THE F1RST TIMES

COLUMN

2022.06.22

斉藤和義「歌うたいのバラッド」で『THE FIRST TAKE』初登場!じんわりと感動が押し寄せるパフォーマンスを披露

TEXT BY 森朋之

■MCなし。削ぎ落した音と言葉、メロディをそのまま奏でるスタイルで、世界にグッと引き込まれる

第227回『THE FIRST TAKE』に、斉藤和義がついに初登場。名曲「歌うたいのバラッド」をアコースティックギターの弾き語りで披露し、この楽曲の普遍的な魅力を生々しく表現してみせた。

1997年に15作目のシングルとしてリリースされた「歌うたいのバラッド」は、“嗚呼 唄うことは難しいことじゃない”という歌い出しではじまるバラードナンバー。伝えたいことは、ただ一言、“愛している”。それだけのためにぼくは歌を書き、歌う――歌という表現の本質を照らし出すと同時に、大切な人を真っ直ぐに思う姿を描いたこの曲は、発売から25年がたった現在も多くの音楽ファンを魅了し続けている。ちなみにリリース時のオリコンランキングは91位。その後、ライブやラジオのオンエア、口コミによって少しずつ広がってきたのだ。そう、「歌うたいのバラッド」がこれほどまでに愛されているのは、純粋に曲の力によるものなのだと思う。Bank Band(ボーカル/櫻井和寿)、奥田民生、鈴木雅之、Crystal Kayなど、数多くのアーティストがカバーしていることも、この楽曲の魅力、人を惹きつけるパワーを証明している。

『THE FIRST TAKE』で「歌うたいのバラッド」を歌唱することに対して斉藤は、「なかなかの緊張感ですけど 楽しかったです。弾き語りでやるときは この曲に限らずですけど、どっか一人なんだけどバンドがいるつもりというか。ドラムやベースも一緒にいるつもりで その感じをギターで出したいなとは思ったりしました。」とコメント。その言葉通り、アコースティックギターの弾き語りというスタイルの豊かな広がりを実感できる素晴らしいパフォーマンスを見せてくれた。

スタジオに置かれたマイクは、歌用とギター用の2本。ヘッドフォンを付け、軽く声を出した後、ギターのボディを右手で軽く叩き、繊細で素朴な音を響かせる。最初のフレーズを歌い始めた瞬間、「歌うたいのバラッド」の世界にグッと引き込まれてしまう。曲が進むにつれて、感情が少しずつの高まり、“今日だってあなたを思いながら 歌うたいは唄うよ”というサビのラインを響かせると同時に、じんわりとした感動が押し寄せてきた。アルペジオからストロークへの切り替えによって生まれるダイナミズムも印象的だ。

演奏自体はいたってシンプル。間奏のパートでもソロは弾かず、コードを鳴らしているのだが、だからこそ歌の余韻が増し、直後の“ぼくらを乗せて メロディは続く…”という名フレーズが活きてくる。ポイントは、歌と演奏のなかにある余白。余計なことは何もせず、削ぎ落した音と言葉、メロディをそのまま奏でているからこそ、観る者は没入でき、“自分の歌”として感じることができるのだと思う。

そして言うまでもなく、中心にあるのは斉藤和義の歌だ。まったく飾ることなく、楽曲を響かせることだけに意識を集中させるパフォーマンスは、まさに歌うたいの理想。“ぼく”と“あなた”の関係、人を愛したときの感情の揺れがリアルに立ちあがる表現力にも心を打たれた。

MCは一切なく、代表曲「歌うたいのバラッド」に新たな息吹を吹き込むような演奏を披露した斉藤和義。映像が公開されると、「スッと歌い出すと一瞬で和義ワールド…凄すぎです…」「歌詞も全部覚えてるし 何千回も聞いてきた でも毎回新鮮で泣ける」といったコメントが数多く寄せられ、この歌が持つ求心力の強さ、そして、斉藤和義の歌の表現力の高さを改めて示した。

今年5月に、“ラクにいこう”というメッセージと思わず口ずさみたくなるメロディが心に残る「俺たちのサーカス」を配信リリース。6月にはMANNISH BOYS(斉藤和義、中村達也によるロックンロール・ユニット)のデビュー10周年を記念したツアーを成功させ、8月からはカーリングシトーンズ(斉藤和義、奥田民生、寺岡呼人、浜崎貴司、YO-KING、トータス松本のロック・ユニット)のツアーが始まるなど、自由にして精力的な活動を続けている斉藤和義。今回の『THE FIRST TAKE』出演は、デビュー30周年となる2023年に向けたジャンピングボードになりそうだ。



『THE FIRST TAKE』OFFICIAL YouTube
https://www.youtube.com/channel/UC9zY_E8mcAo_Oq772LEZq8Q

斉藤和義 OFFICIAL SITE
https://www.kazuyoshi-saito.com/