THE F1RST TIMES

COLUMN

2021.10.27

SUPER BEAVER、283分のドキュメント。最低のコロナ禍を最高のドラマに塗り替えたバンドの生き様

TEXT BY 荒金良介
PHOTO BY Taka”nekoze_photo”(新木場STUDIO COAST)
PHOTO BY 青木カズロー(アコースティック配信ライブ、日比谷野外大音楽堂、横浜アリーナ)

■2020年という時代と必死で格闘する姿勢が浮かび上がる

2021年に入り、ライヴハウスでバンドマンに久々に出会うと、「1年以上ぶりのライヴなんですよ」というセリフを現場でよく耳にした。「有観客」、「無観客」という言葉が浸透した昨今。もちろんコロナ禍以前にそんな言葉は存在しなかった。ライヴは有観客が当たり前だからだ。その当たり前が根底から覆された2020年。アーティストやバンドマンはツアーやライヴの中止を余儀なくされ、活動の場を奪われる。

現場至上主義、目の前のあなたに届ける。そう言い続けてきたSUPER BEAVERも例外ではない。彼らは2020年4月にメジャー再契約を結び、さらなる飛躍を遂げるべく、様々な計画を立てていたものの頓挫。しかし、彼らは発信し続けることを選んだ。同年4月からメンバーそれぞれの自宅から生配信番組『都会のラクダSP~自宅のラクダ~』を連載企画としてやり続けた。そして、世の中の状況を見ながら、ライヴを発信できないかと試行錯誤する。

前置きが長くなったが、SUPER BEAVERがLIVE Blu-ray Disc&DVD『LIVE VIDEO 4.5 Tokai No Rakuda Special in “2020”』を発表する。つまり2020年に行った4本の配信ライブ映像に加えて、撮り下ろしインタビューで構成された283分に及ぶ大ボリュームだ。その中身に触れておくと、無観客ライヴ&ドキュメント映像を収めた新木場STUDIO COAST(2020年7月11日)、レコーディング・スタジオから届けたアコースティック配信ライブ(2020年9月6日)、有観客生配信ライブを行った日比谷野外大音楽堂(2020年10月3日)、そして、無観客ライブ生配信映像を決行した横浜アリーナ(2020年12月9日)の計4公演を収録。筆者も配信や現場で観たライヴもあり、改めて時系列で見返すと、2020年という時代と必死で格闘するSUPER BEAVERの姿勢が浮かび上がってくる。それと同時にバンドが変化を遂げ、それを成長へと確実に結び付けている様が映像から感じ取れる。

一発目の無観客ライブである新木場STUDIO COASTは手探り状態の部分もあっただろう。4ヵ月ぶりのライヴということもあり、メンバー4人が音を鳴らす喜びに満ち溢れている様子が配信からも十二分に伝わってきた。次のアコースティック配信では原曲のアレンジを変えて、通常のバンド編成とはひと味もふた味も違うバージョンで披露。大人びたアレンジで聴かせた「正攻法」などはまた違う角度から楽曲の良さを炙り出すことに成功。また、渋谷龍太(Vo)の歌声はもちろん、柳沢亮太(Gu)、上杉研太(Ba)、藤原“33才”広明(Dr)によるメンバー3人のコーラスも活かし、人間味溢れる温かさもアピール。配信とはいえ、距離感の近いライヴであった。

渋谷龍太(Vo)

柳沢亮太(Gu)

上杉研太(Ba)

藤原”33才”広明(Dr)

そして迎えた日比谷野外大音楽堂では、明らかにバンドの伝え方に変化が表れていた。渋谷はマイクに手を添えて“歌って”とカメラ前でジェスチャーを入れたり、今日の会場にいる観客はもちろん、配信で観ている人まで全身で届けようとする意志を感じた。それこそ、最初の無観客ライブでは拍手も歓声も歌っている声も聴こえない状態での演奏だった。そこでバンドは拍手や歓声に今まで助けられていたことを痛感したに違いない。この日比谷公演は声は出せなくとも、惜しみなく拍手を送ってくれる観客が目の前にいる。現場にいる観客や配信で観ている人すべての気持ちを全身の毛穴で感じ取り、前傾姿勢でパフォーマンスする彼らがいた。「ありがとう」が始まった瞬間の観客の反応はそれを物語っているようだ。

本作のラストを飾る横浜アリーナ公演はライヴレポの関係もあり、現場に足を運んだが、無観客の会場はこれほど寂しいものなのかと肌で痛感した。場内の冷んやりした空気は今も鮮明に覚えている。本来ならば満杯の観客で埋まっていたはずなのに、会場のど真ん中にメンバー4人とクルーがいるだけ。にもかかわらず、全身全霊で伝えようとするバンドの生き様に感動を覚えた。ライヴやツアーがたくさん飛んでしまい、過去最大キャパの横浜アリーナも無観客ライブ。本来ならばSUPER BEAVER自身が泣きたい気分だろう。しかし、つらくて苦しいのは自分たちだけではなく、今を生きる多くの人たちが同じようにつらくて苦しんでいるはずだ。その気持ちに寄り添い、汲み取って、自身のパフォーマンスに昇華させる術を身に付けていた。現場至上主義、目の前のあなたに届ける。それを揺るぎない核として持ち続けながら、横浜アリーナでは生き生きとした表情で音楽を掻き鳴らすメンバー4人がいた。

■1年で飛躍的に進化を遂げたバンドの成長記録

「紆余曲折、山あり谷あり」とは渋谷がよくMCで口にする言葉だ。2020年に結成15年目を迎え、今年17年目に突入したタイミングだが、振り返れば苦しかった時期があるからこそ、今がある。平坦な下り坂ではなく、ジグザグの上り坂と懸命に向き合い、そこから得られる知識、教訓、経験こそがバンドの地力に繋がることがわかっているのだろう。

SUPER BEAVERが時代とどう向き合ってきたのか。それを知るうえでも本作は最高の映像資料であり、何よりこの1年で飛躍的に進化を遂げたバンドの成長記録がここには刻まれている。その意味でも非常に貴重な映像集であり、そこから多くの人が自分の人生に照らし合わせ、生きるヒントや勇気をもらえる内容に仕上がっていると言っても過言ではない。


リリース情報

20121.10.27 ON SALE
LIVE Blu-ray & DVD『LIVE VIDEO 4.5 Tokai No Rakuda Special in “2020”』

Blu-ray

DVD


ライブ情報

SUPER BEAVER 都会のラクダSP ~ 愛の大砲、二夜連続 ~
11/6(土)さいたまスーパーアリーナ
11/7(日)さいたまスーパーアリーナ
TICKET SOLD OUT!!


SUPER BEAVER OFFICIAL SITE
http://super-beaver.com