THE F1RST TIMES

INTERVIEW

2021.11.17

Thinking Dogs、新作「エキストラ」から伝わる、バンド7年目の新機軸と楽曲に漂う人間味

現在、放送中のドラマ「じゃない方の彼女」主題歌となる「エキストラ」を含む、10枚目のシングルをリリースしたThinking Dogs。キャリアを重ねる中でバンド内でのクリエイティブな意識がどんどんと強まっているという彼らは今回、ディスコテイストなダンスナンバーに初めてトライし、これまでにない新たな魅力をシーンに向けてしっかりと提示している。活動7年目を迎えた今のバンドの状況と、本作に収められたこだわりの数々について、TSUBASA(Vo)、Jun(Gu)、わちゅ~(Ba)、大輝(Dr)の4人に聞いていく。

INTERVIEW & TEXT BY もりひでゆき
PHOTO BY 大橋祐希

■自分たちで楽曲を作る機会をいただけたことがひとつのきっかけ

──Thinking Dogsは今年でメジャーデビューから丸6年を迎え、今回リリースされるシングルは節目となる10枚目。そこで、まずはあらためてここまでの軌跡を振り返えってもらおうと思います。この6年の活動、いかがでした?

大輝:めちゃめちゃ内容の濃い6年間でした。デビュー当時は右も左もわからない状態の中、いただいた楽曲をThinking Dogsらしく表現していくことに精一杯だったというか。ただ、活動を重ねていくなかで、だんだん自分たちで曲を作るようになり、それをシングルとしてリリースさせていただけるようにもなったんですよね。本当にいろんな変化があった6年間だったと思います。

わちゅ~:自分たちのことを見つめ直す時期も何度かあって。その度にライブの本数を増やしたりとか、4人全員が作詞・作曲をするとか、クリエイティブな部分にも力を入れるようになったんですよね。だからこそバンドとしての時間がどんどん濃いものになっていったんだと思います。

──クリエイティブに力を入れるようになったのには何かきっかけがあったんですか?

TSUBASA自分たちで楽曲を作りたいという思いは当初からあったんですけど、実際にその機会をいただけたことがひとつのきっかけになった感じでしたね。

大輝:うん。シングルのカップリングに自分たちで作った曲を入れようかっていう流れになったことがあって。で、最初はカップリングだけだったものが、だんだん表題曲も自分たちで作った曲で勝負できるようになっていったんです。それによってメンバーの気持ちもどんどん変化していったんですよね。

──活動を重ねていく中で、バンドとしての自我みたいなものがより強くなっていったということなんでしょうね。

わちゅ~:そうだと思います。提供していただいた曲に対して全力を注いでいくなかで、“Thinking Dogsとして鳴らすべき音楽ってどんなものなんだろう”ってじっくり考えることもできたんですよ。なので、自分たちの曲で勝負するようになってからは、そこを強く意識しながら、自分たちの強み、バンドとしての芯を大事にしながら活動できるようになっていったんだと思います。

Jun自分たちの持ち味を色濃く楽曲へ注げるようになったことで、ここ最近は我々の人間味がさらに出てきたような気がします。各々のパートに関しても、リズムの取り方や音色のチョイスに新しい部分がどんどん見えてきていますし。僕のギターも今までとは主張の仕方がだいぶ変わってきていますね。

TSUBASAそこは昨年からのコロナ禍で、より自分たちを見つめ直すこともできたのも大きかったよね。自分を深く客観視していくと、自信が揺らいで心がへし折られそうになる瞬間もありましたけど(笑)、でもだからこそ他のバンドに勝てるであろう自分たちの強みを見つけ出し、そこをより磨いていこうと思えるようにもなったから。まだ完全な答えが見えているわけではないけど、今回のシングルにはそういった思いもしっかり込めることができたと思うので、みなさんからの評価がすごく楽しみです。コロナ禍で曲を聴いてもらう機会が減っていたから、純粋にリリースができるうれしさもありますしね。

TSUBASA(Vo)

