4月4日~6日の3日間にわたって、横浜を舞台に開催された都市型フェス『CENTRAL MUSIC & ENTERTAINMENT FESTIVAL 2025』。最終日の4月6日に行われた「NEW GENE FEST」はその名の通り、新世代の象徴となるアーティストが競演するフェスで、5組のアーティストがKT Zepp Yokohamaに集結した。
■30分で8曲。バンドのエネルギーを余すことなく放出したCLAN QUEEN
最初に登場したのはCLAN QUEEN。yowa(Vo)の「CLAN QUEENです。CENTRAL、よろしく!」というひと言を合図に激しいバンドサウンドが放たれた。1曲目は「自白」。AOi(Gu)の冒頭のラップやノイジーなギターも、音域の広いメロディを歌いこなしながら、声色に感情を乗せるyowaのボーカルも、マイ(Ba)の鳴らす重低音もかなり刺激的だ。観客の心に火がつくのは早く、続く「求世主」でAOiが「歌え!」「かかってこい!」と投げかければ、声や拳を挙げながら反応する。この日のCLAN QUEENのステージはMCなしで、SEで曲間を繋ぎながら、次々と曲を演奏していくストイックな構成。各曲の世界観を増幅させる映像演出もオーディエンスのイマジネーションの助けとなり、曲数が重なるほど、フロアの温度は上がっていった。「踊楽園」ではラストで観客がその場でジャンプ。「紙風船」は、このバンドのハイブリッドなセンスが特に感じられた曲で、音を歪ませながらのギターソロを筆頭に、メンバーのパフォーマンスもエネルギッシュだった。30分で8曲。バンドのエネルギーを余すことなく放出して、CLAN QUEENはステージを去った。
■ライブハウス出身のロックバンドとしての矜持とみずみずしいバンドサウンドを届けたConton Candy
Conton Candyは、「急行券とリズム」でライブをスタート。続く「ロングスカートは靡いて」では、楓華(Ba/Cho)がステージ前方に出てきて奏でたフレーズや、歌詞にある“加速する自転車”をイメージさせる彩楓(Dr/Cho)の疾走感溢れるプレイが、観客の高揚感を掻き立てた。そこに紬衣(Vo/Gu)の伸びやかでまっすぐな歌声と3ピースならではのギターサウンドが重なり、ライブならではの音像を届ける。「恋」までの3曲を終えると、「楽しいね」と笑い合うメンバー。MCでは紬衣が「CENTRAL初開催、呼んでもらえて光栄です」と噛み締めつつ、今ここにいる人たちはいろいろなステージがある中でZeppを選んで来てくれたのだと語りながら、「絶対にキメなきゃいけないなと思って、今日はここに立ってます。今日はみんなの心のセンター、ド真ん中しか狙ってないです」と意気込んだ。そんな熱い気持ちを込めて「普通」「ファジーネーブル」を届けると、ラストには「自分たちの“CENTRAL”!ライブハウスの歌!」と紹介して「好きなものは手のひらの中」を披露。ライブハウス出身のロックバンドとしての矜持を示すとともに、自分たちと同じライブハウスラバーである観客のことを「めっちゃいい顔してる!」と讃えた。「このフェスが長く続きますように」という願いが込められたみずみずしいバンドサウンドは、観客の心に深く刻まれたはずだ。
■フロントマンの不在を補おうという気迫が感じられたCody・Lee(李)
3組目のCody・Lee(李)は、高橋響(Vo/Gu)の体調不良のため、急遽特別編成での出演に。ライブのスタート前に力毅(Gu/Cho)が観客に事情を説明するとともに、「楽しみにしていた方には申し訳ないんですが、今日は全力で演奏するので楽しんでいってください」と伝えた。そしてステージ上でメンバー同士が「じゃあいくよ」「よっしゃ」と声を掛け合いながら、「LOVE SONG」を鳴らし始める。ダイナミックなそのサウンドは、様々な想いを巡らせていたであろうファンを「音楽って最高!」という気持ちに引き戻すもので、メンバーのプレイからは、フロントマンの不在を補おうという気迫が感じられた。この日Cody・Lee(李)は、ボーカルパートを他のメンバーが代わりに歌う形式で全6曲を披露。今回浮き彫りになったのは、(もちろん高橋が歌うのがベストだが)誰が歌っても美しく感じられるメロディの存在感、Cody・Lee(李)の楽曲の素晴らしさであり、イレギュラーなライブにもかかわらず、メンバーが「めっちゃ楽しいかも」と言っていたのが頼もしかった。ライブの後半では青春パンク調の楽曲が続けて演奏され、バンドは童心に返って熱量を爆発させる。全曲演奏後には力毅がメンバー紹介後に「ボーカル高橋響!We are Cody・Lee(李)!」とシャウト。フロアに歓声が広がった。
■離婚伝説は、涼やかな歌声やバンドの心地よいグルーヴで、観客の心を掴む
