2025年秋にリバイバルヒットとなった「シルエット」を引っ提げ、KANA-BOONが『THE FIRST TAKE』に再び登場。実は2022年3月18日に「シルエット」は披露されており、同じ楽曲で出演するのは『THE FIRST TAKE』でもレアケースだ。世界中の音楽ファンを魅了する「シルエット」のレビュー、新体制を迎えるKANA-BOONのパフォーマンスの“今”を詳細に紹介する。
■「シルエット」
▼KANA-BOON 『シルエット』Music Video
・発売日:2014年11月26日
・作詞:谷口鮪
・作曲:谷口鮪
・編曲:KANA-BOON
・タイアップ:TVアニメ『NARUTO-ナルト-疾風伝』オープニングテーマ
◎初のアニメタイアップ
「シルエット」のリリースは2014年11月。前年9月にメジャーデビューを果たしたKANA-BOONの5thシングルであり、初めてアニメタイアップ(TVアニメ『NARUTO-ナルト-疾風伝』オープニングテーマ)が付いた楽曲だ。
谷口鮪(Vo,Gt)は以前から『NARUTO-ナルト-』のファンであることを公言していて、タイアップが決まったときはインタビューやライブなどで「また一つ夢が叶った」という趣旨のコメントをしていた。
◎共に歩んだまさに代表曲
ハイハットによるカウント、鋭利かつキャッチーなギターフレーズ、疾走感に溢れたバンドサウンド、解放感とエモさを併せ持ったメロディ。「シルエット」には当時のKANA-BOONらしさがダイレクトに反映されている。
歌詞のテーマは、大人になっていくこと。『NARUTO-ナルト-』の主人公たちは葛藤や困難にぶつかりながらも、仲間や大切な人に支えられ、未来へと進んできた。そしてKANA-BOONもまた、地元のライブハウスやオーディエンスのサポートを受けながら駆け上がってきた。そのつながりこそが「シルエット」の強さであり、バンドのファン、アニメのファンの双方をつなげるパワーにつながっていたのだ。
リリース直後からライブでも盛り上がりまくった「シルエット」。フェスやイベントでも頻繁に披露され、瞬く間にKANA-BOONの代表曲として共有されることになった。
■リバイバルヒット
◎海外からも根強い人気
リリース後も着実に再生回数を重ね、全世界でのストリーミング再生数は5億回を突破。『NARUTO-ナルト-』の世界的な人気によって、海外のリスナーにも強く訴求してきた「シルエット」は、今やジャパニーズ・カルチャーを代表する楽曲になったと言っていいだろう。
2024年11月には「シルエット」リリース10周年を記念して、KANA-BOONのYouTubeチャンネルで『KANA-BOON Silhouette 10th Anniversary 10-Hours Party “ISSE-NO-SE!”』と題したミュージックビデオ10時間連続視聴パーティを開催。チャット上で全世界から「シルエット」の思い出を募集し、数多くのコメントが寄せられた。
◎時代を越えた「シルエット」
2025年7月には人気グミ『マロッシュ』(カンロ株式会社)の新CMに起用。ナレーションをTVアニメ『NARUTO-ナルト-』のうずまきナルト役でも知られる竹内順子が担当したことも話題を集めた。
▼マロッシュ新CM「好きを信じるんだ」篇
そして2025年リバイバルヒットを記録。
そもそものきっかけは2025年7月にミャンマーのダンスインフルエンサーが「シルエット」の冒頭を、『NARUTO-ナルト-』の作中の動きに似せた振り付けつきで投稿したことから始まる。その後東南アジアを主とする文化圏で同様の振り付けを踊ったダンスが急増。
日本では9月ごろからじわじわと広まり、ダンスインフルエンサーたちの投稿が爆増したことによって大きなバズとなった。
そして10月、KANA-BOON公式SNSで実施された「シルエット」のカバー動画募集、“みんなでシルエット”企画が始動。
【おしらせ!】
/#みんなでシルエット
「シルエット」のカバーを大募集!✨
\投稿いただいたカバー動画は、
ランダムでKANA-BOON公式TikTokのファンスポットライトに掲載します!詳細は以下の画像をご確認ください!
