THE F1RST TIMES

COLUMN

2022.05.18

日本のレゲエシーンを牽引するCHEHONの代表曲「韻波句徒」。 “ごっつい衝撃”を喰らう『THE FIRST TAKE』

TEXT BY 森朋之

■強烈な意志を込めたボーカルを響かせ、楽曲に生命力を与えていく

『THE FIRST TAKE』の第216回に登場したのは、大阪はもちろん日本のレゲエシーンを牽引するDeejay、CHEHON。レゲエと出会ったときの衝撃を描いた名曲「韻波句徒」(読み:インパクト)をスペシャルアレンジで叩きつけた。

まずはCHEHONのキャリアを簡単に紹介しておきたい。10代でレゲエに出会い、2000年代の初頭、18歳の頃にマイクを握り、Deejay(レゲエにおけるラッパー)として活動をスタートさせた彼は、2006年にデビューEP『みどり』を発表。大らかでエモーショナルなフロウに“愛した相手の名前はみどり いつのまにかお前のとりこに”という歌詞を乗せたタイトル曲「みどり」が話題を集め、瞬く間に2000年代の大阪レゲエシーンの旗手として名をあげた。

その後メジャーデビューを果たし、知名度を全国に広げつつあったCHEHONは、2010年に活動の拠点をレゲエの本場ジャマイカに移す。約1年間、現地のミュージシャンと交流しながら創作活動やライブを行い、レゲエアーティストとしての地力を蓄えた彼は、2012年に『Seaview Garden』を発表。ジャマイカと日本を繋ぐ本作はレゲエファンの間で高く評価された。

その後もコンスタントに作品を発表し、Deejay Clash(Deejay同士の即興バトル)や『フリースタイルダンジョン』に出演するなど、活動の場を広げてきた。自らのルーツや出自、生々しい経験や感情をストレートに反映したリリック、そして、レゲエの本質を掴み、気持ち良さと激しさを同時に感じさせるボーカルは、まさに唯一無二。CHEHONのパフォーマンスの凄みは、今回の『THE FIRST TAKE』からもダイレクトに伝わってきた。

今回披露された「韻波句徒」は、2008年に2ndシングルとしてリリースされた楽曲。CHEHONの代表曲であり、2000年代以降のレゲエシーンを象徴するビッグチューンだ。

今回の出演に際して彼は「この曲は、僕がレゲエに出会った時のもの凄いごっつい衝撃をそのまま歌にしてっていう感じでやってるんで。この僕の『韻波句徒』を聴いて、またインパクトを受ける人がおったらええなと思います」とコメント。その言葉どおりにCHEHONは、強烈な意志を込めたボーカルを響かせ、観る者に凄まじいインパクトを与えてみせた。

ヘッドフォンを装着し、「いきましょか」という言葉とともにビートが鳴り始め、いきなりパフォーマンスがスタート。イントロとともに「This is THE FIRST TAKEの衝撃/感じろ」というフレーズをぶち込み、オーディエンスを一気に惹きつける。

前述したとおり、「韻波句徒」はレゲエと出会った瞬間の衝撃をまっすぐに表現した楽曲。“またはじめる ファーストテイク 一発で決めるから神がかる”“最近増えた子供だましに邪魔させない為立ち上がり”“14年経ってまたかます 人生かえる使命はたす”といったアドリブを織り交ぜながら、14年前にリリースした楽曲に強烈な生命力を与えていく。

音楽のスタイルは言うまでもなくダンスホールレゲエなのだが、本場仕込みのグルーヴやフロウを強く放ちながら、日本語を日本語として聴かせるテクニックも極めて高い。この曲を初めて聴く人はもちろん、レゲエにまったく触れたことがない人も、彼が何を表現し、何を伝えようとしているかが明確に感じ取れるはずだ。

どこまでもシンプルに音楽だけで勝負する姿勢も最高。“だがストリートは常に戦場/力を見せつけろ いけ韻波句徒”というフレーズが示すとおり、徹底した現場(ライブ)主義を貫いてきたCHEHON。“一発勝負、やり直しナシ”の『THE FIRST TAKE』で真価を発揮したのは、きわめて当然の結果だろう。

昨年、5年ぶりとなるフルアルバム『THE CULMINATION』をリリースしたあとも、全国各地でライブを継続中。今回のステージで喰らった人はぜひ、現場でCHEHONの言葉とビートを体感してほしいと思う。


リリース情報

2021.08.04 ON SALE
ALBUM『THE CULMINATION』


YouTubeチャンネル『THE FIRST TAKE』
https://www.youtube.com/channel/UC9zY_E8mcAo_Oq772LEZq8Q
CHEHON OFFICIAL SITE
http://chehon.net/