5月13日東京・渋谷Spotify O-Crestで開催された『HOTCH POTCH GIG Vol.2』。“Vol.2”の今回もジャンル、表現スタイル、年齢、性別などの枠組みにとらわれない新鮮な対バンが実現した。the paddles、Conton Candy、オープニングアクト・ねぎ塩豚丼――という組み合わせを観客はどのように受けとめたのか? イベントの模様をレポートする。
■HOTCH POTCH GIGとは?
イベントタイトルの“HOTCH POTCH=ごちゃ混ぜ”という言葉のとおり、J-ROCKという枠組みのなかでも、ジャンルやスタイル、年齢や性別をクロスオーバーしたアーティストを組み合わせ、これまで交わることのなかった異色の対バンを実現する“異種格闘対バンイベント”として展開されている。
Vol.1は2025年3月に開催され、anewhite、Conton Candy、Hwyl、yutoriの4組が出演。
それぞれの個性が見事に混ざり合い、ライブハウスシーンで大きな反響を呼んだ。
“ごちゃ混ぜ”だからこそ起きる化学反応がこのイベントの見どころになっている。
■ねぎ塩豚丼
バンド名は、“ネギシオトンドン”と読む。略称は“ネギトン”。なお(Vo/Gu)、さえ(Gu)、かずさ(Ba)、あいね(Dr)による4人組バンド。高校の軽音楽部の部員同士で結成。メンバーの受験準備のために2025年4月5日の自主企画をもって活動休止期間に入ったが、2026年3月から活動を再開。パワフルなオリジナル楽曲、激しいステージングが注目を集め、着々と活躍の場を広げている。
◎音楽への情熱を感じるアクト

オープニングアクトをつとめたねぎ塩豚丼のライブは、「変貌」からスタート。演奏と歌声の勢いに真っ向勝負を挑むかのような激しい手拍子が、後方まで埋まっている満杯のフロアから沸き起こった。飛び跳ねる観客のエネルギーが会場内に漂う熱気を急上昇させた「Victory」を経て、「夏の幻」「備忘録少年」「Higher to the light」も披露。高校を卒業したばかりの4人だが、この後に登場する2バンドに負けないライブをする意気込みに溢れていた。「今はまだ憧れる側だけど、誰かに憧れてもらえるようになるまでバンドを続けたいです」という、なおのMCが思い出される。音楽への情熱に満ちた姿が、披露された5曲からまっすぐに伝わってくるライブだった。
▼セットリスト
M1 変貌
M2 Victory
M3 夏の幻
M4 備忘録少年
M5 Higher to the light
■Conton Candy
紬衣(Vo/Gu)、楓華(Ba/Cho)、彩楓(Dr/Cho)による3ピースロックバンド。2018年に高校の軽音楽部で結成。2023年に配信リリースした「ファジーネーブル」は、SNSを中心にバイラルヒット。2026年5月20日にリリースされたメジャー1stアルバム『すっぴん』には、同曲を含む14曲を収録。アルバムを引っ提げた『Conton Candy ONEMAN TOUR 2026 “すっぴん”』が、5月31日北海道・札幌SPiCEからスタート。ツアーファイナルは、7月12日東京・Zepp Shinjuku。
◎華やかさと確かな実力

メンバー同士で演奏のタメとキメを完璧に共有。静と動、緩と急の間を行き来しながら瑞々しいメロディを浮き彫りにした「濁り」がオープニングを飾り、最新アルバム『すっぴん』から先行配信された新曲「OTAGAISAMA」も披露。華やかな響きの声質だが、ビートに乗りながらパンチの利いたニュアンスも随所で加える紬衣の歌は、グルーヴィなバンドサウンドと一体となりながら輝いていた。「ファジーネーブル」と「ロングスカートは靡いて」で観客から届けられた大合唱をとても嬉しそうに受け止めていたメンバーたち。楓華と彩楓のコーラスによるハーモニーにも彩られながら歌声の輝度を高め続けた紬衣は、曲に刻んだ想いを鮮やかに躍動させていた。
「3マンだけどワンマンの気持ちくらい終わりたくないよ。この気持ちをまた味わいたいって。ドキドキしたなと思ったら、Conton Candyのライブにまた遊びに来てください!」と彼女が観客に呼びかけてから届けられた「好きなものは手のひらの中」――この曲で締めくくる予定だったようだが、急遽「爪」を披露。ステージ上で感じた想いをすぐに音に昇華するロックバンドとしての確かな実力を、そんな姿からも感じることができた。
▼セットリスト
M1 濁り
M2 OTAGAISAMA
M3 スノウドロップ
M4 普通
M5 ファジーネーブル
M6 ロングスカートは靡いて
M7 102号室
M8 好きなものは手のひらの中
M9 爪
■the paddles
柄須賀皇司 (Vo/Gu)、松嶋航大 (Ba/Cho)、渡邊剣人(Dr)。2014年、大阪・四條畷高校の軽音楽部内で前身となるバンドを結成。大学受験準備のための活動休止期間を経て、2017年にバンド名を“the paddles”に改め、活動を再開。2019年10月に初の全国流通盤となった1stミニアルバム『EVERGREEN』をリリース。2024 年 12 月にリリースした2nd EP『オールタイムラブユー E.P.』は、タワレコメンや各種プレイリスト、ラジオのパワープレイなどに選出された。2026年8月5日東京・渋谷Spotify O-WESTにてワンマンライブ『人生の登場人物として』が開催される。
◎笑いと気持ちが溢れる圧巻な空間

序盤の3曲「ちぎれるほど愛していいですか」「花」「倦怠モラトリアム」が一気に披露されてから迎えた小休止。男性客が圧倒的に多いフロアを眺めて喜んだ柄須賀は、抜群のトーク力で観客を何度も大爆笑させつつ、バンド活動に対する真剣な想いも語った。「the paddlesは背中を押すバンドではないと最近言ってます。もしみんなが人生のなかで前に進めずに立ち止まっていても、後ろに下がってても、その横で一緒に歩いて行く、一緒に立ち止まる。そんなバンドです」――その後に届けられた曲たちは、この言葉通りの姿を示していた。
フロアで掲げられたたくさんの拳が美しい風景を作り上げた「会いたいと願うのなら」を経て、本編は「25歳」で終了。しかし、手拍子が鳴り止まず、3人はすぐにステージに戻ってきた。「めっちゃライブやってるから、また観に来て。なんでそんなにライブをやるのか? みんなの方が忙しいに決まってるから。いっぱいライブやってたら、どこかの予定に合うかなと思って」と語る柄須賀の笑顔が明るい。届けられたアンコールの曲「カーネーション」は、躍動する温かなメロディが観客とthe paddlesの間で交わす再会の約束となっていた。
▼セットリスト
M1 ちぎれるほど愛していいですか
M2 花
M3 倦怠モラトリアム
M4 予測変換から消えても
M5 22
M6 会いたいと願うのなら
M7 25歳
En カーネーション
■『HOTCH POTCH GIG』に注目!
大盛況で『HOTCH POTCH GIG Vol.2』は幕を閉じた。“ごちゃ混ぜ”のなか、出演した3組それぞれの個性が光っていたのが印象的だった。終わった後には全アーティストを振り返りたくなる――。これが『HOTCH POTCH GIG』の良さだろう。Vol.3開催の知らせを楽しみに待ちたい。
TEXT BY 田中大
PHOTO BY Kanta Nakano













