Suchmosがリスペクトするアーティストを招いて行う2マンツアー『Suchmos The Blow Your Mind TOUR 2026』全9都市の同公演レポートを『THE FIRST TIMES』独占で実施中。今回は6月20日、広島・BLUE LIVE HIROSHIMA公演の1日目をレポートする。
■Suchmos活動再開から一年という節目の日と重なった広島公演
『Suchmos The Blow Your Mind TOUR 2026』7都市目の広島公演は、6月20・21日の2日間にわたって開催された。祝福すべき、節目の日だ。Suchmosが活動再開してから、ちょうど1年だから。昨年6月21日、横浜アリーナにて、Suchmosは4年4ヵ月の“修行”期間を終えてステージに帰ってきた。
正直、個人的には「あ、まだ一年しか経ってないのか」と感じるくらい、Suchmosは濃厚な一年を作り上げてきた。チケット応募総数が20万を超えた横浜アリーナ2デイズから始まり、4つの新曲が入ったEP『Sunburst』をリリース、『FUJI ROCK FESTIVAL’25』など全国各地のフェスに出演、念願のアジア公演含むツアー『Suchmos Asia Tour Sunburst 2025』を開催、そしてRen Yamamotoの正式加入と、待ち侘びていたファンに嬉しい報せを立て続けに届けた。休止前の状況や、休止中のメンバーそれぞれの生き方を見ていると、活動再開のアナウンスがあった瞬間は「とはいえ、Suchmosとしてどれくらい活発に動くのだろう?」と懸念も抱いていたが、どうやらそんな心配は不要らしい。この先もしっかりとバンドを動かしていくようだ。このあたりは、本人たちに行ったショートインタビューで授かった言葉を本ツアーが終わったあとに届けるので、どうか楽しみに待っていてほしい。
そしてライブのクオリティにおいても、5年5ヵ月ものブランクがあったとは信じ難いほど、Suchmosの“6人でひとつ”というバンドの結束力はブレていない。演奏中の「あいつがそういくなら俺はこういく」という阿吽の呼吸はぴったりだ。
しかも本ツアーの中で、公演を重ねるごとにバンドのグルーヴに磨きがかかっているように見える。そういった6人の進化は、単純に演奏力の向上だけに起因するものだけではないだろう。様々な人生経験を重ね、いろんな感情を知り、他者に対する思いやりも社会への視座も変わってきたことで、ひと言で言えば“表現力”と呼ばれるものや、音楽を通して聴き手に手渡すものの説得力が、確実に深みを増している。
■GRAPEVINEは「今回のツアーの中でも直接的に先輩に当たるバンド」
広島公演のゲストは、GRAPEVINE。両者は同じ事務所に所属していた時期もあり、GRAPEVINE・田中和将(Vo、Gu)はSuchmosのことを「デビューする前から知っている」、Suchmos・YONCE(Vo)はGRAPEVINEを「今回のツアーの中でも直接的に先輩に当たるバンド」「お兄ちゃん(弟を演じる甘えた声で)」と表現するような関係性。
これまでも、2016年2月の2マンライブ『SOMETHING SPECIAL』、2017年3月の『Suchmos TOUR THE KIDS』にて共演し、2024年5月にはGRAPEVINEがプロデュースする『MAGNIFIK』にYONCE擁するバンド・Hedigan’sが出演するなど、幾度の交流を重ねてきた。
結成33年、メジャーデビュー29年を迎える先輩・GRAPEVINEは、1999年にリリースした名曲「スロウ」から、2000年代に発表した「WANTS」「KINGDOM COME」、そして最新曲まで、長いキャリアの中で築いてきたものを凝縮して後輩に見せるようなセットリストを組んできた。
GRAPEVINEは、常に自分たちで自分たちを「Blow Your Mind(=驚かせる、度肝を抜くなどの意味がある)」できるように、飽くなき音楽的探究心を持って、あらたなアプローチにトライしながら歩んできたバンドだ。最新アルバム『あのみちから遠くはなれて』の“天使ちゃん”は、田中がハープを手にした瞬間から「あの曲がくるぞ」という予感で歓声が湧き、ハンドマイクで繰り広げるトーキングブルースに、フロアは大盛り上がり。
キャリア33年目にして最新曲がいちばん盛り上がるなんて、どれほどカッコ良いのだろう。自分たちのやりたいことや音楽そのものに誠実であり続けた先で、バンドとしてのカッコ良さを更新する、そんなキャリアの重ね方はまさにSuchmosが憧れるものなのだと思う。
