玉置浩二が作詞・作曲・歌唱を担当しているTBS系日曜劇場『ザ・ロイヤルファミリー』の主題歌「ファンファーレ」 が、様々な世代を熱くする応援ソングとして注目されている。この曲が支持される理由、歌詞の意味、玉置浩二のアーティストとしての魅力を解説する。
■3年ぶりの新曲はドラマのために書き下ろされた応援歌
「ファンファーレ」
・作詞:玉置浩二
・作曲:玉置浩二
・編曲:トオミヨウ
・配信リリース:2025年10月13日
・シングルリリース:2025年11月5日
・Streaming/DL https://LGP.lnk.to/Fanfare_DG
◎TBS系日曜劇場『ザ・ロイヤルファミリー』主題歌
玉置浩二の3年ぶりの新曲「ファンファーレ」は、TBS系日曜劇場『ザ・ロイヤルファミリー』のドラマのために書き下ろされた曲である。
TBS系日曜劇場『ザ・ロイヤルファミリー』は、競馬の世界を舞台に、ひたすら夢を追い続けた熱き大人たちが、家族や仲間たちとの絆で奇跡を起こしていく、人間と競走馬の20年にわたる壮大な物語だ。
「ファンファーレ」はくじけそうになった人々を励まし、その生き方を肯定し、祝福していく応援歌。玉置のコメントによると、「ファンファーレ=祝福」とのことで、頑張っているすべての人を応援し祝福する歌なのだ。
◎すべての人々に響く応援歌
この曲の最大の特徴は、ドラマに登場する人物や競走馬だけでなく、様々な人々に当てはまる普遍性を備えている点にあるだろう。ドラマの主人公は元税理士で山王耕造(佐藤浩市)との出会いにより競馬の世界に飛び込んだ栗須栄治(妻夫木聡)だが、群像劇的な要素もあり、人材派遣会社の社長で馬主だった山王耕造、耕造の婚外子の中条耕一(目黒蓮)、さらには調教師や厩務員や騎手、牧場主など、馬に関わって夢を追いかけているすべての人々に響く応援歌になっている。
玉置がドラマの登場人物だけでなく、自分自身の半生を振り返りながら制作した楽曲でもあるからこそ、強いリアリティーと説得力を持っていて、多くの人々の人生とリンクし、深く届く歌になっているのだろう。
■「ファンファーレ」の魅力とは?
◎疾走感と躍動感あふれるサウンド
牧場の朝靄の風景が見えてくるようなティン・ホイッスルの音色とストリングスによるイントロで幕を開け、一気に視界が広がっていくダイナミックな展開が気持ちいい。
疾走感と躍動感あふれるリズムに乗って、軽快なAメロ、加速していくBメロ、ポジティブなエネルギーがほとばしるエモーショナルなサビへと、スケールの大きな世界が展開されていく。アコースティックギターやストリングスを効果的に用いることで、爽快感と開放感があふれて、着地点へと一気に駆け抜けていくような勢いを感じさせる曲の構成も見事だ。
◎野性味と人間味とが魅力的な歌唱
疾走感あふれるサウンドが“駆ける馬”だとすれば、その馬を自在に乗りこなしているのが玉置の歌声だ。リズミカルで伸びやかで温かみがあり、まるで馬にまたがって歌っているかのような、アグレッシブなエネルギーがほとばしっている歌声は、全身から気迫が伝わってくる。
合間に入ってくる《hey》《Yeah》《Ah》などのフェイクはまるで拍車をかけるかけ声のように響き、勢いがあって、ライブ感がある。それでいて、温かさが備わっているところが素晴らしく、《行きなさい》というフレーズの、なんと優しく響くことか。聴いている人すべてを祝福する玉置の歌声は唯一無二だ。
◎名曲「田園」の30年後の続編のような作品
1996年にリリースされた「田園」を初めて聴いたとき、まるで馬が疾走するような勢いを持った楽曲という印象を抱いた。挫折しかけている人への応援ソングという点でも、「田園」と「ファンファーレ」は共通している。おそらく玉置自身も、「田園」の続編的な楽曲ということを意識していたのではないだろうか。「ファンファーレ」のMVで、走る馬の映像とともに、「田園」のMVの映像が挿入されていることが、その根拠である。
海辺を駆ける馬の映像を観ながら、現在の玉置がアコースティックギターを肩にかけて正面を向く。続いて、一瞬、背中合わせのような位置から37歳の玉置が正面を向く映像が差し込まれている。《そのまま 生きていきなさい》というフレーズは、馬に向かって、そして、若き日の自分に向かっても歌っているようにも聴こえる。
