Suchmosがリスペクトするアーティストを招いて行う対バンツアー『Suchmos The Blow Your Mind TOUR 2026』全9都市の同公演レポートを『THE FIRST TIMES』独占で実施中。今回は6月14日、本ツアー6ヵ所目となる宮城・SENDAI GIGS公演2日目をレポートする。
■Suchmosの音楽に“旅”を感じると語る、ハナレグミ
2020年4月9・10日、ここSENDAI GIGSにて、Suchmosとハナレグミの対バンが実現するはずだった。Suchmosにとってハナレグミは10代の頃から愛聴したミュージシャンであり、YONCE(Vo)は地元のライブハウスで活動していた時代にカバーをしたこともあるという。憧れの存在との共演が叶うはずだった『Suchmos The Blow Your Mind TOUR 2020』は、新型コロナウイルス感染拡大の影響で中止に。そこから6年の時を経て、同じライブタイトルを掲げて、同じ場所にて、ついにその夢は現実になった。
ハナレグミは、2組の共通点を“旅”と表現した。登場するとすぐに「東京でSuchmosの車に乗っけてもらってきました。ヒッチハイクしていたら『乗っていきなよ!』って言われて、乗せてもらったハナレグミです。よろしくお願いします!」とチャーミングなジョークを交えた自己紹介で拍手を掻っ攫い、オープニングの「レター」を通して、ハナレグミとSuchmosには《よく似た 景色がある》《よく似た 歌声が響く》と伝えた。そして「チキンカチャトラ」でオーディエンスの身体をほぐしたあと、こう語ったのだ。
「Suchmosに呼んでいただいて、どういうふうに彼らにバトンを渡すステージをやろうかなと、彼らの音楽を聴きながら考えていて。そうすると、僕にとっては、彼らの音に“旅”を感じるというか。それこそジャケットにアメ車が写っていたり、『THE ASHTRAY』は荒野の道だったりして、“旅”を感じる音楽。旅の中でああいうやつに出会って別れてとか、そういうメッセージを紡いでいるような気がして。ハナレグミも“旅”の情感を歌うことが多いんですけど」
■ハナレグミ「仲間であり同志でありっていう関係なんだなって」
その後に繰り広げられたのは、Suchmosとの対バンのために一曲ずつ丁寧に選ばれたセットリストだった。まずは、1961年にアメリカで起きた人種差別の撤廃を求める非暴力の公民権運動“フリーダム・ライド”をモチーフにしながら、今を生きる私たちにも通ずる、暴力・攻撃とは異なる方法で自由と共生を追いかける大切さを伝える「フリーダム・ライダー」を歌い届けた。そのメッセージは、Suchmosが歌い続けていることにも重なるものだ。
次に、アコギを爪弾きながら「次の曲は、僕らは誰もたったひとりでは生まれてこれなかった、そういうことが言いたい曲です」と言って歌ったのは、「家族の風景」。そして「2日とも最高の晴天に恵まれて、仙台に迎えられている気がします」「楽屋のベランダみたいなところに長いソファがあって、そこでSuchmosのみんながタバコ吸っているところに、僕はタバコを吸わないんですけど横にちょこんと座って、『俺もSuchmosかも〜』みたいな(笑)。なんかね、いいんですよ、彼らの会話が。(Suchmosのメンバー同士が)本当にマイメンっていうかね。仲間であり同志でありっていう関係なんだなって。なんてことのない、『俺、最近こういうふうに考えていて』みたいなことをポロポロって言って、それをみんながウンウンって聞いてる感じとか、とっても良いチームだなと思って。次の曲はそういう彼らに向けて歌いたい一曲です」という前振りから「明日天気になれ」。そうして、ハートウォーミングな空気がグングンと会場中に充満していった。
中盤になると、「日本には名曲がたくさんある。ジャズでスタンダードという言葉があって、いろんな有名な曲があるけども、そもそも日本の歌謡曲だってさ、スタンダードって言っていいと思うんだよ」とリズムに乗せながら言い放ち、「この曲を聴いたことがあると思ったら、ぜひ声を上げて一緒に歌ってほしい」と杏里「オリビアを聴きながら」のスカアレンジカバーを演奏。オーディエンスは自由に声を上げて、石井マサユキ、YOSSY、伊藤大地、真船勝博、武嶋聡、類家心平による豪華な演奏に乗って歌う、超贅沢なカラオケ状態に。そこで改めて、歌謡曲とカラオケというふたつの日本カルチャーの相性の良さを思い知る。続けて「今を楽しんでいくしかないじゃーん!」というフリから「独自のLIFE」で、ビートの上で《しあわせ》を繰り返すたびに多幸感が大きくなっていった。
そしてハナレグミの最後が、さらに凄まじかった。「Suchmosの(ステージの)始まりに向けて、一瞬クールダウンといいますか、静かな気持ちで一曲歌って僕らはザ・グッバイしようかなと」という言葉から始まった「深呼吸」。武嶋がサックスで単音の旋律を鳴らし、そこに類家が吹くトランペットの単音が絡まり、たったふたつの楽器による旋律の上にハナレグミが深い歌声を乗せる。そこに真船のウッドベースも響くと、ますます深淵なる音の世界へと連れていかれる。そうして《手放すことはできないから あと一歩だけまえに》など一つひとつの言葉が、心の深い部分を震わせた。