GRAPEVINEとSuchmosに共通する魅力のひとつは、社会的なメッセージも臆せず音楽の中で表現することだ。SNSでは「ミュージシャンが政治を語るな」と「ミュージシャンはもっと政治を語るべきだ」という意見がぶつかり合っている中で、誰に言われるでもなく、誰かに押しつけるでもなく、ただ自分の目に映るものや心の中の感情を音楽の中で表現してきたのがGRAPEVINEとSuchmosだ。
「この夏、FUJIROCKで聴けたら最高に気持ちいいだろうな」と思うくらい、うねるベースも鋭いギターも吹き荒れるハープも印象的なサイケデリックな音像に《法律は容認してしまいそう 可決しそう》《いつも偉そうな顔》などの言葉を溶け込ませた「KINGDOM COME」は、GRAPEVINEのステージの前半のハイライトのひとつだった。対してSuchmosは、この日も、「Alright」で《戦争は儲かるか?平和はゴミか?/信じてやまない Everything’s gonna be alright》と歌った。
■ただ音に乗って、音楽に導かれるようだったこの日のSuchmos
この日のSuchmosは、GRAPEVINEの佇まいに影響を受けてか、より肩の力が抜けているように見えた。
“肩の力が抜けている”のも、さきほど書いた“表現力”や“聴き手に手渡すものの説得力”が増している要因でもあると思う。肩の力が抜けているというのは、人として余白がある、もしくは邪念がないといった言い方もできるだろう。それが、みんながGRAPEVINEに感じる誠実さや色気の正体でもあるように思う。
ただ音に乗って、音楽に導かれるようだったこの日のSuchmosは、YONCEから「あっという間。今日、体感時間がマジで早い」という言葉も出た。
GRAPEVINEは、温かくて鮮やかなメロディとストリングスの音色が光る「わすれもの」で、歳を重ねることの勇気をSuchmosへ渡すようにしてステージを締めた。その曲中、田中がオーディエンスに手拍子を煽りながらも、自ら裏拍で手拍子する場面があり、そういった茶目っ気あるいたずら心もGRAPEVINEからSuchmosが受け継いでいるものだと思わせた。
この日は、湿度の高さもあり、フロアやステージが「今ツアーでもっとも暑い日」(YONCE)だった。オーディエンスに深呼吸を呼びかけるシーンや、中盤には「FIFA風に言うと、ハイドレーションブレイクに入りたいと思います」とワールドカップネタも挟み込まれた。
アンコールではYONCEが、前日に広島に入り、散歩していて見つけた昔ながらの喫茶店で夕飯を食べたという話を繰り広げた。メニューを開くと、ドリアの欄に「気まぐれ天使(トマト、卵、からあげ)」と書かれているのを見つけて、それをオーダーしたという。「美味しかったんですよ。でも気まぐれ要素がない。ホテルまで戻っているときに、気まぐれ店主ってこと? と思ったんですけど…これは次回、確かめたいと思います」と笑いを誘った。
「気まぐれ天使」というメニュー名の由来は不明だが、GRAPEVINE「天使ちゃん」とリンクした瞬間でもあった。“天使”に“気まぐれ”をつけるネーミングセンスもなかなかだが、“ちゃん”をつけるのもまた、冷静に考えると少し謎めいているしちょっと笑けてくる。
『Suchmos The Blow Your Mind TOUR 2026』も、いよいよ残り2都市4公演。Suchmosも自分たちで自分たちを「Blow Your Mind」できるように、毎公演セットリストを変えてきた。そのおかげで全都市のライブを見ている私も、毎度「Blow Your Mind」させられていて、残り2都市であることに名残惜しさすら感じている。次のゲストはThe Birthday、そして最後はFujii Kaze。予想を超える音の化学反応と共演の物語が刻まれることだろう。
TEXT BY 矢島由佳子
LIVE PHOTO BY キクイヒロシ
■セットリスト
『Suchmos The Blow Your Mind TOUR 2026』
2026.06.20@広島・BLUE LIVE HIROSHIMA
GRAPEVINE セットリスト
01.スロウ
02.ねずみ浄土
03.WANTS
04.KINGDOM COME
05.実はもう熟れ
06.天使ちゃん
07.わすれもの
