■50周年を迎えたSMA、70周年を迎えたニッポン放送がタッグを組んで行われたイベント
人生の大きな節目、成人式。
成人式で仲間と集い、それまでの人生を振り返ったり、その後の生き方に思いを馳せる──それは大人になっても、とても大切なことではないだろうか。
一年に一度の“成人の日”を、20歳になる若者はもちろん、すでに成人式を済ませた大人にとっても大切な日にできないか? そんな思いをもとに、企画されたのが『大人の成人式2025』。50周年を迎えたSMA、70周年を迎えたニッポン放送がタッグを組んで行われたこのイベントには、20代の足立佳奈、30代の手越祐也、40代のCHEMISTRYと各世代のアーティストが登場。ステージにはラジオのスタジオのセットが組まれ、アナウンサーの荘口彰久のMCのもと、ライブ/成人式にまつわるトークの順番で進行した。
■「17歳のときに作った曲が今の私にエールをくれる」と語った足立佳奈
最初に登場したのは、足立佳奈。鍵盤と歌のシンプルな編成で、切なくも愛らしい片想いソング「私今あなたに恋をしています」で表情豊かに歌い上げ、観客の心を惹きつける。さらに「今日は“初めまして”の方も多いと思いまして、カバー曲を選んできました」と「にじいろ」(絢香)を披露。一つひとつのフレーズを丁寧に手渡すような歌唱からは、彼女のシンガーとしての魅力がはっきりと伝わってきた。
「17歳のときに作った曲で、今の私にエールをくれる、そんな曲があります」と紹介されたのは、「フレーフレーわたし」。「私が“ヘイ!”と言ったら、“I can do it”と言ってもらえますか?」と呼びかけ、ステージと客席の距離が近くなっていく。
“君と出会えない人生なら / 恋もしてなかったな”というフレーズが胸に迫るバラードナンバー「面影」を挟み、「皆さんがもっともっといい明日が迎えられますように、気持ちを込めて歌います」と「Good day」へ。演奏に“ララララララ~”のコーラスパートを観客が担い、この日だけの“合唱バージョン”が実現。シンガーソングライターとしての個性を存分に発揮したステージだった。
ラジオブースでのトークでは、出身地・岐阜県での成人式の思い出を披露。「20歳の自分に声をかけるとしたら?」という質問に、「コロナ禍になる直前の成人式だったんです。何が起きるかわからないけど“とにかく突き進め”って言いたいです。やり通すことが自分の力になるって思いました」と語った。
■大人になった瞬間を「2020年に独立したのが大きかった」と答えた手越祐也
二番手の手越祐也は、ベース、ドラム、キーボードのバンドとともに登場。オープニングは、昨年11月リリースの最新曲「Flash back」。飛び跳ねるビート、深みのあるシンセベースとともにド派手なボーカルを響かせ、会場の雰囲気を華やかに一変させた。「俺のことを知らない人もいると思いますが、自由に楽しんでください!」という言葉に導かれたのは、ロックテイストの「everlasting」。エモーショナルで美しいメロディラインと“胸を張ってあなたにこの歌を歌ってるんだよ”というラインによって、観客のテンションをさらに引き上げた。
「たぶん日本の8割くらいの方々は自分をコメディアンだと思ってるかもしれないけど、“大人の成人式”に来てくださった方にはきちんと言っておきます。私の職業、アーティストです!」というトークで沸かせたあとも、“アーティスト・手越祐也”の魅力を存分に発揮。「皆さん一人ひとりの人生を大切に、自分をいちばん愛してほしい」というメッセージを込めたバラード「ONE LIFE」では、壮大なメロディラインを高らかに歌唱し、会場全体を大きな感動で包み込む。最後は「OVER YOU」。“あなたの思うように 生きていいんだよずっと”というフレーズは間違いなく、会場にいたすべての人に明日を頑張る勇気を与えたはずだ。