続いては、離婚伝説が登場。1曲目は「あらわれないで」で、松田歩(Vo)の涼やかな歌声やバンドの心地よいグルーヴで、観客の心を掴むとともに体を揺らした。メンバーふたりの一方がフロントマンというわけではなく、ボーカルとギターが並び立ちながら存在感を示しているのがこのバンドの特徴。続いて演奏された「本日のおすすめ」では、別府純(Gu)がリズミカルなバッキングやワウを利かせながらのソロプレイでオーディエンスを魅了した。フェスでの離婚伝説は、MCをほとんどせず、曲間をセッションで繋ぎながら音を絶やさないことで、観客との音楽を通じたコミュニケーションを図っていく。「愛が一層メロウ」の曲中には楽器の音がフェードアウトするアレンジがあり、バンドのファンも初めて離婚伝説のライブを観る人も一緒になって“愛が一層メロウ”と口ずさんだ。演奏後には「みんな最高だった、ありがとう」と松田。そんな温かい場面もあったこの日のステージでは、ライブの3日後=4月9日に配信リリースされた新曲「紫陽花」が初披露されるうれしいサプライズもあった。そしてラストは「メルヘンを捨てないで」。アウトロが長く、アドリブ要素の多い楽曲で、歌い終えた松田が颯爽と去っていくなか、別府を筆頭に、バンドは燃え残りなしの熱演を見せる。非常にクールなエンディングだ。観客は歓声を飛ばしたり拳を上げたりと興奮を抑えきれない様子だった。
■アンコールを2曲披露。湧き上がる衝動のすべてを音楽に乗せた秋山黄色
トリを務めた秋山黄色は、自身の死生観を歌った「生まれてよかったと思うこと」を1曲目に届けると、続けて特徴的なギターリフから始まる楽曲「Caffeine」を鳴らし、歓声を浴びた。全身全霊の歌、歪むギター、バンドメンバーと息を合わせながらのタイトなキメ。最初の2曲から伝わってきたのは秋山の気合いで、MCでは、イベントを最初から最後まで楽しんだ観客を気遣いつつも「ごめんなさいですけど、ガチガチでやっちゃいますから。皆さん最後まで激アツでお願いします!」と改めて伝えた。その勢いのままアッパーチューンを連打して、本編はあっという間に終了。本来は「クソフラペチーノ」が最後の曲だったが、フロアからの歓声と手拍子に呼ばれて再登場した秋山は、アンコールとして「アイデンティティ」を披露した。爆発力のあるパフォーマンスでハイライトを更新したところで、本当に終了…と思いきや、そのまま「やさぐれカイドー」のギターリフを弾き始めた秋山。ステージから去ろうとしていたバンドメンバーも笑いながら戻ってきて、楽器を構える。そして「すみません、運営の人!あと1曲だけ重要な曲をやったら、このCENTRALの歴史に残せそうなので!」と、正真正銘ラストの楽曲「やさぐれカイドー」が演奏された。秋山の歌やギターに反応し、バンドメンバーも自身のプレイにアレンジを加えていて、ステージからは凄まじいエネルギーが放たれる。今年3月にメジャーデビュー5周年を迎えた秋山は、「“新人”や“若手”という言葉で自分を守ったことは一度もない」としつつも、後輩が増えてきたという実感を語りながら、「今一度、最初の“NEW GENE”を思い出してやりますから」と宣言。直後のラスサビで秋山は叫ぶように歌うとともに、その場に寝転がり、足をばたつかせながらギターを掻き鳴らす。湧き上がる衝動のすべてを音楽に乗せている。これにはオーディエンスも大喜び。「NEW GENE FEST」は熱狂とともに幕を閉じたのだった。
TEXT BY 蜂須賀ちなみ
■セットリスト:NEW GENE FEST
『CENTRAL MUSIC & ENTERTAINMENT FESTIVAL 2025』
2025年4月6日(日)神奈川・KT Zepp Yokohama
NEW GENE FEST
◎CLAN QUEEN
1.自白
2.求世主
3.アリスの嘘
4.紙風船
5.プルートー
6.ゲルニカ
7.サーチライト
8.踊楽園
◎Conton Candy
1.急行券とリズム
2.ロングスカートは靡いて
3.恋
4.普通
5.ファジーネーブル
6.好きなものは手のひらの中
◎Cody・Lee(李)
1. LOVE SONG
2.ほんの気持ちですが!
3. WKWK
4.初恋・愛情・好き・ラヴ・ゾッコン・ダイバー・ロマンス・君に夢中!!
5.ボーイズブラボー
6. When I was cityboy
◎離婚伝説
1.あらわれないで
2.本日のおすすめ
3.愛が一層メロウ
4.萌
5.紫陽花
6.メルヘンを捨てないで
◎秋山黄色
1.生まれてよかったと思うこと
2.Caffeine
3.シャッターチャンス
4.ソニックムーブ
5.Wannabe
6.クソフラペチーノ
EN1.アイデンティティ
EN2.やさぐれカイドー
■イベント情報
『CENTRAL MUSIC & ENTERTAINMENT FESTIVAL 2025』
04/04(金)神奈川・Kアリーナ横浜、臨港パーク
04/05(土)神奈川・Kアリーナ横浜、横浜赤レンガ倉庫 赤レンガパーク特設会場、KT Zepp Yokohama、臨港パーク
04/06(日)神奈川・Kアリーナ横浜、横浜赤レンガ倉庫 赤レンガパーク特設会場、KT Zepp Yokohama、臨港パーク
『CENTRAL MUSIC & ENTERTAINMENT FESTIVAL 2025 in Taipei』
04/19(土)Zepp New Taipei
『CENTRAL MUSIC & ENTERTAINMENT FESTIVAL 2025 in Kuala Lumpur』
04/26(土)Zepp Kuala Lumpur
『CENTRAL MUSIC & ENTERTAINMENT FESTIVAL 2025』公式サイト
https://central-fest.com/