自らのアーティストネームをタイトルに冠した初のフルアルバム『idom』を、11月7日にデジタルリリースしたidom。本作のリリースを記念したワンマンライブ『idom Live 2025 “ONE LOVE, TWO HEARTS”』が、11月14日にZepp Shinjuku(TOKYO)にて開催された。
■シームレスに楽曲を繋げながら会場のテンションを引き上げていくidom
この日のステージには、ゲストとして、Aile The Shota、Kvi Baba、peko、SO-SO、7(※敬称略・ABC順)が出演。アルバム『idom』の楽曲を中心としたセットリスト、有機的なバンドサウンド、そして、彼自身の生々しい体験や感情に裏打ちされたボーカルを含め、アーティストとしてのポテンシャルをはっきりと証明してみせた。
バンドメンバー(森光奏太/Ba、松浦千昇/Dr、Hiromu/Key)が奏でる憂いを帯びたサウンドとともにidomが登場。ステージ奥の幕が開き、十字架を象った映像が投影される。「“ONE LOVE, TWO HEARTS”、Let’s go!」という声とともに放たれたのは、アルバム『idom』の1曲目に収められた「Heaven」。“祈り求め続けた 生きてる意味”というラインを美しいメロディに乗せて響かせ、フロアを埋め尽くしたオーディエンスを瞬く間に惹きつける。
さらに「What’s up!? Tokyo!」と呼びかけ、Y2Kを想起させる「Only Baby」、「飛べ!」という煽りによって観客が楽しそうに飛び跳ねた「Time Machine」、心地よいフロウに誘われるようにシンガロングが発生した切ないラブソング「No More」、高揚感溢れるブレイクビーツとともにベース、ドラム、鍵盤のソロ演奏が差し込まれ、“この一瞬を謳歌 解き放って”というリリックどおりの光景が広がった「Freedom」へと続く。シームレスに楽曲を繋げながら会場全体のテンションを引き上げていく構成がとにかく素晴らしい。抜群のリズム感と滑舌の良さで、すべての歌詞がはっきりと聴き取れるidomのボーカリゼーションも最高だ。
続く「堂々廻」では、最初のゲスト・SO-SOが登場。ビートボックスの世界大会でチャンピオンに輝いたテクニックと躍動感溢れるステージングが炸裂し、フロアの興奮はさらに上昇した。アジア的エキゾチズムを感じさせるCG映像も楽しい。
■「今まででいちばん自分のことを愛せそうだよ」(idom)
「頭からぶっ飛ばしちゃたね。みんな最高にノッてくれてうれしいよ、ありがとう。いつも特別なステージなんですけど、今日はさらに特別なステージ。アルバム出して一発目のワンマンライブ、ぜひ楽しんでいってください」
このライブに対する強い想いを言葉にしたあと、「愛のプラネット Remix」(Aile The Shota)へ。2人目のゲスト・Aile The Shotaもステージに上がり、idom、Shota、森光の3ボーカルで輝かしい愛を歌い上げる。「今日は大好きなidomくんのために、そして、idomくんが好きなあなたのために歌いに来ました!」というShotaのMCもエモい。
“長い人生の途中だから、少し立ち止まって。焦らないで”というテーマを織り込んだ「Don’t Rush」からは、idomの奥深いボーカル表現を堪能できる時間が続いた。“24時間あなたの側に”という深い想いを映し出すミディアムチューン「24hrs」、吐息から始まり、まどろみのような瞬間と愛する人に向けられた深遠なエモーションが広がった「breathe」(エンディングにおける詩情溢れるベースソロも絶品!)。
そして、このブロックの最後は「あなたを愛するように」。「こんなにみんなが集まってくれて、今まででいちばん自分のことを愛せそうだよ」という言葉に導かれたこの曲は、“あなたを愛するように 自分のこと愛していられたらいいのに”というフレーズが印象的なナンバー。原曲に参加したラッパー・pekoも加わり、温かくて豊かな愛の歌が会場を包み込んだ。
■キャリアをプレイバックするエモーショナルな演出!
