Suchmosがリスペクトするアーティストを招いて行う対バンツアー『Suchmos The Blow Your Mind TOUR 2026』が開催中。『THE FIRST TIMES』では、全9都市の同公演レポートを独占で実施する。
■マインドやメンタリティ、姿勢に共通する部分がある同世代の2組
『Suchmos The Blow Your Mind TOUR 2026』2都市目は、5月20・21日、愛知県・Zepp Nagoyaにて、ゲストにGLIM SPANKYを招いて開催された。ここでは5月20日公演についてレポートする。
そもそもSuchmosは、その日その場の空気を感じ取ってパフォーマンスを変えていくライブバンドであり、このツアーでは、ゲストによってSuchmos自身のライブも変わっていくのだと、2都市目にして実感した。
この日は、1ヵ所目のKT Zepp Yokohamaに続き同世代との対バンであったが、前回以上にリラックスした雰囲気で、まるで友達同士が集まっているリビングルームにジョインさせてもらうような感覚すらあった。
ステージ上で、GLIM SPANKY・松尾レミ(Vo・Gu)はSuchmos・YONCE(Vo)のことを「ステージに上がると水を得た魚になる」と表し、YONCEは「(ステージは)いちばん恥ずかしいことをしていい場所だと思っている」と返す場面があったが、この日のYONCEは特に自由に音の中で漂っているように見えた。
SuchmosとGLIM SPANKYは、10代の頃からライブハウスで切磋琢磨する音楽仲間だったという。
松尾はYONCEのことを、YONCEというネームがつく前の本名で呼び、「河西くんとは学生時代からの友達なんです。河西くん、OLD JOEというバンドをやってるでしょ? 同い歳なんだけど、大学時代にずっとライブハウスで一緒にやってきた仲間なんです。そのあとに亀(GLIM SPANKY 亀本寛貴/Gu)がSuchmosのメンバーと仲良くなって飲みにいったり。いい友達ですね」「音楽仲間としては幼馴染」と語り、亀本は「同世代でデビューも近いし、音楽において大事にしているマインドやメンタリティ、姿勢に共通する部分がある」「泰貴くん(TAIKING)は同い歳の尊敬しているギタリスト」「ミュージシャンとしても当然リスペクトしていますし、メンタリティの部分でもすげえやつらだなと思っております」と、互いの関係性やSuchmosへの想いを言葉にした。
■GLIM SPANKYが最後に選んだ「大人になったら」
そんな2組の共演は、10代から関係が続くこと、そして時を経てこうして交われることへの愛おしさが充満していた。その気持ちを音に乗せるように、GLIM SPANKYはこの日、Suchmosの言葉を借りると「2026年のブルースロック」をぶちかましたあと、最後に「大人になったら」を歌うことを選んだ。
— Suchmos (@suchmoz) May 19, 2026
これは、GLIM SPANKYとOLD JOEが対バンしていた時期、まだ自分たちのライブにお客さんが入らず、冷たい目線や言葉を浴びたり、周りに置いていかれるような感覚になったりするなど、孤独を抱えていた頃に生まれた曲だ。
松尾は当時の気持ちについて、「お客さんとしてZeppに行った時、ここの一列のこの人たちだけでもGLIMのライブに来てくれないかなとか思っていたのね。電車に乗ったら、1車両の人たちだけでいいからライブ来てくれないかなとか思っていた」と振り返り、TAIHEI(Key/Suchmos)が「わかるわかる」と頷く場面も。
この曲についてYONCEは、「YONCEが河西洋介だった頃、つまり10代後半、ピタピタのスキニージーンズにドクターマーチンのブーツを履き、花柄のシャツを着ていた頃の話でございますけれども。当時やっていたバンド(OLD JOE)のイベントにGLIM SPANKYが出てくれて、それは東京・渋谷のライブハウスでやったんですけど。その時に『大人になったら』を『新曲です』って言ってやっていたんですよね。当時まだ未成年で、すげえいいなと思って聴いていて。今日舞台袖で大人になってから聴く『大人になったら』もめっちゃいい曲だなあって思いました」とコメントした。
その後GLIM SPANKYがメジャーデビューし、「大人になったら」を正式にリリースしたのは、2015年。後攻のSuchmosは、同時期に自分たちがリリースした「Alright」を返した。この曲は「働けよ」などと言ってくる人に対する鬱憤を歌った歌詞だと、当時のインタビューで語ってくれたことを思い出す。
