THE F1RST TIMES

COLUMN

2021.12.08

布袋寅泰が唯一無二の存在感を放つ『THE FIRST TAKE』。「バンビーナ」で見せつける40年の凄み

TEXT BY 森朋之

■布袋寅泰にしか生み出せない、爆発的なロックンロール

黒のテレキャスターを持ち、堂々とした佇まいでマイクの前に立つ。バンドメンバーに視線を送り、軽やかに「OK! レッツゴー!」とひと言。身体で軽くリズムを取り、鋭利なギターリフが放たれた瞬間、爆発的なロックンロールが立ち上がる──。強烈にして鮮烈。“これぞ布袋寅泰!”と快哉を叫びたくなるパフォーマンスだ。

『THE FIRST TAKE』第174回に登場した布袋寅泰は、名曲「バンビーナ」を披露。日本のみならず、世界中にその名を轟かせるスーパーギタリスト、そして、唯一無二のアーティストとしての存在感を大いに指し示してくれた。

今年アーティスト活動40周年を迎えた布袋は、アニバーサリーイヤーにふさわしい活動を1年を通して繰り広げてきた。

1月30日・31日に日本武道館で『40th ANNIVERSARY Live “Message From Budokan”』を無観客・生配信&ライブビューイングで開催。初日はBOOWY(2つ目の「O」はストローク符号付きが正式表記)、COMPLEX、ソロキャリア初期の楽曲、2日目は「バンビーナ」や「さらば青春の光」、サプライズ登場した吉井和哉とともに演奏された「スリル」などの代表曲を軸に構成したライブを展開。彼のアーティストとしての全キャリアを網羅したパフォーマンスを見せた。

さらに8月24日には東京・国立競技場で行われた『東京2020パラリンピック開会式』に出演。ド派手なデコトラに乗って登場した布袋は、映画『キル・ビル』のテーマ曲としても世界的に知られる楽曲「BATTLE WITHOUT HONOR OR HUMANITY」を全盲のギタリスト・田川ヒロアキ、高校生ベーシストのアヤコノ、手足に麻痺があり独自の奏法で演奏するギタリスト川崎昭仁らと披露し、世界中に強烈なインパクトと感動を与えた。

また9月から12月にかけて全国ツアー『HOTEI 40th Anniversary〜Double Fantasy Tour〜“BLACK or WHITE?”』を開催しており、日本中のファンをも熱狂させている。

ギタリスト、アーティストとしての際立った個性とポピュラリティは、今回の『THE FIRST TAKE』における「バンビーナ」からもダイレクトに伝わってくる。

「バンビーナ」は鋭利なギターリフを軸にしたダンサブルなロックンロール。性急にして正確な8ビート、スピード感と解放感を掛け合わせたメロディ、“Don’t let me down/My sweet baby, bambina”“キッスばら撒いて 未来へ行こう”といったポップに開けたリリック、それらが気持ちよくぶつかり合う、布袋のキャリアを代表する名曲だ。始まった瞬間に最高速度に到達し、起伏に富んだリズムを自由に行き来しながら快楽的なグルーヴに繋げる演奏はダイナミックにして緻密。

現在のツアーのバンドメンバー[古田たかし(Dr)、井上富雄(Ba)、黒田晃年(Gu)、奥野真哉(Key)、庵原良司(Sax)、岸利至(Programmer)]と作り上げてきたアンサンブル、同ツアーでも披露されている新たなアレンジメントは本当に素晴らしく、同時に、豊かな厚みと鋭利な手触りを併せ持った布袋のボーカルも、ここにきてさらに精度を上げているように感じられた。

そして何といってもギターソロだ。軽やかにステップを踏みながら放たれる布袋のソロは、ロカビリー、ジャズ、パンク、ブギウギ、カントリーなど多彩な要素を約50秒の中に凝縮。まるでロックンロールの歴史を一瞬で駆け抜けるようなフレージングと演奏は間違いなく、布袋にしか生み出せない。

ギターソロを弾き終わったあと、ホンキートンクなピアノに乗って踊る姿も印象的だった。“一回勝負の一発撮り”をコンセプトにした『THE FIRST TAKE』は緊張感に包まれることが多いが、布袋は気持ちよくリラックスし、演奏自体を全身で楽しんでいるように見える。これもまた40年のキャリアの賜物。膨大な数のステージと世界的アーティスト(ザ・ローリング・ストーンズ、ロキシー・ミュージック、ブライアン・セッツァーなど)との共演に裏打ちされた自信の表れだろう。

1999年にこの曲がリリースされた当時も、“オーソドックスなロックンロールをここまで進化させられるのか”と驚いた記憶があるが、あれから20年以上が経った現在、「バンビーナ」の魅力と価値──ロックンロールのルーツに根差しながら、どこまでも華やかなエンターテインメントに昇華する──は、さらに高まっている。『THE FIRST TAKE』のパフォーマンスを観れば、誰もがそう感じるはずだ。

来年2月1日の自身60歳の誕生日には20枚目のオリジナルアルバム『Still Dreamin’』をリリースし、2月4日には初のドキュメンタリー映画『Still Dreamin’ 〜布袋寅泰 情熱と栄光のギタリズム〜』も公開される。ロックンロールの快楽と凄みを体現した『THE FIRST TAKE』版「バンビーナ」をきっかけにして布袋寅泰は、さらなる高みへとジャンプアップすることになりそうだ。


2022.02.01 ON SALE
ALBUM『Still Dreamin’』


2022.02.04 公開
初ドキュメンタリー映画『Still Dreamin’ 〜布袋寅泰 情熱と栄光のギタリズム~』


YouTubeチャンネル『THE FIRST TAKE』
https://www.youtube.com/channel/UC9zY_E8mcAo_Oq772LEZq8Q

布袋寅泰 OFFICIAL SITE
https://jp.hotei.com/