映画『隣のステラ』の公開御礼舞台挨拶が8月27日に東京・TOHOシネマズ新宿 スクリーン9で行われ、W主演を務めた福本莉子と八木勇征(FANTASTICS)が登壇した。
■“近くて遠い恋”関係が表れたシーンは「昴の気持ちを大事にしながら撮影していました」(八木勇征)
今回は上映後の舞台挨拶ということで、福本、八木が客席に交じり観客にシークレットで本編を鑑賞。
そして、エンドロールが終わると、場内の暗闇に突然チカチカと光る明かりが。
その正体は、福本と八木が照らしていた懐中電灯の明かり。これは本編で隣同士の家に住む千明と昴が窓越しに話すときの合図をオマージュした演出となっており、明転し客席から登場すると、会場はまさかの事態に騒然。大きな興奮に包まれながら舞台へ移動し、そのまま舞台挨拶がスタート。
福本は「天野千明を演じた福本莉子です。本日はお集まりいただき、ありがとうございます。皆なさんと楽しい時間を過ごせたらと思っています。本日はよろしくお願いします」、八木は「今日は本当に足を運んでくださってありがとうございます。皆さんと一緒に自分が出ている映画を観ることは初めての経験だったので、とても思い出に残る時間になりましたし、舞台挨拶も満喫できたらと思っています。よろしくお願いします」(八木)と、それぞれ挨拶。
自身が出演している映画をこのような形で観客と一緒に観るのは初めてというふたり。客席からの登場についてMCから問われると、福本は「入ってくるときバレバレでしたよね(笑)」、八木は「バレバレだったと思います(笑)」と顔を見合わせながら、福本は「思っていたより場内が明るかったので、もう少しこっそり入る予定が絶対バレてるなと思いながら入って。30分くらい皆さんと一緒に映画を観ることができて、普段あまりない経験だったので楽しくてうれしかったです」と笑顔。
そして八木は「少しバレてるかもと思いました。さらに僕、途中からむせ始めちゃって(笑)。莉子ちゃんがお水をスタッフさんにお願いしてくれて、なんとか助かりました」と、プチハプニングが起きたことを告白した。
そしてここで、隣同士の家に住む千明と昴が幼い頃から窓越しに話すときの合図として使用していた、懐中電灯が登場。こちらは実際に劇中で使用していたもので、実物を見た観客からは「かわいい~!」との声が。
撮影ぶりに手に取った福本は「ちょっとした落書きもあってかわいくて。本当に小さい頃に作ったんだろうなと思える細かいところがあって、作り込まれていると思います。映画のなかで、懐中電灯の光でお互いが話す合図を、劇場でオマージュさせていただいて、楽しかったです」、八木は「思い出に残ったね」と振り返った。
公開から1週間近くが経過し、公開後の反響を尋ねられると、福本は「SNSで多くの方が感想を投稿してくださっているのを、いつも見ています。ありがとうございます。入場者プレゼントを集めてくださっている方もたくさんいるみたいで、うれしいです」と答え、絵柄全4種のうち1種がシークレットになっている入場者プレゼントについて、八木が「シークレットを持っている方ー?」と観客に問うと、多くが挙手。会場を見渡し「すごいじゃん!」と微笑んだ。
反響について、八木は「SNSを通じて皆さんの声は届いていますし、泣けた、キュンキュンした、そして青春を思い出したという言葉も多くて。先日、福田雄一監督もFANTASTICSメンバーの(佐藤)大樹くんと一緒に映画館に足を運んで観てくださって、とても熱いコメントを残してくださってうれしいです」と話した。
さらに本作の鑑賞回数について気になった八木は「1回目の人~? 2回目の人~?」と観客へ投げかけ、5回目以上の観客も多く見受けられると、「映画館に住んでます?」と笑いを誘った。
そして舞台挨拶は公開後の今だから話せるトークパートへ。
「ふたりが千明のように普通の一般人で、片思いしている幼なじみが人気芸能人になったら?」という質問に、福本は「寂しい気持ちが大きいです。家が隣同士なので物理的には距離が近いですが、自分の知らない相手が出てきますよね。これは芸能人に限らず、大人になると違う学校や仕事先になってしまい、その人の知らない部分が出てきて不安になると思います。なので、私は千明みたいに強くはいられないかもしれないです」、八木は「自分が知らないことだらけの世界に挑戦している人じゃないですか。だからこそ、応援する気持ちはありますけど自分の気持ちを伝えるところまでいかない気がします。自分がもしそうなったら千明のように強くはいられないと思います。なので千明をビッグリスペクトしています」と回答。