たくさんのカバーをお待ちしています🎶… pic.twitter.com/l4rCeFe3fn— KANA-BOON (@_kanaboon) October 20, 2025
投稿された動画はKANA-BOON公式TikTokのファンスポットライトに掲載されたのだが、ここにJO1、INI、日向坂46、櫻坂46らがダンス動画を投稿したことで更に注目度が上がり、10月31日公開の『週間TikTok音楽チャート』で18位にランクインした。
▼JO1
@jo1_gotothetop エビス先生 推しです! 皆んなの推しは誰? #NARUTO #fyp #JO1 SHO RUKI #與那城奨 #白岩瑠姫
▼INI
@official__ini 左から、我愛羅、シカマル、ダルイ推しです🍥 #INI #後藤威尊 TAKERU #佐野雄大 YUDAI #藤牧京介 KYOSUKE
▼日向坂46
@hinatazakanews Happy Halloween😈🍬⭐︎ #ハロウィン #清水理央 #藤嶌果歩 #日向坂46 #日向坂46_TikTok
▼櫻坂46
@sakurazaka46.officialtk 🥷🥷🍥🍥 #NARUTO #TaniguchiAiri #NakashimaYuzuki #櫻坂46 #sakurazaka46_TikTok
さらに11月10日付の『オリコン週間ストリーミング急上昇ランキング』で1位を記録。Billboard JAPANのアニメチャート『JAPAN Hot Animation』でも約8年5か月ぶりにチャートインを果たし、最高位5位までランクを上げた。
その後もSpotifyのグローバルプレイリスト『Anime Now!』でピックアップされるなど、リバイバルヒットを後押しするアクションが継続。リリース当時を知っている20代後半〜30代には懐かしく、10代のリスナーには新鮮に響き、「シルエット」のタイムレスな魅力が改めて証明された。
■『THE FIRST TAKE』での2度目のパフォーマンスが実現
2025年12月24日には『THE FIRST TAKE』(以下TFT)にて「シルエット New Go-Line ver.」が公開された。
「シルエット」がTFTで披露されるのは、ASIAN KUNG-FU GENERATIONのベース・山田貴洋を迎えた2022年3月以来、2度目。きわめてレアなケースと言っていいだろう。
▼KANA-BOON feat.山田貴洋 (ASIAN KUNG-FU GENERATION) – シルエット / THE FIRST TAKE
しかもこの動画の公開の前日に、サポートのヨコイタカユキ(Gt)、関優梨子(Dr)が正式メンバーになることを発表。この演奏がメディア初の新体制でのパフォーマンスとなった。
▼KANA-BOON – New Go-Line ver. / THE FIRST TAKE
最初に登場したのは、谷口鮪、遠藤昌巳。「久しぶりの『THE FIRST TAKE』。マーシー調子はどうですか?」「いいね」と言葉を交わしたあと、谷口はこう宣言する。
「2026年1月1日より、ふたりのメンバーを迎え、KANA-BOON、新体制となります」
ヨコイタカユキと関優梨子を呼び込み、「どうですか?緊張する?」と語りかける谷口はもちろん笑顔だ。
「人生何度目かのどん底のなかで、ふたりが手を差し伸べてくれて。ライブを重ねるなかで、今のKANA-BOONがいちばん最高だなと実感しています。そんでもって『シルエット』という曲がまた脚光を浴びて。音楽の女神様が応援してくれてるような、背中を押してくれてるような気分です。とっても不思議ですけど、思うのは諦めなくてよかったなということを心から思います」
さらにファン、バンド仲間、スタッフ、TFTに感謝を伝え、「新体制KANA-BOON、始めます!」という言葉から演奏がスタート。イントロからAメロ辺りは緊張感、感極まっている雰囲気があったが、曲が進むにつれてーーメンバー自身が「シルエット」に励まされるようにーーサウンドの力強さが増していく。笑顔でアイコンタクトを交わす遠藤、ヨコイ、関、そして、真っ直ぐに前を向いてエモーショナルな歌声を響かせる谷口。これが今のKANA-BOONだ!と叫びたくなる、会心のパフォーマンスだ。
さらに曲の後半では、フレデリックの三原健司、ネクライトーキーのもっさ、朝日、Wiennersの玉屋2060%、さらにエンドウアンリ(Grape Kiki/PELICAN FANCLUB)、北澤ゆうほ(Q.I.S./the peggies)という盟友たちが登場し、「シルエット」を歌いつなぐ。KANA-BOONの新たな旅立ちを祝福する、スペシャルセッションが実現した。
◎今語るKANA-BOONのこれから
収録後に行われたインタビューで、「この仲間とならテッペンを目指せるなとマジで思います」、「『シルエット』、色褪せずに10数年が経ちました。それぞれこの曲に色を塗っていってください。世界中のファンの皆さんもいつか、この曲を生で聴ける日が来ることを願ってます」と語った谷口。その表情からは“KANA-BOONのピークはここから始まる”という確信に溢れていた。
■KANA-BOONにとっての「シルエット New Go-Line ver.」とは?