「田園」は90万枚を超える大ヒットとなり、名曲としての評価の高い曲だが、30年の時を経て、音楽的にも人間的にもさらなる成長の跡を刻んだのが、この「ファンファーレ」なのだ。
▼玉置浩二「ファンファーレ」MUSIC VIDEO
▼玉置浩二 『田園』
■【歌詞全文掲載】聴く人を後押しする「ファンファーレ」の歌詞
「ファンファーレ」
今にも壊れそうな ヘコたれた心に
あなたは 触れてくれた
上手くやれなくったって いいんだよ
そのまま 生きていきなさい
行きなさい失ったモノ達が “心”を紡いでくれるから
千切れた手綱と絆で
愛に向かって行きなさい凍てつく朝靄 皸たその手で
僕を 摩ってくれた
応えられなくったって いいんだよ
分かってくれてるから
行きなさい会いたい人がいる 溢れそうな涙が
千切れた手綱と絆を
結いつけて 守っているから側に居てくれた 大切な
愛に向かって行きなさい
行きなさい作詞:玉置浩二
作曲:玉置浩二
編曲:トオミヨウ
人間と競走馬の世界が描かれているドラマの主題歌だが、勝ち負けにまったくこだわっていない点に、この曲の歌詞の良さがある。《上手くやれなくったっていいんだよ》《そのまま生きていきなさい》と、挫折している主人公の生き方を全肯定してくれる歌なのだ。
歌の主人公は直接的にはドラマに登場する競走馬だろう。《手綱》という言葉が出てきたり、《あなたは触れてくれた》《僕を摩ってくれた》といった動作の表現から、牧場のスタッフや調教師、厩務員などの馬に関わっている人間と馬との絆を描いていることがわかる。
この歌の歌詞の素晴らしいところは、人間同士の関係にも当てはまる点にある。
玉置自身はもちろんのこと、挫折したことのある人すべてに響く歌詞になっている。また、前述した《あなたは触れてくれた》《僕を摩ってくれた》といった動作は、親子や夫婦、恋人同士にも当てはめることができるだろう。現実には、身近な存在であるからこそ、自分の気持ちに素直になれないケースが多くある。《側にいてくれた大切な愛に向かって行きなさい》というフレーズは、自分を肯定し、自分の気持ちに素直になって、愛する人と向き合うことを促しているのだ。
つまり、「ファンファーレ」はすべての人を祝福する応援歌であると同時に、大きな意味でのラブソングになっているところも、この曲の歌詞の大きな魅力である。ゴールは競技場の中にあるのではなく、愛そのものの中にあるのだ。
30年前、37歳の玉置が発表した「田園」も人生の応援歌だった。この曲も《生きていくんだ》《それでいいんだ》と主人公の生き方を肯定する歌だった。
そしてまた、「ファンファーレ」と同じように愛の大切さを描いた歌である。この曲の最後には《愛はどこへもいかない》というフレーズがある。67歳となった玉置が歌う「ファンファーレ」と37歳の玉置の歌う「田園」との大きな違いは、主人公がより能動的になっている点だ。愛が存在していることを認識するだけでなく、自分から愛に向かって行きなさいと表現しているところに、玉置が人生経験をさらに積み、成長してきた証が現れているのではないだろうか。より自由でより素直でよりオープン、そしてより優しくて前向きな主人公の姿が見えてくる。
玉置が「ファンファーレ」という言葉を使っているのは、背中を押すのではなく、音楽そのもので肯定し、祝福しているからだろう。玉置の歌声がファンファーレそのものだとすれば、その音色は豊かで、音量は突出して大きく、人々の胸の琴線を大きく揺さぶる特性を持っているのだ。
■魂を震わせる“日本屈指の歌声”を持つアーティスト
玉置浩二(読み:たまき こうじ)
・デビュー:1982年2月25日安全地帯「萠黄色のスナップ」でデビュー
・ソロデビュー:1987年7月25日「All I Do」でソロデビュー
・生年月日:1958年9月13日
・出身地:北海道
玉置浩二&安全地帯OFFICIAL SITE https://saltmoderate.com/
玉置浩二 OFFICIAL SITE(Sony Music) https://www.sonymusic.co.jp/artist/KojiTamaki/
玉置浩二&安全地帯OFFICIAL FANCLUB https://saltmoderate.com/feature/entry
玉置浩二 YouTube @Kojitamakiofficial
◎玉置浩二とは?
