チャンネルを変えたら/他の人とキスをしてる》というフレーズも。そう、“君”は既に他の誰かとの関係を作り始めているのだ。曲のなかで“ドラマ”は映画化されるのだが、《別れのシーンはあのまんま》。私は君への気持ちを残したまま、涙を流しながら楽曲はエンディングを迎える。
■『THE FIRST TAKE』で披露された「センチメンタル・キス」
2024年10月には同曲で『FLASH THE FIRST TAKE』に出演していた汐れいら。
ヘッドフォンを付け、「やっと『THE FIRST TAKE』本編、呼んでくれました。待ってましたよね。私は待ってました」と笑顔で挨拶。「じゃあ、聴いてください。『センチメンタル・キス』」と曲を紹介し、ピアノのイントロが始まった瞬間、一気に集中力を高め、楽曲の世界に入っていく。息遣い、フレーズの端の揺れ、ちょっとした手の動き、そして、切なさと苦しさを滲ませる表情。一発撮りならではの緊張感と臨場感のなかで、彼女はこの楽曲の込めた情景と感情を生々しく表現してみせた。原曲に比べてブルージーな色合いが濃く、ブルーノート的なフェイクも印象的。特に《主役だったあの人が/脇役になって》における、零れ落ちるようなエモーションには強く惹きつけられた。
▼汐れいら -センチメンタル・キス/ THE FIRST TAKE
■汐れいらの人気曲5選&聴きどころを紹介
「恋をひそめて」
心地よい疾走感に溢れたビート、爽やかで切ないエレキギターの響きに乗せて歌われるのは、そっと胸にひめた、どうしようもなく相手を恋しく思う気持ち。歌詞で描かれるのは、好きになった“君”の心をそっと盗んでしまいたいという、真っ直ぐでちょっとズルい感情。シンプルに構築されたアレンジ、ピュアな心の揺れをダイレクトに反映したボーカルを含め、汐れいらのチャームポイントがしっかりと体現されたラブソングだ。
「Darling you」
思うようにいかない恋愛関係をテーマにしたミディアムチューン。曲の主人公は、気まぐれでめんどくさがりの“君”を好きになり、どうしても惹かれてしまう“私”。耳かき、綿棒、爪、ささくれなどの日常的な言葉を散りばめ、聴く者のなかに映像を喚起させながら、“君”への愛情がどんどん強まっていく様子を詩情豊かに描き出していく。ザキザキとした手触りのギターサウンドも、ささくれ立ちそうになる主人公の感情と重なる。
「糸しいひと」
ほっこりと切ないメロディが印象的な「糸しいひと」は、汐れいらの独創的な作詞のセンスが端的に表れている楽曲だ。モチーフになっているのは、漢字の音読みと訓読み。読んだだけでは意味が伝わらないこともある音読みを“君”の愛情表現、そして、想いが伝わりやすい訓読みを“わたし”の愛の言葉に例え、二人の気持ちのすれ違いや、なかなか縮まらない距離に結び付けているのだ。愛と糸のダブルミーニングなタイトルも秀逸。
「味噌汁とバター」
軽快なシャッフルのリズム、スキップをするような旋律が楽しいポップチューン。「味噌汁とバター」という題名もユニークだが、ここで歌われているのは“幸せとは?”という本質的なテーマだ。おいしいものを食べたり好きなことをしたり、幸せなことはたくさんあるけど、フライパンのバターのようにすぐ溶ける。しかも僕らはみんな平等にいつか死んでしまう…。楽しく盛り上がりながらシリアスな思考に導かれる、とても奥深い楽曲だと思う。
「ハレの日に」
アニメ『薫る花は凛と咲く』のエンディングテーマとして書き下ろされた楽曲。環境や育ちが違う高校生同士のラブストーリーに重ねながら、女性目線で紡がれた歌詞は、「ハレの日に」という題名が示す通り、結婚式を連想させる描写が散りばめられている。同時に“何気ない日常の幸せ”も想起させ、あらゆる属性のリスナーが“自分ごと”として味わえる仕上がりに。心地よい高揚感をたたえたメロディと表情豊かな歌声も魅力的だ。
■汐れいらの最新情報をチェック
7月27日に「ハレの日に」のギター弾き語り映像を公開。ナチュラルな雰囲気の映像は、MVと同じく大久保拓朗監督が手がけている。
▼汐れいら / ハレの日に【Playing Video】TVアニメ『薫る花は凛と咲く』エンディングテーマ
さらに9月3日にCDシングル「ハレの日に」がリリース。9月からは名古屋、大阪、札幌、仙台、広島、福岡、渋谷を回る全国ツアー『USHIO REIRA One Man Tour 2025 “ねぼすけ”』が開催される。ストーリー性の溢れた楽曲、オーガニックな手触りのサウンドメイク、そして、生々しい感情を響かせるボーカルをぜひ体感してほしい。
TEXT BY 森朋之
▼汐れいらの最新情報はこちら
https://www.thefirsttimes.jp/keywords/2897/
■USHIO REIRA One Man Tour “ねぼすけ”
一般発売開始
<ローソン>https://l-tike.com/ushioreira/
<イープラス>https://eplus.jp/ushioreira/
<ぴあ>https://w.pia.jp/t/ushioreira/
チケット代 5,000円(+1Drink)
2025年
9月14日(日)愛知:名古屋JAMMIN’
OPEN 17:30 / START 18:00
お問い合わせ:サンデーフォークプロモーション 052-320-9100
9月15日(月・祝)大阪:梅田Shangri-la
OPEN 16:30 / START 17:00
お問い合わせ:キョードーインフォメーション 0570-200-888
9月21日(日)北海道:札幌PLANT HALL
OPEN 17:30 / START 18:00
お問い合わせ:ハンズオン・エンタテインメント info@handson.gr.jp
9月23日(火・祝)宮城:仙台enn2nd
OPEN 16:30 / START 17:00
お問い合わせ:ノースロードミュージック 022-256-1000
9月27日(土)広島:Cave-Be
OPEN 17:30 / START 18:00
お問い合わせ:YUMEBANCHI(広島) 082-249-3571
9月28日(日)福岡:DRUM SON
OPEN 16:30 / START 17:00
お問い合わせ:キョードー西日本 0570-09-2424
10月12日(日)東京:渋谷WWWX
OPEN 16:00 / START 17:00
お問い合わせ:ディスクガレージ https://www.diskgarage.com/

