THE F1RST TIMES

REPORT

2022.07.12

SUPER BEAVER、「過去最高を更新する、あなたと更新したい」。17年間変わらない観客との向き合い方

TEXT BY 荒金良介
PHOTO BY 青木カズロー

■観客と真っ向から対峙する姿勢は何一つ変わらない

SUPER BEAVERのメジャー再契約2ndアルバム『東京』に込めた思いが、ライブでつまびらかにされていく。隠すことなく、100%のエネルギーで。そのバンドの気持ちに観客も100%で応え、一つのライブが完全構築されていた。SUPER BEAVERはライブハウスだろうと、今日の会場である東京国際フォーラム ホールAだろうと、観客と真っ向から対峙する姿勢は何一つ変わらない。会場の規模関係なく、彼らはずっと、音楽をあなたと一緒にやることに重きを置いてきたバンドだ。その中心核にあるものを、歌声で、演奏で見事に表現し切っていた。

街の喧騒音が流れると、ステージ上は青と赤のライトが灯され、最新作『東京』のアートワークを模した演出が施されていた。柳沢亮太(Gu)、上杉研太(Ba)、藤原”34才”広明(Dr)、渋谷龍太(Vo)が拍手で煽ると、「スペシャル」で本編の火蓋を切った。間髪入れずに「青い春」に突入すると、前傾姿勢のトップスピードで駆け抜け、後半はハンドクラップで熱い一体感を早くも作り上げる。

渋谷龍太(Vo)

■泥臭い人間味を叩きつけていく。これぞ、真骨頂

「ライブハウスから来ました、SUPER BEAVERです!今日も一対一で」と観客はもちろん、自らに言い聞かせるように宣言する渋谷。その気持ちを乗せ、「人間」ではメンバー一丸となった汗臭いコーラスを響かせ、キャパの大きさを微塵も感じさせない熱量を届ける彼ら。上杉のうねりを上げるベースと共に始まる「突破口」ではその熱量を増幅させ、泥臭い人間味を叩きつけていく。これぞ、SUPER BEAVERの真骨頂と言えるだろう。

次の「ふらり」では一転してルーズなロック・サウンドを放ち、渋谷はステージ上で軽やかに踊ったり、お立ち台でモンキーダンスを披露したりと、会場の雰囲気を和ませていた。それから藤原のドラムが力強く轟き、「ジャンプ!ジャンプ!ジャンプ!」と柳沢が煽ると、「VS.」では再び緊張感漲る演奏で加速する。バチバチにやり合うバンド・アンサンブルに観客もヒートアップしている様子であった。

柳沢亮太(Gu)

「過去最高を更新する、あなたと更新したい。お手を拝借!」と渋谷は呼びかけると、「美しい日」へ。アカペラ風の歌い回しからバンド・インすると、場内の温度はさらに上昇。筆者は2階席で観ていたのだが、観客の盛り上がりを受け、会場は激しく揺れていた。演奏後、「めちゃくちゃ素晴らしいです。美しい日、完成です!」という渋谷の言葉通りの景色が広がっていた。

そして、ジャジーな「318」に移ると、手数の多い藤原のドラムはライブで一段と映えており、グッと引きつけられてしまった。

「お互いに生きていないと、未来はない。俺たちと未来の話をしよう」と告げると、「未来の話をしよう」をプレイ。柳沢の伸びやかなギターが印象深く、観る者の奥底に言葉と音色を丁寧に届けていく。その後に「愛しい人」、「アイラヴユー」と繋げ、まさに愛のこもった誠実な演奏で惹きつける。

上杉研太(Ba)

この中盤付近に、メンバー4人がコメントを挟み込む場面があった。「昨日がね、めちゃくちゃ良かったんだよ。俺は超えられないと思って不安だったけど、一瞬で消え去りました」と渋谷が話すと、「21本、無事に帰って来た。いろいろ守りつつ、各地でパワーをもらった」と柳沢が続く。さらに「自分は仲間や音楽に救われた」と上杉がこぼすと、「今日の3人の背中楽しそう、少年みたい!」と藤原が屈託なき笑顔で発する。そうした言葉からも、今日のライブにおける充実感がひしひしと伝わってきた。

■最大級の祈りを捧げるような絶唱

後半に差しかかり、「名前を呼ぶよ」、「東京流星群」と鉄板のアンセム曲を投下。ここに集まった人たちの感情を最高潮に引き上げ、「お前、ひとりでかかって来い!」と渋谷が力強く叫んで「秘密」へ繋ぐ流れには全身が粟立つような興奮を覚えた。「おかげさまで楽しいです。一緒に作れた感じする?あなたが作ってくれたんだからね」と渋谷は語りかけた後、「東京」ではスケールの大きな歌を届け、本編最後を締め括ったのは「ロマン」であった。“それぞれに頑張って”と連呼する歌詞もそうだが、“親愛なる あなたへ 心を込めて 頑張れ”、“幸せになってくれ”、“報われろ”という言霊的な歌詞が巨大なメッセージと化し、とてつもないエモーションを生み出している。渋谷のボーカルには鬼気迫るものを感じ、最大級の祈りを捧げるような絶唱ぶりである。今日のハイライトと位置付けてもいいだろう。言ってしまえば、ライヴは赤の他人が集まり、音楽で一つになれる空間である。そしてライヴが終われば、それぞれの人生に戻っていく。SUPER BEAVERは、そんなあなたの人生を全力で応援する音楽でありたい。

彼らが音楽を鳴らす理由は、そこにあるのではないだろうか。

夢や理想、なりたい自分の姿。そのロマンに向かって、17年間ひたむきに走り続けてきたメンバー4人。この曲には彼らが17年積み重ねてきたものが結晶化され、微動だにしない説得力を持って、観客一人ひとりの心を射抜いていた。

藤原”34才”広明(Dr)

■彼らのライブは常に“今日が最高!”と言わしめるもの

アンコール1曲目にしてラストを飾った「最前線」は、言わば終わりの始まりを告げる歌である。明るくもポジティヴなエネルギーを解き放ち、次回会うまでに「頑張れよ、その調子で突き進め!」とエールを送るナンバーだ。そして、再びお互いの人生の最前線で交わり、過去最高のライブを作ろうと呼びかける。だからこそ、彼らのライブは常に“今日が最高!”と言わしめるものになっているのだ。それぞれに頑張った、最前線のエネルギーが集積される場所。そんな約束の地としてのライブハウスを、コツコツと積み上げてきたSUPER BEAVERの引力に圧倒されたファイナル公演であった。


SUPER BEAVER『東京』Release Tour 2022 ~ 東京ラクダストーリー ~
2022年7月5日 東京国際フォーラム ホールA

セットリスト
01.スペシャル
02.青い春
03.人間
04.突破口
05.ふらり
06.VS.
07.美しい日
08.318
09.未来の話をしよう
10.愛しい人
11.アイラヴユー
12.名前を呼ぶよ
13.東京流星群
14.秘密
15.東京
16.ロマン
<アンコール>
17.最前線


リリース情報

2022.09.28 ON SALE
Blu-ray&DVD『The Documentary of SUPER BEAVER 『東京』 Release Tour 2022 ~東京ラクダストーリー~』


SUPER BEAVER OFFICIAL SITE
https://super-beaver.com