20歳の頃、既にトップアイドルだった手越。「ヘンに目立ちたくなくて」と成人式には出席しなかったという。「大人になったなと感じた瞬間は?」という質問には「やっぱり2020年に独立したのが大きかったです」と回答。「自分がトップになったことで、絶対にコケられないという気持ちが強くなりました。環境が変わると人間って変わるんだなって」とコメントした。
■成人式の時期が『ASAYAN』のオーディションと重なっていたというCHEMISTRY
続いてはCHEMISTRY。往年のハリウッド映画のオープニングのような壮大なSEが流れるなか、鍵盤、ベース、ドラム、サックスによるバンドとともに堂珍嘉邦、川畑要がステージへ。1曲目に選ばれたのは、2005年リリースの『fo(u)r』収録曲「Here I am」。ジャズのテイストを取り入れたサウンドのなかでふたりは、大人の色香を感じさせるボーカルをダイナミックに響かせる。さらに5thシングル「FLOATIN’」。サックスのリフを軸にしたアンサンブルと堂珍、川畑のボーカルが絡み合い、会場は華やかな高揚感へと誘い込まれた。
川畑「大人の成人式ということで、いちばん大人が最後に出てきました!」
堂珍「最初に言っておきたいんだけど、俺ら、成人式行ってないから」
川畑「それ、あとで話すんだから。先に言うなよ(笑)」
堂珍「そういえばさっき、“フレーフレー要”って歌ってくれないかって言ってなかった?」
というリラックスしたトークのあとは、2019年のアルバム『CHEMISTRY』収録曲「Get Together Again」。“少しは大人になったような / でも瞳はまだ無邪気な君がまぶしい”という歌詞は、“大人の成人式”にぴったりだ。最後は、2017年に再始動第一弾としてリリースされた「ユメノツヅキ」。心地よいグルーヴ感をたたえたバンドサウンド、ふたりのシンガーの個性を活かしたハーモニー、そして、“いつまでも夢を見ていよう”という思いを刻んだリリックが気持ちよく広がり、イベントは最後のピークを迎えた。
成人式の時期が『ASAYAN』のオーディションと重なっていたというふたり。「他の友達が楽しそうに見えてたから、みんなのところに混ざる気持ちになれなかったんですよね」(堂珍)と当時の心境を語った。また、「20歳の自分に声をかけるとしたら?」という質問に川畑は「そのままでいいんじゃないか。自分を信じろ!ですね」とコメント。堂珍は「難しいな…“ちぃっす”かな(笑)」と答え、会場の笑いを誘った。
■スペシャル・セッションでは世代を超えたアーティストたちがタイムレスな名曲を奏でる
さらに足立佳奈、手越祐也が呼び込まれ、スペシャル・セッションへ。2023年に創立100周年を迎えた明治大学交響楽団(今年、成人式を迎えたメンバーも多数在籍!)が参加したこのセッションで演奏されたのは、CHEMISTRYのデビュー曲「PIECES OF A DREAM」。世代を超えたアーティストたちがタイムレスな名曲を奏でる超レアなシーンもまた、“大人の成人式”の大きな成果だったと思う。
TEXT BY 森朋之
PHOTO BY Viola Kam (V’z Twinkle)
SMA 50th Anniversary presents大人の成人式2025
2025年1月12日(日) LINE CUBE SHIBUYA
セットリスト
足立佳奈
1.私今あなたに恋をしています
2.にじいろ(絢香カバー曲)
3.フレーフレーわたし
4.面影
5.Good day
手越祐也
1.Flash back
2.everlasting
3.ONE LIFE
4.OVER YOU
CHEMISTRY
1.Here I am
2.FLOATIN’
3.Get Together Again
4.ユメノツヅキ
EN.PIECES OF A DREAM(w/足立佳奈、手越祐也、明治大学交響楽団)
Sony Music Artists 50th Anniversary 特設サイト
https://www.sma.co.jp/s/sma/page/50th?ima=0000#top