THE F1RST TIMES

REPORT

2022.03.29

澤野弘之、“澤野フェス”とも言うべき贅沢な内容

TEXT BY もりひでゆき
PHOTO BY  西槙太一

■2019年の『006』以来、約3年ぶりの開催

3月13日、東京国際フォーラム ホールAにて作曲家・澤野弘之による単独公演「澤野弘之LIVE [nZk]007」が開催された。ナンバリングライブは、2019年の『006』以来、約3年ぶりの開催。会場には大きく期待を膨らませたオーディエンスたちの熱量が目に見えるほどに充満していた。

Laco

オープニングSEが流れ出すと、バンドメンバーに続いて澤野弘之が笑顔で両手を振りながらステージに姿を見せる。グランドピアノにスタンバイすると、最初のボーカリストであるLaco(EOW)が勢いよく登場した。1曲目は「NEXUS」。ハンズアップを煽りながら、パワフルなボーカリゼーションで心地よい一体感を生み出していく。重厚かつエッジィなサウンドで澤野弘之の世界が描き出される中、澤野のピアノが全体のムードを牽引するかのような役割を見せていたのが印象的だ。続けて「THE ANSWER」「Hands Up to the Sky」を歌唱した後、澤野が最初のあいさつを。

「こんばんは。ずっとやりたいと思ってきた『007』、今日ここで素晴らしいメンバーと、みなさんと集まれたことを本当にうれしく思っています。今日ならではのプログラムになっていますので、思う存分みなさんと一緒に楽しみたいと思います!」(澤野)

mpi

Benjamin

Lacoに加え、新たに迎え入れられたmpiとBenjaminによる3ボーカルで披露されたのは映画『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』の劇中歌となっていた「Möbius」。生のヴァイオリンが楽曲の世界をより壮大に彩る中、個性の異なる3人の歌声に会場中が酔いしれた。その後はmpiとBenjaminによる「Gallant Ones」、Benjaminソロでの「TRACER」「Next of Kin」、mpiソロでの「God of ink」「Call your name」と、[nZk]をはじめとする澤野弘之ワークスを初期から支える2人の圧巻のパフォーマンスが続いた。

mizuki

ReoNa

次のゲストボーカルはmizuki(UNIDOTS)。「Avid」で聴き手を包み込むような存在感のある歌声を響かせた後は、この日だけのスペシャルなパフォーマンスとして澤野がDo As Infinityへ提供した「火の鳥」のカバーを。ノスタルジックな雰囲気のある楽曲をせつなく届けてくれた。そこから「&Z」を歌い、次のボーカリストであるReoNaへとバトンタッチ。澤野との初コラボとなった「time」、そして最近アニメのガンダムシリーズにハマっているというReoNaのエピソードを受けて、アニメ『機動戦士ガンダム ユニコーン RE:0096』オープニングテーマ「Into the Sky」のカバーを歌唱。澤野のレパートリーの中でも屈指の人気曲がReoNaならではのアプローチで表現されたことで会場は大きな興奮に包まれた。

Jean-Ken Johnny

「イキマスヨー!」というひと言とともに登場し、強烈な個性と存在感で会場を一気に支配したのはMAN WITH A MISSIONのJean-Ken Johnny。21年3月リリースのアルバム『iv』に収録されていた初コラボ作「Chaos Drifters」は、この日が念願の初ライブパフォーマンスとなった。さらにもう1曲、『劇場版「進撃の巨人」後編~自由の翼~』エンディングテーマのカバーを披露するという、うれしいサプライズも。オオカミが歌う「theDOGS」に心底シビれた。

SennaRin

続いては、澤野プロデュースによって4月13日にデビューが決まっている20歳の新人アーティスト・SennaRinが登場。1stEP『Dignified』収録の「BEEP」、メドレー「証~dust」、「melt」をいち早く届ける。この日が自身にとって2度目のライブとのことだが、MCで見せた明るいキャラクター、堂々としたパフォーマンス、そして情感に満ちたボーカリゼーションはオーディエンスの心をしっかりととらえていたように思う。ここから大きく飛躍していくであろう彼女のライブを体験できた人はラッキーだ。

岡野昭仁

本編ラストを担ったのはポルノグラフィティの岡野昭仁。「EVERCHiLD」では力強いビートが誘うサウンドスケープの上で唯一無二のボーカルが伸びやかに放たれていく。そこにオーディエンスは万雷のクラップで応戦。会場が大きく揺れる。合唱を促すラストパートでは、声が出せない状況ながらも会場一体となるシンガロングがしっかりと鳴り響いていたように思う。続く「光あれ」は、岡野のソロプロジェクトに澤野が提供したナンバー。タイトル通り、光の見えるメッセージが会場をあたたかく照らすこととなった。

「『EVERCHiLD』で[nZk]に参加させてもらって、澤野くんの魅力に僕は取りつかれてしまってね。大先生ですよ、もう。でもこうやって話すとすごい気のいい兄ちゃんというか(笑)。そういうところも僕はすごく好きで」(岡野)

リスペクトし合うふたりの関係性がにじむMCを挟んだ後、ラストナンバーは「その先の光へ」。澤野の楽曲にスガシカオが歌詞を乗せた岡野のソロナンバーで、ライブ本編は感動的な幕締めとなった。

澤野弘之

アンコールでは澤野がひとりでステージ上にあらわれ、昨年12月にリリースされた初のピアノソロアルバム『scene』からの楽曲をしっとりと聴かせる。そしてオーラスは再びバンドと岡野をステージへ呼び込み、映画『プロメア』から「Inferno」のカバーを。昨年7月に開催された中国の動画配信サイト『Bilibili』の大型ライブビューイングイベント『Bilibili Macro Link -Star Phase 2021-』で実現したコラボの再演に大きな拍手が巻き起こり、ライブは大興奮のまま大団円を迎えた。

「どうもありがとうございました!またお会いしましょう!」(澤野)

多彩なボーカリストたちが次々と入れ替わるスタイルはまるで“澤野フェス”とも言うべき贅沢な内容であり、同時にその根幹を成す澤野弘之の音楽性の幅広さをあらためて実感させる『澤野弘之LIVE[nZk]』。果たして次はどんなコラボレーションが展開されるのか?はやくも次の開催が待ち遠しくて仕方がない。


澤野弘之 LIVE [nZk]007
2022.03.13 東京国際フォーラム ホールA
セットリスト


澤野弘之 OFFICIAL SITE
https://www.sawanohiroyuki.com