■Thinking Dogsの新しい部分を感じてもらえる

──今作の表題曲となる「エキストラ」は、放送中のドラマ『じゃない方の彼女』の主題歌として書き下ろされたそうですね。

わちゅ~:はい。「エキストラ」はドラマのオープニングで、出演者の方々が踊るバックで流れるダンス曲になっているんですけど、もともとはまったくそういうアプローチの曲じゃなかったんですよ。ドラマの台本を読ませていただいたうえで、ちょっと明るいバラードな雰囲気のある、僕ららしいジャンルレスな曲をまず作って提出して。そうしたら、「出演者の方が踊ることになりました」という話をいただいたので急遽、曲の方向性を変え、一から作り直すことになったんです。今の完成形に至るまでに20曲くらいデモを作ったりもしたので、その努力がようやく実ったっていう達成感がものすごくありますね(笑)。僕らにとってダンス曲は初めてになるよね?

大輝:そうだね。似たテンポ感のものは何曲かあるけど、ダンスしやすいサウンドを意識して作ったことは今までになかったので、Thinking Dogsの新しい部分を感じてもらえる曲になっていると思います。

──作曲はわちゅ~さんと、乃木坂46やLittle Glee Monsterなどの楽曲を手掛けている中村泰輔さんの共同クレジットになっていますね。

わちゅ~:中村さんはキーボーディストなので、アイデアとして出してくださるフレーズが鍵盤ならではのものになっているんですよ。それをどうギターやベースで表現しようかっていう部分がすごく新鮮だったし、面白かったですね。

Jun鍵盤で作られたシーケンスをギターで弾こうとすると、運指がとんでもないことになったりもして(笑)。なので、どう再現していくかはレコーディング当日までいろいろ練っていった感じでした。結果的に自分の手グセにはない面白さを出すことができたと思いますね。

わちゅ~:アイデアを出してくれつつも、中村さんは「好きにアレンジしていいよ」っていうスタンスでいてくれたので、いろいろ相談をしながら細かいフレーズを各自で詰めていきながら完成した感じですね。

Jun今回は全体的に結構隙間の多いアレンジになっていて。なので、ギターもあまり主張せず、歌に寄り添うことに徹底したんです。弾かない勇気を得たというか(笑)。

わちゅ~:そうだね。普段のJunは結構テクニカルなことをするタイプだもんね。

Junリード大好き、みたいな感じだから(笑)。でも今回はいろいろとそぎ落として、シンプルなカッティングをしています。ライブを想像して気持ちよく弾くことができました。

──ビートに関してはどうでしたか?

大輝:ドラムに関しても中村さんが打ち込んでくれたものをもとに、自分なりの色を出していきましたね。ただ、デモのビートの跳ね具合が結構難しくて。完全にスクエアではないけど、そこまで思いきり跳ねているわけでもないっていう、その微妙な匙加減を中村さんと相談しながら録っていきました。

わちゅ~(Ba)

■今の4人の関係性があったからできた

──歌詞はTSUBASAさんが書かれていますね。“じゃない方”というワードが使われていたりして、ドラマにかなり寄り添った内容になっています。

TSUBASA作詞は結構苦労しましたね。2、3パターンの歌詞を書いたけど採用されず、その後に“エキストラ”というワードが思い浮かんだので、そこから膨らませていった感じなんですけど。その後も5、6回書き直したかな。で、“これで行けるだろ!”と思えたものをメンバーに見せたところ、「100点の歌詞なんだけど、ここから120点まで持っていける気がする」って言い出して。それを言ったのはこいつ(わちゅ~)なんですけど(笑)。

わちゅ~:すいません(笑)。そのときにTSUBASAが上げてくれた歌詞がほんとによかったんですよ。曲のハマり的にも、ドラマに対しての意味合い的にも100点だった。ただ、この1、2年の間にTSUBASAは作詞の腕を鍛えていたし、それによってどんどんいい歌詞を書くようにもなっていたんですよ。だから欲が出て、恨まれるのを恐れず「120点目指せるんじゃない?」って言っちゃいました(笑)。