「どんどん進んでいって、うれしくて、終わるのが超イヤになる。時を戻そう」と、ここでidomはいったんバックステージへ。スクリーンには、これまでのMVがたくさんのブラウン管テレビに映し出される映像が投影される。着替えを終えたidomが再び登場し、披露されたのは初期の楽曲「GLOW」「i.d.m.」「帰り路」のメドレー。idomのキャリアをプレイバックするエモーショナルな演出に、観客も大歓声で応える。
MVの映像をモノクロで映し出しながら披露された「Buddy」から、ライブは後半へ。「いつも自分を支えてくれた、最高のバディを紹介していいですか?」と呼び込まれたのはKvi Baba。“この世にいろんな人はいる けど今 all I want is you”というフレーズで合唱が起きた「Ms.U」(Kvi Baba)、そして“君だけでいい”という想いを軽やかに描き出した「ミニマリスト」(idom&Kvi Baba)をセッション。互いに支え合い、刺激し合う関係性がステージからまっすぐに伝わり、それがライブ全体のバイブレ―ションに繋がっていく。
「ここにいるみんながバディだからさ。愛してるよ、みんな」「まったく悔いないくらい、やり切って今日を迎えて。みんなにも覚えていてほしいな」という言葉に導かれたのは「byebyebye」。UKガラージのリバイバルとも重なるトラック、心地よいスピード感に貫かれたフロウ、“他の誰かじゃ埋めれないんだよ”というフレーズが響き合い、心と身体を揺さぶられる。
さらに「Baby.U Remix」では、フィーメールラッパーの7が登場。恋人同士の想いが絡み合うラブソングなのだが、“1年後もキミと居たい”というラインは観客にも向けられていたと思う。
■「みんなもこの時間を忘れないでほしいな」(idom)
ここでidomはゆっくりとオーディエンスに語りかけた。誇れるときもあったけど、自分に失望する時間もたくさんあったこと。自分に価値がない、生きている意味がないと思いながら生きてきたなかで、自分のことを諦めなかった神様に感謝していること--。
「みんなが僕にとって生きる希望。曲を通して、音楽を通してみんなと繋がって、ひとりじゃないよって伝えたくて、アルバムを作りました。なので、みんなもこの時間を忘れないでほしいな」という言葉に、フロアから大きな拍手が送られた。
本編ラストの「Treasure」は、アルバム『idom』の中でも、最も彼自身の半生がダイレクトに刻まれた楽曲だ。つらいこと、苦しいことが多かった過去と向き合い、痛みを抱えながら進んできたidom。どこまでもまっすぐに響く“何もない時こそ見えるだろう 本当の君だけのTreasure”というフレーズは、この日のライブの意義そのものであり、idom自身のアイデンティティと直結していた。
アンコールは、Hiromuの独奏による「Amazing Grace」から。神聖な雰囲気のなかで届けられたのは、アルバム『idom』の最後に収められたバラードナンバー「幸福権」だった。孤独と絶望に苛まれながら、光の在処、生きている意味を求め続ける姿を描いた歌詞を、ピアノ1本のアレンジでどこまでも率直に歌うidom。その姿と歌声は、この場所にいるすべての人の感情を強く揺さぶったはずだ。
最後は「Hallelujah」。レコーディングにも参加したidomの仲間たちがコーラスとして登場し、観客も“Oh, yeah, Hallelujah”と高らかに歌い上げる。すべての人に賛美の光が降り注ぐような場面とともに、ライブは感動的なエンディングを迎えた。
この日のライブを通し、自分自身の人生、価値観、音楽と仲間への強い愛を示したidom。それはアルバム『idom』の充実ぶりを改めて伝えると同時に、アーティストとしての彼の存在意義をしっかり照らし出していた。この経験を経て、idomはどんな音楽を生み出すのか? それが楽しみでしょうがない。
■【画像】idom×ゲストミュージシャン ライブ写真
■リリース情報
2025.11.07 ON SALE
DIGITAL ALBUM『idom』
https://idom.lnk.to/idom
■関連リンク
idom OFFICIAL SITE
https://www.idom-official.jp/



