若き頃の世間への不満や怒りを歌った「大人になったら」と「Alright」が、この日、互いを輝かせるように響いた。そうは言っても、過去を美化するとか、「今は売れてよかったね」みたいな安直なことではない。YONCEが「大人になってから聴く『大人になったら』もめっちゃいい」と語ったように、「Alright」も音源からはBPMもアレンジも変えて間奏にラップを乗せるライブバージョンになっていて、アップデートされた輝きがある。
それにGLIM SPANKYが会場のボルテージを一気に上げた「怒りをくれよ」で歌っている通り、怒りや社会への違和感などは、大人になっても両者の中に大切なものとして存在している。
バンドだって、若手には若手の、中堅には中堅のタフさがあるのも事実だ。それに世の中だって、よくなったと思えることばかりではない。Suchmosの6人もGLIM SPANKYの2人も、年齢を重ねて優しさや他者への想像力は深くなったが、尖った部分もいまだ持っている。
優しさや包容力という意味での“丸さ”と、怒りや自由への渇望からくる“尖り”は、相反するものではなく同居していい。この共演は、そういうことまで伝えてくれるようだった。
■歌声だけでなく、佇まいや動き方からも惹きつけるボーカリスト
もうひとつ、私の中で思い出したことがあった。SuchmosとGLIM SPANKYのデビュー当時のインタビューで、1991年生まれのロックボーカリストであるふたりが、それぞれ語ってくれたこと。
松尾は「私、ロックスターって、98%はルックスだと思っているんですよ。音楽がかっこいいのは大前提で、そのうえで見た目もものすごく重要」だと語り、YONCEは「ボーカルって、歌ってないときもかっこいくないとダメなんですよ。BGMが流れて、ステージに出てきて、マイクスタンドの前に立ちました、『はい、もうかっこいい!』みたいな(笑)。普段着でもかっこいくないとダメですよ」と語っていた。
その美学は、両者ともに今もブレていない。松尾はOrange Ampsのギターアンプと同じオレンジ色のワンピースを纏い、YONCEは白いTシャツとジーンズで登場。ライブという聴覚・視覚芸術において、歌声だけでなく、佇まいや動き方からも惹きつけるふたりだ。
そして、オーディエンスがボーカリストに注目を向ける中、ここぞという時に視線と耳をかっさらっていくのが亀本寛貴、TAIKINGというギターヒーローたちだ。
アンコールではSuchmosのセットにGLIM SPANKYを呼び込み、8人で南佳孝の「スローなブギにしてくれ (I want you)」をカバーするという、この日限りのスペシャルなステージが繰り広げられた。そこでは松尾、YONCEのブルージーな歌声に酔いしれると同時に、亀本のGibsonレスポールとTAIKINGのFenderストラトキャスターの泣きのギターソロに魅了された。
ともにボーカリストを立てつつも、歌と同じくらい感情豊かなギターを鳴らし、口ずさみたくなる名リフを発明するギタリストたち。ふたりが向かい合って、2本のギターの旋律が絡み合う時間は、あまりに贅沢だった。
■直感や衝動に蓋をせず、自分を信じて生きてきたSuchmosとGLIM SPANKY
大人になっても、関係性が続くこと。ライフステージが変わっても、仲良くいられること。それらは人生において、決して当たり前ではない。バンドが続くことも、互いの状況が変われどリスペクトし合えることも、頑張ったご褒美くらいに尊いものだ。なぜSuchmosとGLIM SPANKYはそれを成し得たのか──互いに自分の直感や衝動に蓋をせず、自分を信じて生きてきたからだ。
GLIM SPANKYは自分たちのステージを、最新アルバムより《第六感を開け》《貫けオリジナルEYES》と歌う「第六感」と《神様より自分を愛して》と締める「大天使」からライブをスタートさせた。自分を信じてオリジナルのまま歩もうというのは、Suchmosの根底にも流れ続けているメンタリティである。
GLIM SPANKYが《突き動かしていくのは衝動》(「衝動」)と歌えば、Suchmosは《答えを出すのは そのHeartbeat》(「VOLT-AGE」)と歌う。そんな生き方の指針まで持ち帰らせてくれる、『Suchmos The Blow Your Mind TOUR 2026』名古屋公演だった。
TEXT BY 矢島由佳子
LIVE PHOTO BY ゼンタ
『The Blow Your Mind TOUR 2026』
全都市レポート掲載中!