TSUBASA正直、そう言われたときは頭抱えましたけどね(笑)。でも結果的にはよかったと思ってます。いいところはもちろん、よくないと思うところまでちゃんと言い合えるようになっている今の4人の関係性があったからできたことだと思うので。

わちゅ~:そうだね。たぶん3年くらい前の俺らだったら、お互いに遠慮しちゃって、そこまで言い合えてなかったと思う。そういう部分の意識も、ここ最近は変わってきてるよね。

──ダンスナンバーということで、ボーカルにもいつもとは違ったニュアンスが出ているように感じました。

TSUBASA確かにこれまでのThinking Dogsはロックサウンドの上で声を張り上げて歌う曲が多かったので、こういうタイプは歌ったことがなかったんですよ。ちょっと後ろ目にノリを置いて歌うのが結構難しかったですね。すぐもどかしくなって突っ込みがちな歌になってしまうっていう(笑)。 

──レイドバックする歌を意識したということですか。

TSUBASAはい。ノリを後ろに置く美学をこの曲を通してすごく学ぶことができました。まだ身につくまでには至ってないとは思うけど、でも自分の表現にはまだまだ可能性があるなと思えたのはよかったですね。

Jun(Gu)

■楽曲に対しても全員の意識が変わり始めた時期の曲

──2曲目には今年3月に配信リリースされていた「はじまりのピリオド」が収録されています。作詞を大輝さん、作曲をわちゅ~さんが手がけた、ちょっとダークな世界観を持ったミディアムナンバーです。

大輝:流れとしては、わちゅ〜さんが先に曲を作ってくれて、そこに僕が歌詞を乗せていきました。僕らはどっちかっていうとポップな曲を作るイメージが強いと思うので、こういったダークな世界観をどのくらいの塩梅で書くかっていう部分でちょっと自分の中で格闘したところはありました。とは言え、もともとこのような世界観を持ったアーティストさんの曲も好きでよく聴いていたりするので、楽しみながら自分なりに振り切った歌詞を書けたとは思います。ダークではあるけど、最後にちょっと希望を残した雰囲気にしたところも、自分としては気に入っているところですね。

Junこの曲を作り始めたくらいのタイミングでコロナ禍に入ったんですよ。で、そこから鬼の楽曲制作期間をスタートさせていたので、バンド自体に対しても、楽曲に対しても全員の意識が変わり始めた時期の曲なんですよね。歌詞の世界観も含め、新しいThinking Dogsのはじまりとも言える一曲でもあると思います。

TSUBASA歌に関しても、Aメロでちょっと無機質に歌っているところなんかは、今までになかった表現だと思います。感情を入れすぎない歌い方は初めてやったと思う。

わちゅ~:仮歌と本番の歌が結構変わったもんね。本チャンのボーカルはすごくカッコ良い質感になっていて、僕の想像を思いきり超えてきてくれた感じでした。ここでも120点を出してくれたってことですよね、きっと。ご馳走様です(笑)。

TSUBASAあははは。

大輝(Dr)

■手グセに頼らず曲を仕上げられたことが自分的にはすごく衝撃

──そして3曲目は、同じく大輝さん作詞、わちゅ~さん作曲による「24:55」。R&Bテイストを感じさせる大人っぽい仕上がりが、これまた斬新でした。

大輝:これはデモとして結構前からあった曲で、詞先で作りました。サウンドのイメージも僕の中にあったので、それをわちゅ~さんに伝えて具現化してもらった感じです。おっしゃる通り、今までのThinking Dogsではやってこなかったジャンル、曲調ではありますけど、僕としてはずっと挑戦したかったタイプの曲なんですよね。

──歌詞は女性目線で綴られていますね。

大輝:はい。僕は昔から“終電”をテーマに歌詞を書きたいとずっと思っていたんですよ。終電間際の駅の改札って、いろんなドラマがあるじゃないですか(笑)。なので今回は恋愛にフォーカスして、終電の物語を詞に落とし込んでいった感じですね。