隣同士の家で千明と昴が窓越しで会話する撮影については、八木は「家が隣同士の撮影場所があって、その2階の部屋が千明と昴の部屋になっていて撮影しました。漫画の世界観がそのまま自分たちの目の前に現れたような感覚になり、その世界に入り込んでいました」、福本は「昴側を撮っているときは私の方にスタッフさんがいて撮影したり、間に足場を組んでそこに録音部さんが立って音を録ったりしていました」とコメント。八木の「僕がこだわったのは、最後に窓を飛び越え、千明の部屋まで行くシーン。とてもスリリングな撮影をしました」という発言を受けて、福本が「あのシーンどうやって撮影しているか皆さん気になりますよね?」と投げかけると、八木は「あそこはCGで撮影しました(笑)。無理です、さすがに(笑)」と笑い交じりに撮影秘話を披露した。
予告などで使用している、カラフルなカーテンがなびく廊下を千明と昴が駆け抜ける非常に印象的なシーンは実は10カット以上撮って出来上がったもの。
その撮影エピソードについて問われ、福本が「カーテンが静電気でくっつくのでスタッフさんが霧吹きでくっつかないようにしてくださったり、私たちが走るのに合わせて、撮影部さんも走り、カーテンがきれいになびくように外から風も当てられていて。そのすべてのタイミングを合わせるのがとても難しく、さらにスローモーションで細かい部分まで見えてしまうので、10テイク以上撮影しました」と答えると、八木は「僕にカーテンがめっちゃ当たって、顔に浴びてた(笑)」と回顧。
「八木さんが先陣をきってくださったので、私はその後ろに隠れながら走りました」と福本がいうと、八木は「僕はそのシーンで印象に残っているのは、福本さんの足が速いこと! 何度追い越されたことか。いつの間にか前にいました」と返し、福本の「全速力で走っていると急ブレーキすると疲れてしまうので、走り抜けて徐々にスピードを落としていました」という発言に八木は「アスリートなのよ、もう(笑)」と仲睦まじくつっこんだ。
また、千明が意を決して昴に告白するも、「幼なじみとしてしかみていない」と言われ玉砕してしまうシーンについて、福本は「撮影に入る前から重要なシーンだと思っていたので、そこまでの気持ちの作り方を監督と相談しました。千明は昴をいちばんに応援していますが、ふとした瞬間に好きがあふれてしまい、つい告白してしまうシーンなので、演じていても、観ていても、心がたくさん動きました」、八木は「心苦しかったです…。松本監督の撮り方が、千明の表情で心情をみせるのではなくて、ひとりでぽつんと取り残されている感じの後ろ姿を映すことで心情を表していて。僕にとっても印象的なシーンではありますが、辛いシーンでもあります」と明かした。
昴が登場する劇中ドラマ『ビター・スイート・ダーリン』の舞台挨拶へ行く千明。舞台上と客席にいるふたりの“近くて遠い”関係が表れたシーンについて福本は、「ど真ん中の席で見ていたのですが、まわりに八木さんや他キャストさんのファンの方がいて、周りが高揚しているなか、千明だけ気持ちが沈んでいるシーンだったので、このギャップが大変でした。舞台上の昴は千明が知らない昴だったので、本当に遠くて、切ない気持ちになりました」、八木は「千明が来ているとは思わなかったので、見つけたときの驚きと、同時にうれしい気持ちも溢れてきて。昴自身も千明に対しての気持ちが抑えきれなくなるきっかけのひとつでもあるので、そこは昴の気持ちを大事にしながら撮影していました。『隣のステラ』でふたりの距離感が客観的に表れているシーンでもあるので、皆さんも印象に残っているかと思います」と答えた。
先日の初日舞台挨拶に登壇した千明の妹・千穂役の泉谷星奈と移動中に“秘密の会話”をしていた八木。初日舞台挨拶では泉谷が話した内容を“秘密”としていたが、その内容について聞かれると、「『明日は何するの?』と聞いたら、『お仕事はないのでお出かけする! ぶどう狩りにいく!』と言っていました。かわいすぎて! 次の日の予定だったから、初日舞台挨拶では秘密にしたんだと思います。しっかりしているなと思いました。僕だったら絶対言っちゃいます(笑)」と尊いエピソードを披露した。
