THE F1RST TIMES

COLUMN

2021.07.22

Uru『Punctuation』から感じた、彼女の優しさと繊細さ

TEXT BY 森 朋之
PHOTO BY 西槇太一

夢中で駆け抜けたデビューから5年、Uruの音楽人生に“、”を付けるライブ

悲しみ、痛み、葛藤といった感情に寄り添い、包み込み、リスナーの心と身体を穏やかに解放する。デビュー5周年を記念したツアーを通して、Uruはシンガーソングライターとしてのアイデンティティを改めて示してみせた。

『Uru Anniversary Tour 2021 「Punctuation」』最終日。“Punctuation”(句読点)とタイトルされた今回のツアーについて、Uruは「音楽人生を綴ろうとした時、ひとつの読点を打つところはこの5年というタイミングなのかなと思っていて」「それが目印になって、何かに迷いそうになったり勇気をもらいたい時、夢中で駆け抜けたデビューから5年経った今をすぐに覗けるように、強くて、でも柔らかくて美味しそうな読点を記したいです」というコメントを寄せていた。その言葉通り、彼女はデビューからの5年間を総括しながら、自身の音楽観やスタイルを示すと同時に、この先の展望を予見させる濃密なステージを繰り広げた。

これまでにリリースしたシングル曲を散りばめた、5年の軌跡

まず印象的だったのは、5年間の“ベスト・オブ・Uru”と称すべきセットリストだ。オープニングを飾った「Break」をはじめ、“あなたを探してる 何度も名前を呼んで”という哀切な思いを綴ったバラード「プロローグ」、LiSAとのコラボシングル「再会(puroduced by Ayase)」。

さらに祈りにも似た旋律が心に響いた「フリージア」、映画『ファーストラヴ』の主題歌でもある最新シングル「ファーストラヴ」、そして2016年のデビュー曲「星の中の君」…シングル曲を中心にした構成により、デビューからの5年間の軌跡をリアルに体現してみせた。

通底しているのは、儚さと強さを同時に感じさせるメロディ、繊細な感情を描き出すリリック、生楽器の響きと現代的なポップネスを共存させたサウンドメイクだろう(これまでにトオミヨウ、Yaffle、Kan Sano、小林武史などがアレンジャーとして参加。才能溢れるクリエイターとの交流が、彼女の音楽的進化を促したことも記しておきたい)。

また、今回のツアーでは「カムフラージュ」(竹内まりや)、「ドライフラワー」(優里)、「若者のすべて」(フジファブリック)のカバーも披露。昨年9月6日に行われた初のオンラインライブ『Uru Online Live 2020 “あなたと私”』ではwacciの「別の人の彼女になったよ」、the pillowsの「Funny Bunny」などを歌唱したUru。カバー曲を通し、彼女自身のルーツがYouTubeを通じてのカバーソングにあることを感じられるのも興味深い。

苦しみや痛みを知るからこそ、背中を撫でることはできるかもしれない

そして、個人的にもっとも心に残ったのは「振り子」(映画『罪の声』主題歌)だった。この曲を歌う前、観客に向かって「私にも思い出したくない数年間があります」と話しはじめた。

苦しみや悲しみのなかにいると、「なぜ自分ばかりがこうなのか?」と思ったり、まわりの人が輝いて見えて、自分が嫌いになる。でも、生きていれば必ず良いことがあると信じていたいし、皆さんにも信じることを辞めないで欲しいと──。

「私は音楽に救われました。それが、私が音楽を目指す大きなきっかけです。私の音楽は、背中を強く押してあげたり、迷ってる人に“こっちだよ”と導いてあげられるようなものではないかもしれないけど、でも……“わかる。大丈夫、私も一緒だよ”と背中を撫でることはできるかもしれない。そう思って歌っています」

彼女自身の経験に裏打ちされた言葉とともに放たれた「振り子」には、強く心を揺さぶられた。無為な日常を過ごしながら、それでも希望を捨てることができなかった“私”を描いたこの曲は、彼女のリアルな思いが込められていると同時に、聴く者に寄り添い、そっと励ます普遍的な力に溢れていた。すべてのフレーズに強い感情を込め、目の前の観客一人ひとりに歌を手渡す──それこそがUruの本質なのだと改めて実感させられる場面だったと思う。

軌跡から未来へ。Uruのこれからを示す「Love Song」

アンコールでは、新曲「Love Song」を初披露。現在放送中のドラマ『推しの王子様』の主題歌としてUru自身が書き下ろしたこの曲は、“一人でいたら 気付けなかった/誰かを想うことで強くなれること”というフレーズが胸を打つミディアムチューン。穏やかで切ないメロディとともに、大切な人とのかけがえのない時間、周囲の人たちとの繋がりを描いた「Love Song」は、Uruのあらたな代表曲として浸透することになりそうだ。

紗幕を効果的に使い、歌詞や映像を映しながら楽曲の世界観を際立たせた演出。そして、MCで大好きな“ゴリラ”のことを語る、うれしそうな表情など、ライブでしか体感できないシーンもたっぷり。このライブで5周年という“句読点”を打った彼女は、その音楽性をさらに広げることになるはず。

その中心にあるのが、感情の機微を掬い取り、心地よく解放してくれる歌にあることは言うまでもない。

Uru Anniversary Tour 2021 「Punctuation」
2021.07.17@LINE CUBE SHIBUYA

SETLIST
01.Break
02.プロローグ
03.カムフラージュ(竹内まりや カバー)
04.無機質
05.いい女
06.今 逢いに行く
07.ドライフラワー(優里 カバー)
08.No way!!
09.Don’t be afraid
10.若者のすべて(フジファブリック カバー)
11.再会(produced by Ayase)
12.振り子
13.あなたがいることで
14.フリージア
15.ファーストラヴ
[ENCORE]
01.Love Song
02.すなお
03.星の中の君


リリース情報

2021.08.25 ON SALE
SINGLE「Love Song」


ライブ情報

Uru Live 2021「To You」
11/13(土)東京国際フォーラム ホールA


Uru OFFICIAL SITE
https://uru-official.com/