わちゅ~:この曲の雰囲気は大輝の歌詞があったからこそ生まれたものだと思います。この曲を作っていた時期、僕は作曲面で壁にぶち当たっていたんですけど、大輝の詞をもとにメロをつけていくことで新しい部分を自然と引き出してもらえたんですよ。手グセに頼らず曲を仕上げられたことが自分的にはすごく衝撃で、作曲の楽しみをあらためて感じることもできたんですよね。この曲をきっかけに、またいろいろなイメージが自分の中から浮かんでくるようにもなりました。

──サビの中には、言葉がグッと詰まってちょっとフロウが生まれるラインがありますよね。そこが曲中のいいアクセントになっているし、すごく気持ちいいポイントだなと感じました。

わちゅ~:ありがとうございます!ああいうメロも今までの僕は書いたことがなかったんですよ。テンポが遅いし、先に大輝の書いた歌詞がすでにあったからこそ、ちょっと言葉を詰め込んだメロディが自然に出てきたんでしょうね。“自分の中にこんなメロが眠ってたのか!”って発見がありました。しかも、この曲では仮歌まで自分で歌っちゃいましたからね。もともと、歌に苦手意識があったから基本的に仮歌はシンセメロとして入れていたんですけど、今回は歌いたくなるメロだったというか(笑)。自分で仮歌を入れてみんなに聴かせたのは初めてですね。 

──TSUBASAさんは「エキストラ」でレイドバックして歌うことを意識したとおっしゃってましたけど、この曲もそういうアプローチが求められる曲ですよね。

TSUBASAそうなんですよ。だからこれもめちゃくちゃ難しかったです。この曲のようなタイム感、グルーブ感はわちゅ~が得意なんで、歌録りのときにもかじ取りをしてもらったところがありましたね。

わちゅ~:いやでも「24:55」は俺も苦戦したのよ(笑)。Thinking Dogs史上最遅な曲なので、演奏では溜めが結構重要になってくるんですよね。でも、つい走ってしまう自分がいたりして(笑)。そこはもうひたすら練習を繰り返し、フレーズを弾くというよりは、カラダ全体を動かしながらグルーブを刻んでいく感覚で臨みました。

■そぎ落としたフレーズをどこで、どんな音色で弾くか

──音数も多いわけではないですからね。

Junそうですね。全体的にチルっぽいサウンド感の中、そぎ落としたフレーズをどこで、どんな音色で弾くかという部分にはすごく悩みました。結果として、今までの曲であればギターが存在していた部分に今回は居なくて、逆に今まで居なかった場所に今回は居るという印象になっている気がしますね。そういったところにも新しいThinking Dogsを感じてもらえたらうれしいです。

──様々な挑戦をしながら大きな変化を遂げようとしているThinking Dogsの“今”が詰め込まれた今回のシングルを聴くと、ここから先がますます楽しみになってきますね。そろそろアルバムにも期待したいところですし。

わちゅ~:そうですね。ここからもグイグイ進んでいきたいですね。

大輝:アルバムも含め、新しいThinking Dogsの姿をどんどん届けて行けるように、ここからも頑張ります。


プロフィール

Thinking Dogs
シンキングドッグス/2014年6月より始動。TSUBASA(Vo)、わちゅ~(Ba)、Jun(Gu)、大輝(Dr)からなる、4人編成バンド。
2015年6月にシングル「世界は終わらない」でメジャーデビューを果たす。2018年には映画「あの頃、君を追いかけた」主題歌としてリリースした珠玉のバラード「言えなかったこと」がスマッシュヒット。現在までに9枚のシングルをリリース。


リリース情報

2021.11.17 ON SALE
SINGLE「エキストラ」

初回生産限定盤

通常盤


Thinking Dogs OFFICIAL SITE
https://www.thinkingdogs.jp

Twitter
https://twitter.com/iamthinkingdogs

TikTok
https://www.tiktok.com/@thinkingdogs0624