Suchmosがリスペクトするアーティストを招いて行う対バンツアー『Suchmos The Blow Your Mind TOUR 2026』全9都市の同公演レポートを『THE FIRST TIMES』独占で実施中。今回は5月29日、『Suchmos The Blow Your Mind TOUR 2026』4ヵ所目となる福岡・Zepp Fukuoka公演、初日をレポートする。
■Suchmosと長岡亮介の接点は下北沢GARAGE
たった6年、されど6年。大人にもなれば、6年前の出来事が、ついこのあいだのように感じてしまう。しかし、社会の在り方が一変したコロナ禍からは、随分と遠くにきた気もする。この6年でいろんなことがあった。閉店した店、最近できた居場所。大切な人との別れ、あらたな生命の誕生。
『Suchmos The Blow Your Mind TOUR 2026』福岡公演のゲストは、長岡亮介。6年前に予定されていた『Suchmos The Blow Your Mind TOUR 2020』には、ペトロールズとして大阪・Zepp Osaka Baysideに出演予定だった。当時、開催に向けてHSU(Ba/Suchmos)がこのようなコメントを発表していた。
「大阪という街は東京とは反対の空気の西の大都会。
そんな土地でペトロールズとライブが出来るなんてなんだかギャップを感じる事が出来ると思うし、
その不思議なギャップも含めて特別な夜として楽しんでくれればと思います」HSU(Ba/Suchmos)
そもそも長岡亮介とSuchmosの接点は、2021年12月に閉店したライブハウス・下北沢GARAGEにある。この下北沢GARAGEという場所には不思議な引力があり、ジャンル関係なく、それぞれが個として真摯に音楽に向き合うミュージシャン(だけでなく俳優やクリエイターなどまで)が集う場だった。神奈川公演に出演したRyohu、愛知公演に出演したGLIM SPANKYも、ここで時間を共有した仲間。6人体制になったSuchmosが初めてライブを行ったのも、この場所。下北沢GARAGEは、音楽や表現で生きていこうとする人たちが集う、音楽と人間愛に満ちた特別なコミュニティだった。あれから約5年経った今も、閉店してしまったことを非常に惜しく思う。
そして6年のあいだに、ペトロールズにも突然の悲しい別れが訪れた。2024年11月27日に河村俊秀(Dr)の急逝を発表して以降、ペトロールズの活動は止まっている状態だ。長岡亮介としては、星野源をはじめとするアーティストのサポート、野木亜紀子脚本ドラマ『スロウトレイン』の劇伴、あいみょんと會田茂一(アイゴン)による新人バンド・OJAMASHIMA’sなど、数多のオファーを受けて活動が途絶えることはないものの、“長岡亮介自身の音楽”は鳴り止んでいた。
■「今日はほとんどが新曲です」記念すべき長岡亮介バンド編成の初ステージ
そんな長岡をステージに連れ戻したのが、Suchmosだった。『Suchmos The Blow Your Mind TOUR 2026』福岡公演のステージが、長岡亮介バンド編成にとって“初ライブ”となった。
長岡は、NEWLY(Ba)とryo takahashi(Dr)の3人編成で現れた。今回のツアーに声がかかったことをきっかけに約100日前から、このメンバーで準備を始めたという。全8曲のうち4曲はこの日に向けて作られた新曲で、他の4曲にもあらたなアレンジが施されていた。
1曲目に披露された「駱駝(仮)」から、長岡のシグニチャーサウンドが輝く、あまりに最高な楽曲だった。約7分間の“組曲”と言いたくなる構成で、シンプルでミニマルなバンドアンサンブルにメロウな日本語のメロディが映えるヴァースやフック、約2分間のセッションパート、約1分間のギターソロが、テンポチェンジを交えながらもひとつにまとまった曲。歌詞をすべて聴き取れたわけではないが、《ここは東京》《最愛失った/あなたのいない世界はまさに砂漠だ/私は駱駝》と繰り返されるフレーズが印象的だった。あの場にいられなかった人たちにも早く聴いてほしいと率直に思う。
そのあとは、CDとアナログのみでリリースされているソロ名義の「LOUNGE LOVER」を、音源では打ち込み主体のトラックであるところをバンドアレンジに変えて演奏し、NEWLYと声を合わせて「こんばんは、長岡亮介です」と挨拶。NEWLYとは、コーラスでハモった際の彩りも抜群だった。「今日が初めてなんですよ、この 3 人でのライブ。緊張しているのでおぼつかないところもあるかもしれないですけど、多分それは皆さんにバレない。だって曲を知らないから」などと言う長岡のユーモアは、西の空気にも馴染んでいるぞとHSUに伝えたくなる。もう少し語ろうとしたところで「いや、やるか。まずはやりましょうね」と演奏に戻り、音程の動きが最小限のギターフレーズがループする中で主にメロディで情景を変えていく「Grab(仮)」、ソロ名義でCDのみでリリースしている「MIXED MESSAGE」、さらにふたつの新曲「SUNLIGHT(仮)」「To Mr. Blank(仮)」を続けた。