「シルエット New Go-Line ver.」
いっせーのーせで踏み込むゴーライン
僕らは何も何もまだ知らぬ
一線越えて振り返るともうない
僕らは何も何もまだ知らぬうだってうだってうだってく
煌めく汗がこぼれるのさ覚えてないこともたくさんあっただろう
誰も彼もシルエット
大事にしてたもの、忘れたフリをしたんだよ
なにもないよ、笑えるさいっせーのーで、思い出す少年
僕らは何もかもを欲しがった
わかってるって、あぁ気づいてるって
時計の針は日々は止まらない奪って奪って奪ってく
流れる時と記憶
遠く遠く 遠くになって覚えてないこともたくさんあっただろう
誰も彼もシルエット
恐れてやまぬこと、知らないフリをしたんだよ
なにもないよ、笑えるさひらりとひらりと舞ってる
木の葉の様に憂うことなく焦燥もなく過ごしていたいよ覚えてないこともたくさんあったけど
きっとずっと変わらないものがあることを
教えてくれたあなたは消えぬ消えぬシルエット
大事にしたいもの持って大人になるんだ
どんな時も離さずに守り続けよう
そしたらいつの日にか
なにもかもを笑えるさひらりとひらりと舞ってる
木の葉が飛んでゆくだれもかれも追いかけたシルエット
そんな日々に生かされてきただれもかれも追いかけたシルエット
どんな日々も乗り越えてきただれもかれも追いかけたシルエット
そんな日々に生かされてきただれもかれも追いかけたシルエット
どんな日々も乗り越えてきたいつの間にかそばにはシルエット
こんな日々を夢に見てきたんだ
夢を見ていたいな
今回のTFTでパフォーマンスされた「シルエット New Go-Line ver.」で谷口は、原曲にはない《いつの間にかそばにはシルエット/こんな日々を夢に見てきたんだ/夢を見ていたいな》という歌詞を歌った。
2024年から谷口、遠藤の2人体制となったKANA-BOON。TFTのなかで谷口自身が語っていたように、それはまさに“人生何度目かのどん底”だった。それでも彼らは、ヨコイ、関のサポートを受けながら果敢にライブ活動を継続。ワンマン、フェス、イベント、対バンなどを積極的に行い、ゼロの状態からバンドを構築し直してきた。TFTにおける素晴らしい演奏、そして、「シルエット」に加えられた歌詞は、とてつもなく大きな壁を乗り越え、KANA-BOONの新たなキャリアがスタートしたことをはっきりと告げている。そう、KANA-BOONのピークはここから始まるのだと思う。
■KANA-BOONの最新情報をチェック!
2026年2月から7月にかけてKANA-BOON 47都道府県TOUR 『CRITICAL HIT PARADE』を開催。2月4日の東京公演を皮切りに、7月10日の大阪公演まで半年間をかけて全国を回るこのツアーには、2023年に中断となった前回の47都道府県ツアーのリベンジの意味も込められているという。谷口鮪、遠藤昌巳、ヨコイタカユキ、関優梨子によるKANA-BOONの新たな挑戦をぜひ、全国各地のライブ会場で体感してほしい。
TEXT BY 森朋之
▼KANA-BOON 最新情報はこちら
https://www.thefirsttimes.jp/keywords/586/