★Suchmosのセットリストは『Suchmos The Blow Your Mind TOUR 2026』全公演終了後に公開いたします。
The Blow Your Mind TOUR 2026 BLUE LIVE HIROSHIMA
バンドの美しさを体現してもらえたステージだったんじゃないでしょうか。
付かず離れず、29周年を迎えるバンドの音が地球を漂い続けて皆さんと旅をしている。
GRAPEVINEという名前を持った5人はやはりその人達だからなのであって。… pic.twitter.com/xjFrUb7wAM
— Suchmos (@suchmoz) June 21, 2026
The Blow Your Mind TOUR 2026
2026.06.21 (Sun)
BLUE LIVE HIROSHIMA Day 2#SCM_TBYM#Suchmos#GRAPEVINE全国アリーナワンマンツアー
『Suchmos BAY SIDE TOUR 2027』開催https://t.co/8ab7sDcmSH pic.twitter.com/yjQjqnRCN3— Suchmos (@suchmoz) June 21, 2026
■ツアー情報
『Suchmos BAY SIDE TOUR 2027』
[2027年]
03/13(土)宮城・ゼビオアリーナ仙台
03/14(日)宮城・ゼビオアリーナ仙台
04/16(金)福岡・マリンメッセ福岡B館
04/17(土)福岡・マリンメッセ福岡B館
04/24(土)神奈川・Kアリーナ横浜
04/25(日)神奈川・Kアリーナ横浜
05/01(土)兵庫・GLION ARENA KOBE
05/02(日)兵庫・GLION ARENA KOBE
【チケット先行スケジュール】
オフィシャル二次(抽選)
受付期間:2026年6月1日(月)18:00〜6月30日(火)23:59
オフィシャル三次(抽選)
受付期間:2026年7月1日(水)18:00〜7月13日(月)23:59
https://w.pia.jp/t/suchmos-tour2027/
※お一人様4枚まで購入可能。
※小学生以上有料/未就学児童無料(保護者同伴の場合に限る)、大人1名につき子供1名まで膝上可。但し座席が必要な場合はチケット必要。
『Suchmos The Blow Your Mind TOUR 2026』
05/14(木)神奈川・KT Zepp Yokohama ゲスト:IO
05/15(金)神奈川・KT Zepp Yokohama ゲスト:IO
05/20(水)愛知・Zepp Nagoya ゲスト:GLIM SPANKY
05/21(木)愛知・Zepp Nagoya ゲスト:GLIM SPANKY
05/26(火)大阪・Zepp Osaka Bayside ゲスト:くるり
05/27(水)大阪・Zepp Osaka Bayside ゲスト:くるり
05/29(金)福岡・Zepp Fukuoka ゲスト:長岡亮介
05/30(土)福岡・Zepp Fukuoka ゲスト:長岡亮介
06/04(木)北海道・Zepp Sapporo ゲスト:cero
06/05(金)北海道・Zepp Sapporo ゲスト:cero
06/13(土)宮城・SENDAI GIGS ゲスト:ハナレグミ
06/14(日)宮城・SENDAI GIGS ゲスト:ハナレグミ
06/20(土)広島・BLUE LIVE HIROSHIMA ゲスト:GRAPEVINE
06/21(日)広島・BLUE LIVE HIROSHIMA ゲスト:GRAPEVINE
06/25(木)新潟・LOTS ゲスト:The Birthday
06/26(金)新潟・LOTS ゲスト:The Birthday
07/01(水)東京・Zepp Haneda ゲスト:Fujii Kaze
07/02(木)東京・Zepp Haneda ゲスト:Fujii Kaze
https://www.thefirsttimes.jp/keywords/15494/
■独占公開!『Suchmos The Blow Your Mind TOUR 2026』全都市レポート

- REPORT
- 【独占レポート】Suchmos×ハナレグミ、6年越しの共演が実現!“旅”で繋がり、悦びと生命力に満ちた『Suchmos The Blow Your Mind TOUR 2026』仙台公演
