「曲をあまり作ってなくて。このイベントに誘われるまでダラダラしていたんですよ。Suchmosさんに誘っていただいて、これはやらなきゃいけないなと思って。今日はほとんどが新曲です」
そんな長岡の言葉には、きっかけをくれたSuchmosへの感謝が滲んでいた。その後、《しゃかしゃか》の歌い出しでファンから驚きの歓声が湧いたダブ〜サイケデリック調の「はの うた」(テレビ東京『しまじろうのわお!』のために長岡が作曲、ペトロールズが演奏した曲)、カントリーやブルーグラスをルーツに艶やかな歌と長岡ならではのギターアプローチで引き込む「Drawing in the wind」で、記念すべき長岡亮介バンド編成の初ステージは終わりを迎えた。
■Suchmosが演奏、長岡とYONCEが歌う、ペトロールズの「雨」
Suchmosのステージでは、YONCE(Vo)が「あなたたちは長岡亮介さんの新グループ、初ライブを観ちゃった人たちです。おめでとうございます。今日と明日、とっても大事な、そしてとっても新鮮な、長岡さんの最新の音楽を体験できる2日間。そこにまさか我々の対バンを選んでくれたことが嬉しいです。ありがとうございます」と感謝の言葉を返した。続けて「楽しみにしていた期待を余裕で上回ってくる素晴らしいライブを拝見できて、普通にお客さんになっちゃっていたんですけど。明日もお客さんになっちゃうと思います。皆さんと一緒です」と語り、「Stand By Mirror」へ入った。このツアーでは毎公演セットリストが変わっているのだが、印象的なギターフレーズがリフレインし、車に乗りながら窓の外の風景が流れていく絵が浮かぶ「Stand By Mirror」は、シトロエン愛好家である長岡の残り香が漂うステージに美しく重なった。
YONCEの言う通り、“新グループの初ライブ”を目撃できただけでも特別だが、もうひとつ、この日はスペシャルなことが待っていた。それはアンコールのステージで起きた。YONCEが長岡を呼び込み、大歓声の中で登場した長岡へ丁寧にマイクを手渡して、「皆さんおわかりですね?」と言うと、ついにその瞬間が訪れる。Suchmosが演奏し、長岡とYONCEがボーカルを取る形で、ペトロールズ「雨」が披露された。これは9年前、Suchmosがペトロールズのトリビュートアルバムに参加した際にカバーした名曲であり、原曲もSuchmosによるカバーもいまだにたくさんの人に聴かれ続けている。ステージ上でともに「雨」を歌うのは、これが初めて。両者のファンにとっては、9年間待ち焦がれた“待望”の共演だった。
1番はYONCEが、2番は長岡が主旋律をとり、サビではハモリを重ねる。色気漂う歌とグルーヴが絡み合った甘美な音に、会場全体が陶酔する。珍しくギターを担がずにハンドマイクでステージを歩きながら歌う長岡は、思わず「恥ずかしい」と微笑みながらこぼす。TAIKINGのギターソロでは、長岡がTAIKINGのそばでしゃがんで下から見つめる。原曲のギターソロを継承したTAIKINGは演奏後、「緊張したー、あのソロ速いんだよ!」とコメント。YONCEの「カッコ良い兄貴だねえ」という言葉には、あの場にいた全員が共感したことだろう。
ビジネス論では「成功するには人脈が大事だ」とよく説かれるが、歳を重ねると、本当に人生において大事なのは自分が調子悪いときも味方でいてくれる僅かな存在だと気づく。自分が壁にぶつかったとき、メンタルがどん底のとき、生きる目的を失ったとき、社会的アイデンティティが剥がれたとき、変わらずそばにいて手を差し伸べてくれる人を大切にしたいと考えるようになる。長岡は、Suchmosの活動休止中でYONCEが表舞台から離れていた時期に、ボーカリストとしてYONCEを呼んでドラマ『エルピス-希望、あるいは災い-』主題歌「Mirage」を制作した音楽集団・Mirage Collectiveでともに演奏した仲間でもある。そして今回、長岡が一歩前へ踏み出すきっかけをSuchmosが作った。お互いに、今度の人生においても欠かせない味方であり続けるのだろう。
TEXT BY 矢島由佳子
LIVE PHOTO BY 勝村祐紀
『The Blow Your Mind TOUR 2026』
全都市レポート掲載中!