Suchmosがこのツアーで演奏している「Life Easy」には、TAIHEIのピアノの伴奏にYONCEが全身から鳴らす深い歌声を乗せるセクションがあり、その瞬間には毎度強力な歌の力が宿っていることもあって、Suchmosから「深呼吸」のミニマルでオーガニックなアレンジのような曲を、今後もっと聴いてみたいと思ったりもした。
■Suchmosとハナレグミから感じる、悦びと生命力
ハナレグミはたびたび「Suchmosのためにステージを温める」という旨を言っていたが、温めるどころか生命力を与えまくったライブを繰り広げてSuchmosにパスを送った。それを受け取ったSuchmosは、1曲目から全力ダッシュ。ツアー中、YONCEはいつも白Tを着用していたが、この日はサッカー日本代表ユニフォーム(背番号6番)で登場した。しかもこのツアーでは「MINT」で始めることが多く、直近3公演は「Pacific」が1曲目を担っていたのだが、この日は「YMM」からスタート。冒頭からTAIKING(Gu)、Ren Yamamoto(Ba)もステージ前方に煽り出て、各々のメンバーがアドリブでフレーズを隙間に放り込む。さらにこれまでもセットリストに入っていた「Alright」には、テンポダウンするアレンジが加わっていた。
ハナレグミのライブを観ながら、驚いたことがあった。哀愁漂う歌やそれを彷彿とさせる歌詞であっても、悲しくは聴こえてこないことだ。それはなぜなのだろう、と考えていた。続けてSuchmosのライブを観ながら、その答えを見つけることができた気がした。
この日Suchmosが中盤に選んだのは、「Whole of Flower」「Marry」「Eye to Eye」の3曲。まさに人生の旅を描いた、ハナレグミと共鳴するブルージーな曲たちだ。
ハナレグミもSuchmosも、人生の苦しさを掬い上げる歌であっても、“旅を続けよう”というメッセージが根底にあるように思う。ハナレグミは「明日天気になれ」で《変わらない ここで待ってても/行かなくちゃ 一人ぼっちでも》、「深呼吸」で《手放すことはできないから あと一歩だけまえに》と歌う。Suchmosは「Whole of Flower」で《Sadness is not gone in my head but/道は 照らされている》、「MINT」では《何も無くても 歩けさえすればいい》と歌う。旅を途中でやめないでほしい。だって、「Life Easy」でYONCEが乗せたアドリブの通り、「楽しい顔 つまらない顔 泣いてる顔 全部美しい」から。
その後にYONCEが続けた言葉は「光るもの見つけて生きてたいね」。「GAGA」では「休むのもダンス!」というシャウトが生まれたが、時には休んでもいい。それも“生きる”の一部だ。両者から悦びと生命力を感じ取るのは、“人生という旅をやめないための歌”を鳴らしているからなのだと思う。
■“音楽”を丸ごと推して、人生という旅に音楽が欠かせない人々が集う場所
「貴重な休日、わざわざ都合をつけて、お金を持って、数あるレジャーの中からこんなに酸素も薄いわ、暗いわ、窓もないし、こもった場所に来てくださって本当にありがとうございます。よく『変わってんね?』とか言われる人たちですか? 僕らもなんですよ。変わり者同士、いっちょ楽しんじゃおうかな」というYONCEの言葉には歓声が上がったが、このツアーの全都市で印象的なことは、オーディエンスが、Suchmosだけでなくゲストの音楽も全身で浴びて全力で楽しんでいることだ。
「ハナレグミという素晴らしいシンガーソングライターが率いるバンドが、この2日間、仙台公演を彩ってくれました。大きな拍手をお願いします」とYONCEが言ったあとには、大きくて長い、熱烈な拍手が贈られた。MCでは「自分たちが食っていくことももちろん大事だけど、音楽を流行らせたい」「音楽をどうぞよろしくお願いします」というYONCE恒例のトークもあったが、Suchmosだけでなく“音楽”を丸ごと推して、人生という旅に音楽というBGMが欠かせない人たちが、Suchmosのフロアには集まっていると感じる。
アンコールでは、来年3月からスタートするツアー『Suchmos BAY SIDE TOUR 2027』の告知が書かれたカンペとマイクを最前列のファンに手渡し、その方が上手に読み上げるというシーンが生まれた。「今まででいちばん上手くいった告知」(YONCE)、「YONCEより上手です。12本のうち、一番上手です」(TAIHEI)とメンバーも絶賛し、大いに盛り上がった。
翌日15日は、ワールドカップの日本対オランダ戦。最後の曲の間奏では「明日AM5時、皆さん、早起きしてください。よろしくお願いします」という言葉を乗せたYONCE。音楽だけでなくサッカーまで宣伝するなんて。どこまでも利他的なSuchmosが主役だからこそ、ステージもフロアも様々な人が混ざり合う『Suchmos The Blow Your Mind TOUR 2026』は、ここまで美しいものになっているのだと思う。
TEXT BY 矢島由佳子
LIVE PHOTO BY 村長 / TAKUYA TAKAHASHI
『The Blow Your Mind TOUR 2026』
全都市レポート掲載中!