1958年、北海道旭川市生まれ。1982年にバンド「安全地帯」でデビューし、「ワインレッドの心」「恋の予感」「悲しみにさよなら」など、数々のヒット曲で1980年代の音楽シーンを席巻。
ソロ活動でも、「田園」「メロディー」など、数多くの名曲を発表。2012年には、オリジナルレーベルSALTMODERATEを設立。2015年より国内外のオーケストラと共演するコンサートも実施している。
◎豊かな表現力と圧倒的な歌唱力
玉置浩二の歌声の素晴らしさは、誰もが認めるところだろう。声量の豊かさ、音域の広さ、ピッチの正確さといったボーカリストとしてのスペックの高さも際立っているが、数字には表れないところにこそ、玉置の歌声の素晴らしさがある。曲に込められた感情を歌に乗せて、聴く人の琴線に触れる歌声は唯一無二だ。
2014年には、TV番組の企画で音楽専門家による『音楽のプロが選ぶ本当に歌が上手い人ランキング』で1位を獲得するなど、プロからも一般のリスナーからも高い評価を受けている。EXILE ATSUSHI、森山直太朗、優里など多くのミュージシャンが影響を受けたと語っている。
◎旋律の美しさと歌声との一体感
玉置はシンガーとしてだけでなく、メロディメーカーとしても突出している。美しい旋律の源となっているのは、おそらくは豊かな感受性だろう。繊細かつ微妙な感情がそのまま歌になっていると感じることがあるからだ。
玉置の歌の魅力は、メロディ、歌詞、歌声が一体となっているところにもある。名曲として名高い「メロディー」がその代表的な例だ。メロディと歌詞を慈しむような歌声がじわじわと染みてくる。自分の歌声が、どの音階のどんな言葉でどう響くかを熟知しているのだろう。
▼玉置浩二 『メロディー』Live at Tokyo International Forum 1997/11/22
◎ライブは“魂の体験”
玉置の歌の素晴らしさは、ライブでこそより鮮明に実感できるだろう。全身を使って歌い、体全体から歌のパワーをほとばしらせているからだ。激しい歌によって、会場内を熱狂させる瞬間もあるが、静かな歌によって、一人ひとりの内側を揺さぶることもある。
▼玉置浩二「しあわせのランプ」
近年はバンド編成だけでなく、シンフォニックコンサートにも力を入れている。玉置の歌声と交響楽団の共演は、聴くというよりも、体験するという言葉がふさわしいだろう。
▼玉置浩二「夏の終りのハーモニー」
◎幅広い世代に楽曲提供
玉置はシンガーとしてだけでなく、ソングライター、メロディメーカーとしての才能も突出し、幅広い世代、多彩なジャンルのミュージシャンたちに楽曲を提供している。中森明菜「サザン・ウインド」、松田聖子「ローゼワインより甘く」、V6「愛なんだ」、King & Prince「We are young」、KinKi Kids(現DOMOTO)「むくのはね」、SixTONES「虹、僕」 (Jesse) 、MISIA「名前のない空を見上げて」、鈴木雅之「泣きたいよ」、大泉洋「あの空に立つ塔のように」など多数。これらの顔ぶれからも、玉置がメロディメーカーとしていかに高い評価を受けていることがわかる。
▼【公式】中森明菜/サザン・ウインド (イースト・ライヴ インデックス23 Live atよみうりランドEAST, 1989.4.29 &30)
▼V6 / 愛なんだ(YouTube Ver.)
▼King & Prince「We are young」MV YouTube Edit
▼KinKi Kids「むくのはね-YouTube Original Live-」
▼SixTONES – 虹、僕 (Jesse) [YouTube ver.]
▼MISIA – 名前のない空を見上げて (Official HD Music Video)
▼大泉 洋「あの空に立つ塔のように」Music Video
■向かうべきところへ進み続ける玉置浩二の最新情報もチェック
2015年以降、ビルボードクラシックス公演としてシリーズ化している『billboard classics 玉置浩二 LEGENDARY SYMPHONIC CONCERT 2026』が2026年3月1日のBunkamuraオーチャードホールを皮切りに、5月26日、27日のKアリーナ横浜まで、25公演が開催される予定だ。全国各地の交響楽団との共演は、圧倒的な歌唱力を持つ玉置だからこそ、可能なコンサートだろう。
玉置は「ファンファーレ」の歌詞のように、自分の向かうべきところへと真っ直ぐ進んでいる。
TEXT BY 長谷川誠
▼玉置浩二の最新情報はこちら
https://www.thefirsttimes.jp/keywords/2271/
▼楽曲リンク:玉置浩二
https://tftimes.lnk.to/KojiTamakiT1