さらに、千明の同級生役を演じた田鍋梨々花と田中偉登とのエピソードについて、福本は「先日ディズニーシーに行きました! たくさん食べて、アトラクションに乗って、カチューシャもお揃いにして遊びました!」と告白。本当のクラスメイトのような休日を過ごしたことを明かした。
撮影の裏話について、福本は「先ほど映画を観ていて改めて思いましたが、ラストシーンの高台の私、本当に寒そうですよね。耳が真っ赤で、鼻も赤いし、息も白いし、気温もマイナス6度で本当に寒くて! ふたりとも凍えながら撮影しました」、八木は「本当に寒かったよね。あの撮影中に食べたとん汁が本当に沁みました。あんなにおいしいとん汁はじめて」と話し、福本が「ラストシーンの撮影中に、私がちょんって八木さんを押したら、転んでしまって(笑)。気づいたら八木さんがいなくなってしまってて…(笑)」というと、八木は「足がもつれて木の根っこにはまってしまったんですよ! 恥ずかしかったです。でも松本監督のカットが全然かからず、そのまま最後まで演技を続けました。そのまま星を眺めるという、感情がおかしくなってしまいました(笑)」と語った。
何度も観てほしいポイントを問われると、「ふたりだけではなく個性豊かな登場人物がたくさん出ているので、一人ひとりに注目しても面白いと思います! 私は昴のマネージャー・棚瀬さん(浜野謙太)が大好きです。ほっこりする」と福本。
八木は「星空がよく出てくるのですが、その星の数が千明と昴の気持ちの高揚によって増えたり減ったりしているというのを松本監督がおっしゃっていました。そういう細かいところも結構こだわってますし、カメラマンさんが冒頭の幼少期のシーンはアニメを見ているような感覚になってほしいと話していて。ファンタジー要素も取り入れた演出もあるので、そこも観てほしいです」と答えた。
そして、ラブストーリーではヒロインを取り巻く男性キャラクターのどちらを支持するか、という推しの話題が絶えずあるもの。本作でも撮影現場や取材で「昴派」「高橋派」と“推しトーク”が繰り広げられていた。これまで高橋(倉悠貴)派が多かったこともあり、今回も昴派・高橋派が個人的に気になったという八木。「昴派の人~? 高橋派の人~?」と観客に尋ねると、圧倒的に昴派が多く、「よっしゃー!」と力強くガッツポーズ。「本当に!?(笑)」と疑う福本の姿と、満足げな表情を浮かべる八木に会場一同笑いに包まれた。
そしてここでフォトセッションへ。ラブストーリーにちなみ、ふたりでハートポーズをすると会場は「かわいい!」と黄色い悲鳴が起こった。
そして最後に、八木は「今日はこの会場に足を運んでいただき本当にありがとうございます。『隣のステラ』を皆さんにたくさん見ていただけてとてもうれしいですし、たくさんの方に愛される作品になってほしいなと思っています。楽しい時間をありがとうございました」、福本は「寂しくなっちゃうなぁ。公開してから何度も足を運んでくださってありがとうございます。若いチーム、スタッフで王道の恋愛ストーリーを心血注いで作りました。観ていて本当に温かくなりますよね、悪い人がひとりも出てこないことが私の好きなポイントでもあって。昴と千明がどこに行っても、どんな世界に行っても、つねにお互いを想いあっているところ、人を想い、尊さを感じられる作品になっていると思います。この夏ぴったりの作品だと思いますので、皆さんみていただけると嬉しいです。本当にありがとうございました」と挨拶し、会場を噛み締めるように見渡しながら退場。終始和気あいあいとしたアットホームな空気に包まれ、イベントは終了した。
■映画情報
『隣のステラ』
8月22日(金)全国公開
原作:餡蜜『隣のステラ』(講談社『別冊フレンド』連載)
監督:松本花奈
脚本:川滿佐和子
出演:福本莉子 八木勇征
倉悠貴 横田真悠 西垣匠 田鍋梨々花
清水美砂 宮崎吐夢 紺野まひる
野波麻帆 浜野謙太
主題歌:FANTASTICS「いつも隣で」
配給:東宝
(C)餡蜜/講談社 (C)2025 映画「隣のステラ」製作委員会
■関連リンク
映画『隣のステラ』作品サイト
https://stella-eiga.jp/
FANTASTICS OFFICIAL SITE
https://m.tribe-m.jp/Artist/index/168
