https://www.thefirsttimes.jp/keywords/15494/
■セットリスト
『Suchmos The Blow Your Mind TOUR 2026』
2026.06.14@宮城・SENDAI GIGS
ハナレグミ セットリスト
01.レター
02.チキンカチャトラ
03.フリーダムライダー
04.家族の風景
05.明日天気になれ
06.オリビアを聴きながら
07.独自のLIFE
08.深呼吸
Sachmos対バンツアー、2日間ありがとうございました!
【MEMBER】#石井マサユキ#YOSSY#伊藤大地#真船勝博#武嶋聡#類家心平
.#Suchmos#サチモス#ハナレグミ#永積崇 pic.twitter.com/VuRR63RTlT— ハナレグミ official (@hanareOffcial) June 14, 2026
★Suchmosのセットリストは『Suchmos The Blow Your Mind TOUR 2026』全公演終了後に公開いたします。
The Blow Your Mind TOUR 2026
2026.06.14 (Sun)
SENDAI GIGS Day 2全国アリーナワンマンツアー
『Suchmos BAY SIDE TOUR 2027』開催https://t.co/8ab7sDcmSH pic.twitter.com/h31JqsJjM5— Suchmos (@suchmoz) June 15, 2026
■ツアー情報
『Suchmos BAY SIDE TOUR 2027』
[2027年]
03/13(土)宮城・ゼビオアリーナ仙台
03/14(日)宮城・ゼビオアリーナ仙台
04/16(金)福岡・マリンメッセ福岡B館
04/17(土)福岡・マリンメッセ福岡B館
04/24(土)神奈川・Kアリーナ横浜
04/25(日)神奈川・Kアリーナ横浜
05/01(土)兵庫・GLION ARENA KOBE
05/02(日)兵庫・GLION ARENA KOBE
【チケット先行スケジュール】
オフィシャル二次(抽選)
受付期間:2026年6月1日(月)18:00〜6月30日(火)23:59
オフィシャル三次(抽選)
受付期間:2026年7月1日(水)18:00〜7月13日(月)23:59
https://w.pia.jp/t/suchmos-tour2027/
※お一人様4枚まで購入可能。
※小学生以上有料/未就学児童無料(保護者同伴の場合に限る)、大人1名につき子供1名まで膝上可。但し座席が必要な場合はチケット必要。
『Suchmos The Blow Your Mind TOUR 2026』
05/14(木)神奈川・KT Zepp Yokohama ゲスト:IO
05/15(金)神奈川・KT Zepp Yokohama ゲスト:IO
05/20(水)愛知・Zepp Nagoya ゲスト:GLIM SPANKY
05/21(木)愛知・Zepp Nagoya ゲスト:GLIM SPANKY
05/26(火)大阪・Zepp Osaka Bayside ゲスト:くるり
05/27(水)大阪・Zepp Osaka Bayside ゲスト:くるり
05/29(金)福岡・Zepp Fukuoka ゲスト:長岡亮介
05/30(土)福岡・Zepp Fukuoka ゲスト:長岡亮介
06/04(木)北海道・Zepp Sapporo ゲスト:cero
06/05(金)北海道・Zepp Sapporo ゲスト:cero
06/13(土)宮城・SENDAI GIGS ゲスト:ハナレグミ
06/14(日)宮城・SENDAI GIGS ゲスト:ハナレグミ
06/20(土)広島・BLUE LIVE HIROSHIMA ゲスト:GRAPEVINE
06/21(日)広島・BLUE LIVE HIROSHIMA ゲスト:GRAPEVINE
06/25(木)新潟・LOTS ゲスト:The Birthday
06/26(金)新潟・LOTS ゲスト:The Birthday
07/01(水)東京・Zepp Haneda ゲスト:Fujii Kaze
07/02(木)東京・Zepp Haneda ゲスト:Fujii Kaze
https://www.thefirsttimes.jp/keywords/15494/
■独占公開!『Suchmos The Blow Your Mind TOUR 2026』全都市レポート