https://www.thefirsttimes.jp/keywords/15494/
■セットリスト
『The Blow Your Mind TOUR 2026』
2026.05.20@愛知・Zepp Nagoya
GLIM SPANKY セットリスト
01.第六感
02.大天使
03.怒りをくれよ
04.こんな夜更けは
05.Glitter Illusion
06.Hallucination
07.衝動
08.春色ベイビーブルー
09.大人になったら
★Suchmosのセットリストは『The Blow Your Mind TOUR 2026』全公演終了後に公開いたします。
■ツアー情報
『Suchmos BAY SIDE TOUR 2027』
[2027年]
03/13(土)宮城・ゼビオアリーナ仙台
03/14(日)宮城・ゼビオアリーナ仙台
04/16(金)福岡・マリンメッセ福岡B館
04/17(土)福岡・マリンメッセ福岡B館
04/24(土)神奈川・Kアリーナ横浜
04/25(日)神奈川・Kアリーナ横浜
05/01(土)兵庫・GLION ARENA KOBE
05/02(日)兵庫・GLION ARENA KOBE
【チケットオフィシャル一次先行(抽選)】
受付期間:2026年5月14日(木) 21:30~5月31日(日)23:59
https://w.pia.jp/t/suchmos-tour2027/
※お一人様4枚まで購入可能。
※小学生以上有料/未就学児童無料(保護者同伴の場合に限る)、大人1名につき子供1名まで膝上可。但し座席が必要な場合はチケット必要。
【チケット先行スケジュール】
②オフィシャル二次(抽選)
受付期間:2026年6月1日(月)18:00〜6月30日(火)23:59
③オフィシャル三次(抽選)
受付期間:2026年7月1日(水)18:00〜7月13日(月)23:59
チケット先行受付URL(各先行共通)
https://w.pia.jp/t/suchmos-tour2027/

『Suchmos The Blow Your Mind TOUR 2026』
05/14(木)神奈川・KT Zepp Yokohama ゲスト:IO
05/15(金)神奈川・KT Zepp Yokohama ゲスト:IO
05/20(水)愛知・Zepp Nagoya ゲスト:GLIM SPANKY
05/21(木)愛知・Zepp Nagoya ゲスト:GLIM SPANKY
05/26(火)大阪・Zepp Osaka Bayside ゲスト:くるり
05/27(水)大阪・Zepp Osaka Bayside ゲスト:くるり
05/29(金)福岡・Zepp Fukuoka ゲスト:長岡亮介
05/30(土)福岡・Zepp Fukuoka ゲスト:長岡亮介
06/04(木)北海道・Zepp Sapporo ゲスト:cero
06/05(金)北海道・Zepp Sapporo ゲスト:cero
06/13(土)宮城・SENDAI GIGS ゲスト:ハナレグミ
06/14(日)宮城・SENDAI GIGS ゲスト:ハナレグミ
06/20(土)広島・BLUE LIVE HIROSHIMA ゲスト:GRAPEVINE
06/21(日)広島・BLUE LIVE HIROSHIMA ゲスト:GRAPEVINE
06/25(木)新潟・LOTS ゲスト:The Birthday
06/26(金)新潟・LOTS ゲスト:The Birthday
07/01(水)東京・Zepp Haneda ゲスト:Fujii Kaze
07/02(木)東京・Zepp Haneda ゲスト:Fujii Kaze































