THE F1RST TIMES

COLUMN

2021.07.02

「失恋した人は絶対泣く」SNSで話題のFOMARE「長い髪」が描く“失恋ソング”を超えた別れの本質

TEXT BY 森朋之

■3ピースバンドが魅せるポップセンスと言葉の求心力

“群馬県高崎発日本語ロックバンド”FOMAREがYouTubeチャンネル『THE FIRST TAKE』の第130回に登場。SNSで“失恋した人は絶対に泣いちゃう曲”として話題を集めたバラード「長い髪」を披露し、瞬く間に100万再生を突破した。

本稿では、ネクストブレイク候補の最右翼と目されているFOMAREのキャリアを改めて紹介。代表曲「長い髪」の魅力を紐解いてみたい。

2014年にアマダシンスケ(Ba, Vo)、カマタリョウガ(Gu, Cho)を中心に結成され、翌年から本格的なライブ活動をスタートさせた3ピースロックバンド、FOMARE。2015年11月にFMGUNMA主催のバンドコンテスト『ROCKERS2015』にて準グランプリを獲得。2016年3月からライブツアー『揉みに揉まれるツアー』を行い、同ツアー中に「かわらないもの / 黒髪少女」「SONG / 恋をする自分が好きなだけだと思う」「2016 / 風 / 雨の日も風の日も」という3作のデモCDを販売したことをきっかけに、バンドシーンでの知名度を向上させた。

さらに2017年6月にタワーレコードとindiesmusic.com限定でシングル「stay with me」を発売し、12月にミニアルバム『If I stay』をリリース。2019年6月には1stフルアルバム『FORCE』を発表し、初の全国47都道府県ツアー『FORCE TOUR 2019』を成功させたことで大きな注目を集めた。活動の軸になっているのは、DIY精神に裏打ちされたライブ活動と音源制作。そう、FOMAREはきわめて真っ当なロックバンドなのだ。

全国47都道府県のツアーファイナル(11月22日/新木場STUDIO COAST)で新ドラマーのオグラユウタの加入を発表したFOMAREは、2020年11月、ソニー・ミュージックレーベルズ内の新レーベル・Threethumsより1st EP「Grey」をリリース。結成6年目にしてメジャーデビューを果たした。

このバンドの音楽的なルーツは、メロディックパンク。アマダがファンであること公言しているMONGOL800をはじめ、日本のメロコアが基盤になっているのは間違いないだろう。ゴリゴリのメロコアだけではなく、J-POP的なアプローチができるのも、このバンドの魅力。過去のインタビューで、いきものがかり、西野カナ、EXILE、SMAPなどへの愛着を語っている通り、幅広い層に受け入れるポップセンスを自然に身に付けていることは、今後の活動においても大きなメリットだと思う。そして「長い髪」もまた、彼らのポップな側面ーー幅広い層のリスナーが共感できる歌を中心としたーーが実感できる楽曲と言えるだろう。

「長い髪」は、インディーズ時代の最後のEP「目を閉じれば」(2020年7月)に収録されたミディアムバラードだ。切なさ、悲しさ、力強さが同時に伝わってくるメロディライン、歌の感情に寄り沿いながら骨太のロックサウンドを打ち鳴らすアンサンブルにも惹きつけられるが、この楽曲の求心力の中心にあるのは、やはり言葉。“あなた”との別れを経験し、一つひとつ段階を踏みながら、少しずつ離れようとする“私”の姿を描いたこの歌は、アマダシンスケの作詞家としての資質の高さを証明している。

個人的には、楽曲の最後あたりで奏でられる“この身体の一部からゆっくりとあなたを手離すの 泣きながら引き止めてよ”というフレーズに強く惹きつけられた。長い時間をかけて作り上げ、まるで自分の身体の一部のようになった“あなた”。その存在を自分から切り離し、痛みを感じながら、“さようなら”を告げるーーこの一節には、失恋ソングの枠を超えた、別れの本質が確かに刻まれている。

前述の通り、「長い髪」が広く認知されたきっかけは、SNS。リリースから半年近く経った2020年の年末にTikTok上で“失恋した女の子は絶対泣いちゃう曲”という紹介動画が投稿されると、これが一気に拡散され、4万を超える“いいね”を獲得。その後、数多くの弾き語り動画が投稿され、ストリーミングの再生数も増加。今年3月に「長い髪 -Strings ver.-」のMVが公開されると、その勢いはさらに加速した。

■感情のグラデーションを描き出すボーカルの表現力

10代を中心に失恋ソングの新たな定番として認知されはじめている「長い髪」。その魅力を端的に伝えているのが、『THE FIRST TAKE』のパフォーマンスだ。編成は、メンバーの演奏によるベース、ドラム、アコギにピアノを加えたアコースティック・スタイル。音数を抑えたシンプルなアレンジによって、この曲の核である“歌”をさらに際立たせている。特筆すべきはやはり、アマダのボーカル。“遊園地前のこの道を通る時は窓を開けて”と歌い出した瞬間、頭のなかにリアルな風景が浮かび上がる。別れを少しずつ受け止めようとする“私”の感情のグラデーションを描き出す表現力も素晴らしい。チャット欄に並んだ「泣くわ」「トリハダああああああ」「まじえぐい」などのコメントからも、この映像が与えたインパクトの大きさを実感してもらえるはずだ。

FOMAREはこのパフォーマンスについて、「すごく緊張はしていたんですけど、僕たちなりのライブ感が出て“FOMAREっぽさ”が味わえる良いパフォーマンスが撮れました」とコメント。また「『長い髪』はラブソング、ではあるのですが、恋人だけでなく家族・友達・いろんな周りの人への愛を重ねて、自由に解釈して自分の曲にしてもらえたら嬉しいです」と楽曲の魅力をアピールしている。『THE FIRST TAKE』への出演が「長い髪」のさらなるヒット、そして、FOMAREを次のステージに導くきっかけになるのは間違いないだろう。

表題曲「Grey」(TVアニメ『ゴールデンカムイ』第三期OPテーマ)を含むメジャー1st EP「Grey」もストリーミングを中心にロングヒットの気配。「長い髪」のヒットにより幅広い支持を得たFOMAREはここから、より大きなフィールドに向かって進んでいくことになるだろう。そこで彼らはどんな歌を響かせ、どんな光景を生み出すのか。FOMAREが描き出すストーリーを多くの音楽ファンとともに追いかけていきたいと思う。


FOMARE OFFICIAL SITE
https://fomare.com/

YouTubeチャンネル『THE FIRST TAKE』
https://www.youtube.com/channel/UC9zY_E8mcAo_Oq772LEZq8Q