https://www.thefirsttimes.jp/keywords/15494/
■セットリスト
『Suchmos The Blow Your Mind TOUR 2026』
2026.05.29@福岡・Zepp Fukuoka
長岡亮介
01.駱駝(仮)
02.LOUNGE LOVER
03.Grab(仮)
04.MIXED MESSAGE
05.SUNLIGHT(仮)
06.To Mr. Blank(仮)
07.はの うた
08.Drawing in the wind
★Suchmosのセットリストは『Suchmos The Blow Your Mind TOUR 2026』全公演終了後に公開いたします。
■ツアー情報
『Suchmos BAY SIDE TOUR 2027』
[2027年]
03/13(土)宮城・ゼビオアリーナ仙台
03/14(日)宮城・ゼビオアリーナ仙台
04/16(金)福岡・マリンメッセ福岡B館
04/17(土)福岡・マリンメッセ福岡B館
04/24(土)神奈川・Kアリーナ横浜
04/25(日)神奈川・Kアリーナ横浜
05/01(土)兵庫・GLION ARENA KOBE
05/02(日)兵庫・GLION ARENA KOBE
【チケット先行スケジュール】
オフィシャル二次(抽選)
受付期間:2026年6月1日(月)18:00〜6月30日(火)23:59
オフィシャル三次(抽選)
受付期間:2026年7月1日(水)18:00〜7月13日(月)23:59
https://w.pia.jp/t/suchmos-tour2027/
※お一人様4枚まで購入可能。
※小学生以上有料/未就学児童無料(保護者同伴の場合に限る)、大人1名につき子供1名まで膝上可。但し座席が必要な場合はチケット必要。
『Suchmos The Blow Your Mind TOUR 2026』
05/14(木)神奈川・KT Zepp Yokohama ゲスト:IO
05/15(金)神奈川・KT Zepp Yokohama ゲスト:IO
05/20(水)愛知・Zepp Nagoya ゲスト:GLIM SPANKY
05/21(木)愛知・Zepp Nagoya ゲスト:GLIM SPANKY
05/26(火)大阪・Zepp Osaka Bayside ゲスト:くるり
05/27(水)大阪・Zepp Osaka Bayside ゲスト:くるり
05/29(金)福岡・Zepp Fukuoka ゲスト:長岡亮介
05/30(土)福岡・Zepp Fukuoka ゲスト:長岡亮介
06/04(木)北海道・Zepp Sapporo ゲスト:cero
06/05(金)北海道・Zepp Sapporo ゲスト:cero
06/13(土)宮城・SENDAI GIGS ゲスト:ハナレグミ
06/14(日)宮城・SENDAI GIGS ゲスト:ハナレグミ
06/20(土)広島・BLUE LIVE HIROSHIMA ゲスト:GRAPEVINE
06/21(日)広島・BLUE LIVE HIROSHIMA ゲスト:GRAPEVINE
06/25(木)新潟・LOTS ゲスト:The Birthday
06/26(金)新潟・LOTS ゲスト:The Birthday
07/01(水)東京・Zepp Haneda ゲスト:Fujii Kaze
07/02(木)東京・Zepp Haneda ゲスト:Fujii Kaze






























